第17章  大国主の神へ言向け
 地上に降り立った御雷の神鳥船の神 すぐさま 出雲の王大国主の神の前で仁王立ちのまま
  
十拏剣とつかのつるぎ をズブット地に立て刺し 剣の先に”あぐら”で坐り 胸を張り腕を組み鋭い眼光で睨にら 
 腹の底からゆっくりと重い口調で言向けことむけ 
 「高御産巣日神 及び
 天照大御神の御言みこと を以って 天照大御神の勅命を言い渡す。
  
この葦原の中州国は わが御子みこ の統治する国であるー よいな!この場で返事を申せ」。
 
大国主神は
 
「お答えする立場である我が子は 只今 鳥の狩りと魚の漁に 美保の岬へ 出かけております。
  よって
 この件は 子の事代主の神ことしろぬしのかみ  帰りしだい お答え申し上げます」。
 すると
 すぐに 鳥船の神は 子の事代主の神を探し見つけ連れ戻ってきた。
 事代主の神は
 
はは〜恐れ多くございます。父上 この国は 天つ神の御子に奉りましょう」と答え 隠れてしまった。
★ 疑問?
  大国主神の子
事代主の神が この国の統治権を天つ神に差し出します 答えたのはおかしいでしょ。
  大国主之神が地上の王なのだから
 大国主之神本人が返事するのが当たり前です。
  子の神が
 統治権を譲りますと答えて  身を隠した(逃げた)ということは
  言向けで納得したのではなく
 目の前のあぐら”で睨にら 御雷の神の威圧に畏れをなしたのでしょう。
  
力の差が歴然としているこの御雷の神と戦争しても 自分達が傷つくだけだ。 負ける戦は辞めよう。
  相手の要求を認めた方が得である。自分達の生存権だけは
確保できるだろう‥‥‥‥
  このように
 考えた結果の答えでしょう。
 建御雷の神が聞いた
 
「汝の子事代主ことしろぬし の神の答えは了解した。他にも 答える立場の子供はいるのか?」
 
大国主神は答えた 「もう一人 建御名方の神 たけみなかたのかみ という子がおります」。
 
そこへ 建御名方の神 千引の大岩ちびきのおおいわ 千人力でやっと動かせる岩を肩にぶら下げ 戻ってきた。
 
オイコラ!そこの野郎 おやじに対して 何をごちゃごちゃ偉そうにぬかしているのだ馬鹿野郎が。
  コラお前
 何者じゃい 俺が お前の手を へし折ってやるわい」。
 ヤ!力と力の対決‥‥‥
  建御名方の神
建御雷の神の手をつかんだ瞬間
  
建御雷の神の手が鋭い剣の刃に変わり 建御名方の神の手が切れ血がドクドクと噴き出しビックリ!
  おじけづいた建御名方の神は
ずずっと後退した。
  すると
 建御雷の神 建御名方の神の手をつかみ 一瞬で 捻じ曲げ折って放り投げた。
  
建御名方の神 これはかなわぬと 一目散に 逃げだした。     第18章へ   地上の国平定