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2012年 バックカントリーの記録 白い誘惑
日時 : 2月16日(木) 8:30〜15:50 (7時間20分)
山域 : 吾妻連峰 前大巓
天候 : 晴れのち曇り
スキー : KARHU PFD 172cm + Voile Switchback
ブーツ : CRISPI CXP LIGHT
移動距離 : 約19km

【動機】
天気概況は、日本海から低気圧が近づき、冬型の気圧配置へと移行する下り坂予報。天候悪化前にもう一度山スキーへ行きたい。風の影響を避けやすい樹林帯の山となると、近場ではそれなりに限定される。蒲谷地を基点とした東吾妻山へのツアーに決定。追加のオプションにも淡い期待を抱きつつ。

【行動記録】
蒲谷地の集落終点近くの除雪ポイントに駐車して出発の準備。遠くから、選挙カーの音が近づいてくる。19日が猪苗代町議選の投票日のようだ。

8:30 880m
シール登行開始。車道を離れ、東吾妻山の南西尾根へと向かう林道に入る。ここ数日、晴れ間もあり気温が上昇したためか、ベースの雪は締まっている。その上に、新雪がうっすらと乗っている程度で進行に支障は無い。勿論ラッセル無し。今日は極太板のKARHUを持ってきたが、DYNASTARのほうが良かったようだ。天気は午後に掛けて回復傾向のようで、東の空には太陽が見え隠れしている。思ったよりも好天が期待出来るかもしれない。

林道を進むと、小さな橋を渡り樹林帯に突入する。すぐに林道を離れて尾根に取り付く。このコースを登るのは今回がもう4度目で、進むルートのいたるところ見慣れた景色になりつつある。復路が楽になるようにルーファイを工夫する。4度も登ればそのへんは慣れたもの。新雪も浅いので、順調に高度を上げていく。樹林帯は風も弱く汗が噴き出すが、遠くでは強い風の気配も感じる。稜線上の天候が気になる。

高度差350m/H程度のペースで標高を上げていく。雪が浅いからこそ成せる業。このペースだと、山頂着は11時半前後の予定。山頂付近の天候次第だが、オプション追加も可能かもしれない。西の空の西大巓や西吾妻山、中吾妻山も確認出来、暫くは天候がもつかもしれない。風の強さが問題だが。

1500m付近からは針葉樹が勢力を増し、傾斜も増してくる。。シールの食い付きが微妙に悪く、スリップしてペースダウン。1910m地点に来ると傾斜が緩み、山頂を目の前に低潅木帯が広がる。本来、東に巻けば快適なルートだが、入ってしまった後の祭り。右往左往しながら山頂方向を目指す。少しずつ東方向へ進路修正すると樹間も広がり、浄土平方向が見えてくる。良い眺めで写真撮影。山頂はもう目前だ。

11:45 1974m
東吾妻山頂。この時期、この地点にしては風は穏やかで、視界も良好。カメラを出してじっくり写真撮影。時間はたっぷりあるものの、午後からの天候が気にはなる。まだ持ちそうな気もするが・・・。往路を戻ろうかとも考えたが、前大巓が強力に手招きする。あえなく誘惑に負け、鎌沼方向への下降を決定。

決めたら即行動。シールのまま下りだす。山スキーは時間との戦い。登り返しもあるので、時間には余裕を持ちたい。往復2時間程度と見積もる。北東方向にやや開けた斜面がある。斜面上部に出て、シールを剥がして滑降開始。上部はパウダーで快適。徐々に固くなり、鎌沼方向にトラバース気味に下降していく。シュカブラとツリーホールでデコボコの斜面を横切り、凍結した鎌沼の縁に辿り着く。過去に2度、高山経由で前大巓にアタックしたが、体力的にはまだまだ余裕。追い風にも助けられ、スムーズに板を滑らせて前大巓直下へ。シールを貼って前大巓ピークを目指す。

少しバテてきた。進行スピードが遅い。南尾根を辿り休み休み登っていく。毎度ニセピークに騙される。真のピークはその先。真っ白な山頂が近づく。

12:45 1911m
前大巓ピーク。なんだかんだでまた来ちゃいました。蒲谷地からのアプローチは比較的容易だった。男沼から高山経由で登った苦労が嘘のよう。記念写真を撮って、滑降の準備。天候を考えると、あまりゆっくりしている時間は無い。

山頂直下の東斜面へ。新雪は浅めだが快適に滑り降りる。早めにストップしてトラバース。南東斜面に進路を取る。東吾妻山へ戻る予定だったが、蓬莱山がまたも手招き。この手の誘惑に勝てる意志の強さは持ち合わせていない。一気に斜面を滑り降り、酸ヶ平方向へ。避難小屋への分岐点でシールを貼って蓬莱山の東斜面を目指す。

真っ白な吾妻小富士が目の前に迫ってくる。一切経山の噴煙は、今日は少し控えめのようだ。雪面も黄色く汚れていない。予定のポイントに到着。東斜面でも南よりに位置するこの場所は、カール状で風の影響も少ない滑降向きの斜面。早速シールを剥がして滑降の準備。

やはり新雪は浅めだったが、結構快適。ほんの少しの斜面なのであっという間だが、満足度は高い。KARHUの極太板は深雪専門のイメージだったが、思ったよりも汎用性があるようだ、意外。傾斜がやや緩んだ地点でストップし、斜面を東吾妻方向にトラバース。適当なツリーホールでシールを貼りつつ大休止。折角の好天でせっかちなツアーはもったいないのだが、東吾妻山方向を見ると、天候は下り坂。休憩後シールで登行開始。東吾妻山頂付近通過を14時半前後と見積もる。小さな沢形をかわしながら、往路の北東斜面に合流。自身のトレースを辿っていくが、やはり息が切れる。雪も舞ってきているので、もう少しペースを上げたいのだが。1900mを越えれば傾斜も緩みペースが上がりだす。それでも予定タイムよりも遅れ気味。

14:35 1974m
東吾妻山頂脇を通過。お次のターゲットは、南東尾根付近のオープンスロープ。まだ視界はあり、おそらく大丈夫。シールのまま下り、オープンの上部に出てシールを剥がす。

滑降開始。こちらもまずまず快適。樹林帯に入る手前でストップ。またもあっという間の滑りだが、滑らないと満足出来ないのだから仕方が無い。。ここからシールを貼らずにトラバースして往路に合流できるはず。斜滑降で往路を目指す。所々快適な斜面もあり楽しめる。出発点の蒲谷地方向が木々の隙間から確認出来る。高度を落とすにつれて天候も良くなってくる。

1700m付近で往路に合流。トレースに絡めながら、滑降を続ける。雪は軽くまだまだ快適。1400mの平坦地付近までは滑りが楽しめる斜面が続く。快速で通過する。

平坦地では歩きとストック推進がメイン。自身のトレース上の板の滑りは悪くは無い。平坦地を通過すると、再び傾斜が出て板が走るようになるが、樹間が狭く我慢の下降が続く。プルークボーゲンがメイン。暴走して怪我をしないよう低速で慎重に、安全第一。

藪スキーを終えて、漸く下部の林道に到着。板はよく滑り、ストック推進も必要ない。次第に集落が見えてくる。今日も無事帰着出来ることにホッとする瞬間。

15:50 880m
出発地点に到着。
こんな好天を予想していなかったため、日焼け止めを持たず結構な日焼けをしてしまった。鼻と頬が少しヒリヒリする。
1470m地点から中吾妻山方向
東吾妻山頂付近から浄土平方向
鎌沼から前大巓
前大巓ピークから東吾妻山方向
滑った前大巓
蓬莱山東斜面 最大傾斜部
東吾妻山への復路 天候下り坂
東吾妻山南東尾根付近のオープン
1400m平坦地 自身の登りトレースを辿る 
 
 東吾妻山頂から鎌沼方向  白い誘惑に負けた
 
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