観世音菩薩普門品偈 後半自我偈             「観音経読経観音経の要点

 (27) せそんみょうそうぐ がこんじゅうもんぴ ぶっしがいんねん みょういかんぜおん ぐそくみょうそうそん
 
     世尊妙相具   我今重問彼   仏子何因縁   名為観世音   具足妙相尊
     
   げとうむじんに  にょうちょうかんのんぎょう  ぜんおうしょほうしょ  ぐぜいじんにょかい
    
     偈答無尽意   汝聴観音行       善応諸方所    弘誓深如海
      
無尽意菩薩が申した
     世尊は、本当に妙相具
・みょうそうぐ・を具えております。 我今重ねて観世音菩薩のことを お聞きします。
   
  仏子
観世音菩薩は、観世音という名前は、どういう因縁があってついた名でしょうか?。
   
  妙相を具足
・ぐそくしたまへる世尊は、 無尽意菩薩へ、答える
   
  汝
・なんじ無尽意よ、観世音菩薩が積んできた修行とは、どんなに深いものなのかを聴きなさい。
     
・よ・く、諸々の方所に応じたはたらきをする、観音の広い誓いは、深い海のようである。
        妙相具ー すぐれた徳相。      深如海 深い海の如し
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 (28)  りゃくこうふしぎ    じたせんのくぶつ  ほつだいしょうじょうがん がいにょりゃくせつ
 
      歴劫不思議    侍多千億仏     発大清浄願    我為汝略説
             もんみょうぎゅうけんしん  しんねんふくうか   のうめつしょうく     
    
          聞名及見身      心念不空過    能滅諸有苦
     観世音菩薩は、歴や・こう・思議しぎ出来ない長い時間(普通の人間の考えが及ばない長い時間を、
      多千億
(数限りなく多い)の仏に仕え修行して、大清浄の願を起こしたのです。
     
世尊・なんじ・無尽意菩薩のために、略して(分かり易く)説きましょう。
   
  観音の名を聞き観音の身を見、観音を心に強く念じ信じるならば、能
・よ・く諸々の苦が滅するのです。
       歴劫不思議りゃくこうふしぎ はかり知れない長い時間、無限と思えるほどの長い時間。
      
 
侍多千億仏じたせんのくぶつ 限りないほど、多くの仏に仕える。
         心念不空過・しんねんふうくうか・ 信じる心を持ち続け、信の心がぐらぐらしないこと
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 (29)   けしこうがいい  すいらくだいかきょう ねんぴかんのんりき かきょうへんじょうち 
    
   仮使興害意  推落大火坑    念彼観音力    火坑変成池      
 
         
わくひょうるこうかい りゅうぎょしょきなん ねんぴかんのんりき  はろうふのうもつ 
           或漂流巨海   竜魚諸鬼難    念彼観音力   波浪不能没 
      火難水難を述べる
      たとえば、害意をもった悪人から 被害を受けて、大きな火坑に推し落されたとしても、
    
 彼の観音の力を念ぜば念彼観音力、火坑は変じて 池となるでしょう。
   
  あるいは、巨海に漂流して、龍魚諸鬼の難にあうようなときでも、
    
 彼・か・の観音の力を念ぜば念彼観音力)、波浪・はろう・もその人を 海に没しはしない。
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 (30)    わくざいしゅみぶ  いにんしょすいだ   ねんぴかんのんりき   にょにちこうくうじゅう 
 
        或在須弥峯   為人所推堕    念彼観音力     如日虚空
            わくひあくにんちく   だらくこんごうせん  ねんぴかんのんりき   ふのうそんいちもう  
            或被悪人逐   堕落金剛山    念彼観音力     不能損一毛
 
      人から受ける難を述べる
     あるいは、高い山の頂上から人に推し堕・おと・されても 彼の観音の力を念念彼観音力じると、
     太陽の如くに、
虚空・こくう・大空に留・とど・まっていて、落ちることはないでしょう。
    
 あるいは、悪人に遂はれて 高い峰
金剛山より 堕落することがあっても、
     
彼の観音の力を念
念彼観音力じると、ひとつの毛も損なうこと無く、無傷・むきず・のままでしょう。

     
  須弥峯・しゅみぶ・ー高い山の頂上。  金剛山高い峰をもつ山。  不能損一毛1本の毛も損なわずに、無傷で。
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 (31)   わくちおんぞくにょう かくしゅうとうかがい ねんぴかんのんりき  げんそくきじしん 
       或値怨賊    各執刀加害    念彼観音力     咸即起慈心 
           
わくそうおうなんく りんぎょうよくじゅしゅう ねんぴかんのんりき  とうじんだんだんえ 
           或遭王難苦    臨刑欲寿終     念彼観音力   刀尋段段壊

     或は、怨賊・おんぞく・に囲まれて、悪人たちが刀をつきつけ、害を加えようとするときにも、
     
彼の観音の力を念
念彼観音力じると、怨賊は 皆、即、慈悲の心を起すのである。
   
  或
・あるい・は、王難の苦(権力の苦)に遭遇し 刑を受ける時に臨んで、今まさに、命が終ろうとする時でも、
     
・か・の観音の力を念念彼観音力じると、刀はあいついで 段々に壊・こわ・・くだ・折れるのである。
      ー 取り囲む。  咸即ー ただちに、ことごとく。  王難苦ー 権力者から受ける苦難。
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 (32)   わくしゅうきんかさ  しゅそくひちゅうかい ねんぴかんのんりき  しゃくねんとくげだつ
       
囚禁枷鎖   手足被杻械     念彼観音力    釈然得解脱 
            しゅそ  しょどくやく  しょよくがいしんじゃ ねんぴかんのんりき  げんじゃくおほんにん
           咒詛  諸毒薬   所欲害身者    念彼観音力    還著於本人

      或は、枷鎖・かさ・に囚禁・しゅうきん・させられ、手足に杻械をつながれはめられている時でも、
     
 彼の観音の力を念
念彼観音力ぜば、釈然・しゃくねん・として、解かれることを得るであろう。
     
 呪詛
・しゅそ・や諸々の毒薬で、身に被害を受けるような時でも、彼の観音の力を念念彼観音力ぜば、
     
 呪いの咒文や
の力は、還つて、加害しようとする本人に 振りかかる。
  
   囚禁枷鎖・しゅうきんかさ・ー 囚人として、首をクサリでつながれる。 杻械・ちゅうかい・ー 手かせ足かせの刑具。
    
 咒詛諸毒薬・しゅそしょどくやく・ー 呪いの咒文や毒薬。  還著於本人・げんじゃくおほんにん・ー 還つてかえって本人にふりかかる。
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 (33)   わくぐうあくらせつ  どくりゅうしょきとう  ねんぴかんのんりき   じしつふかんがい
       或遇悪羅刹     毒竜諸鬼等    念彼観音力    時悉不敢害
            にゃくあくじゅういにょう  りげそうかふ   ねんぴかんのんりき  しつそうむへんぼう 
            若悪獣囲鐃    利牙爪可怖    念彼観音力    疾走無辺方

  
    或は、悪羅刹・あくらせつ毒龍諸鬼等に遭遇するとも、彼の観音の力を念念彼観音力じると、
      
これらの悪羅刹、毒龍諸鬼等は もう害を加えてこない。
     
 もしくは、
悪獣圍繞・あくじゅういにょう・などの時、利きすました牙爪の恐怖で恐れおののくとも、
      彼の観音の力を念念彼観音力ぜば、疾く無辺・むべ・の方に、走り去ってしまうのである。
          悪羅刹 極悪人ども。    悪獣囲鐃 狂暴な獣に囲まれる。   無辺方 あらゆる方向。
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  (34)   がんじゃぎゅうぶつかつ  けどくえんかねん  ねんぴかんのんりき   じんしょうじえこ 
         蚖蛇蝮蠍     気毒煙火燃    念彼観音力    尋声自回去
    
        うんらいくせいでん  ごうばくじゅうだいう  ねんぴかんのんりき  おうじとくしょうさん
            雲雷鼓掣電   降雹澍大雨    念彼観音力    応時得消散

      蚖蛇イモリへび及び、蝮蠍マムシサソリが、毒気を火煙のように、激しく噴射してきても、
  
    彼
・か・の観音の力を念念彼観音力じると、これらは、観音の名を聞いたとたん、自ら逃げ去ってゆく。
   
   
雲雷鼓掣電・うんらいくせいでん・して、雷がとどろき渡り、ひようが降り、大量の雨が降り注いできても、
       彼の観音の力を念
念彼観音力じると、その声に応じて 消散するのである。
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  (35)   しゅじょうひこんやく むりょうくひつしん  かんのんみょうちりき  のうぐうせけんく
    
    衆生被困厄   無量苦逼身    観音妙智力    能救世間苦 
 
            ぐそくじんずううりき   こうしゅうちほうべん   じつぽうしょこくど   むせつふげんしん
     
        具足神通力     広修智方便     十方諸国土    無刹不現身
  
   衆生が様々な困難にあい無量の苦しみが身に迫る時でも、観音妙智の力は、能く世間の苦を救う。
    
 観世音菩薩は 
神通力を具えていて広修智方便(広く智の方便)を修して、
    
 十方のあらゆる、諸々の国土に、
・せつとして、身を現じないことは無いのです。
      
 無刹不現身つまりありとあらゆる国々に 観音菩薩は現れるのである。            :「六神通力
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  (36)   しゅじゅしょあくしゅ  じごくきちくしょう  しょうろうびょうしく いぜんしつりょうめつ
        種種諸悪趣   地獄鬼畜生   生老病死苦    以漸悉令滅 

     観世音菩薩は、種々の諸々の悪趣地獄鬼畜生生老病死の苦を、すべて滅するのです。
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  (37)   しんかんしょうじょうかん こうだいちえかん  ひかんぎゆうじかん  じょうがんじょうせんごう
 
         真観清浄観    広大智慧観    悲観及慈観    常願常瞻仰 
              むくしょうじょうこう  えにちはしょあん  のうふくさいふうか  ふみょうしょうせけん
     
         無垢清浄光   慧日破諸闇    能伏災風火   普明照世間
      観世音菩薩には、
     真観清浄観
廣大智慧観悲観及び慈観があるのだから、常に願い常に膽仰・せんごうすべし。
    
 無垢清浄
・むくしょうじょう・の光、つまり、慧日・えにち・の光は、
      諸々の闇を破し
能く災の風火を伏しあまねく闇を消滅し世間を明るく照しています。
   この節は、観世音菩薩の心の眼を讃えている経文です
      真観清浄観ー 真実を見極める、迷いの無い清らかなまなこ・  広大智慧観ー 広く、大きな智慧のまなこ
     悲観及慈観
ー 苦悩の衆生を救う、慈悲の心で見る・まなこ・
   常願常瞻仰常に仰ぎ見て、手本にしたい、という願い。
     
慧日破諸闇ー 智慧の光は、もろもろの闇を消滅する。      普明照世間ー ・あまね・く明かに、世間を照らす。
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 (38)  ひたいかいらいしん  じいみょうだいうん  じゅかんろほうう  めつじょぼんのうえん じょうしょうきょうかんじょ  
    
   悲体戒雷震    慈意妙大雲   澍甘露法雨    滅除煩悩燄     諍訟経官処  
            ふいぐんじんちゅう  ねんぴかんのんりき  しゅおんしつたいさん みょうおんかんぜおん 
            怖畏軍陣中     念彼観音力    衆怨悉退散    妙音観世音
                ぼんのんかいちょうおん  しょうひせけんおん  ぜこしゅうじょうねん

   
              梵音海潮音    勝彼世間音    是故須常念
      観世音菩薩の妙智力は
      悲体の戒雷震」の如く、慈意の妙大雲のごとく、甘露の法雨をそそぎ、煩悩の炎を滅除する。
       諍訟して官処を経て 軍陣の中に怖畏・ふい・する時でも、彼の観音の力を念念彼観音力じると、
    
  諸々の怨
・おん・は、悉・ことごと・く退散するのである。
    
 観音菩薩は、
妙音観世音梵音海潮音勝彼世間音を もっております。
    
 是の故に、須らく
なすこととして当然に、常に念じて念彼観音力いなさい。
      妙音観世音みょうおんかんぜおん 真理の言葉をもつ妙なる声の観世音。
     
  梵音海潮音・ぼんのんかいちょうおん 清浄な声と心の教えは、海の潮騒の音の如く心の奥底に響く。 
        勝彼世間音・しょうひせけんおん 苦悩の世間に鳴り響き、迷い苦しみを征服するすぐれた声。
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  (39)   ねんねんもつしょうぎ  かんぜおんじょうしょう  おくのうしやく   のういさえこ     
    
    念念勿生疑      観世音浄聖    於苦悩死厄  能為作依怙
             ぐいっさいくどく   じげんじしゅうじょう  ふくじゅうかいむりょう  ぜこおうちょうらい
             具一切功徳   慈眼視衆生    福聚海無量     是故応頂礼
     観世音菩薩に関するすべてを、念念に、疑を生ずることなかれくれぐれも疑いをもってはならない
      観世音浄聖は、苦悩死厄において、能く人々の依怙・えとなれり。
   
   一切の功徳を具して、慈眼
・じげん・をもつて衆生を視るは、福聚・ふくじゅの海のごとく無量である。
   
   是の故に頂礼
このゆえに、つつしんで観音さまに敬礼し奉るすべし。
  
     念念勿生疑 くれぐれも疑いをもってはならない。  能為作依怙 人々のよりどころとなる頼れるもの。
     
  福聚海無量・ふくじゅかいむりょう・ 無量な幸せの海。  応頂礼・おうちょうらい・ー 心から敬い奉り五体投地を行う。
         五体投地・ごたいとうち・ー 両膝両肘額の五点を、地につけて礼拝すること。
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  (40)   にじ  じじぼさつ   そくじゅうざき  ぜんびゃくぶつごん せそん  にゃくうしゅうじょう  
       爾時  持地菩薩  即從座起    前白仏言    世尊   若有衆生     
          もんぜかんぜおんぼさつほん じざいしごう ふもんじげん じんずうりきしゃ とうちぜにん くどくふしょう 
         聞是観世音菩薩品   自在之業  普門示現  神通力者  当知是人  功徳不少 

       
     
 其の時に、持地菩薩・じじぼさつ・ 即、座より起って 前に進んで仏に申し上げます。
      世尊、若し衆生あつて、この観世音菩薩品の自在の業
普門示現の神通力を、
      すすんで聞く者は、まさに、知るべし。 是の人の功徳は 多くあっても少なくはありません。

      持地菩薩 
 釈尊の説法の座で、仏の位置菩薩の居場所などを、指示し引導する菩薩
    
   爾時持地菩薩即從座起  持地菩薩は、すぐに座よりたちあがって。
         普門示現  観世音菩薩が この世で観音妙智力を示すこと。
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  (41) 
   ぶっせつぜふもんぼんじ 
しゅうちゅうはちまんしせんしゅうじょう かいほつむとうどう あのくたらさんみゃくさんぼだいしん
    仏説是普門品時     衆中八万四千衆生    皆発無等等    阿耨多羅三藐三菩提心
  世尊が、この観世音菩薩普門品を説き給まわれた時、
   説法の座の八万四千もの衆生や
仏の弟子は阿耨多羅三藐三菩提の心を起こした。
   八万四千衆生大勢の人々。 阿耨多羅三藐三菩提完全な悟りの境地。         (完)  TOPへ戻る