第29章 八咫烏と宇迦斯兄弟 うかしきょうだい

 八咫烏やあたからす を先導にして 神武天皇 熊野吉野宇陀うだ の地を 難無く簡単に征服できました。
 吉野の河の河尻
かわじり では 竹で作ったしかけ籠を使ってを取る人に 神武天皇が声をかけると
 
私は 贄持にえもち の子という名の 国つ神です 答えました。
 この国つ神は 阿佗の鵜養いあだのうかい の祖先
 竹細工を使い河魚の漁を行う山の部族です。
 阿佗の地は
 現在の奈良県五条市あたり。
 さらに進むと 光る井戸から出てきた尾の生えた人が私の名は 井氷鹿いひか という国つ神です 答えた。
 又
 さらに進んでいくと 動物の毛皮を着た人が 岩の間から出てきて
  私は 石押分いわおしわく の子という国つ神です。 今 天つ神の御子に ご挨拶するため出てきました 答えた。

 
石押分いわおしわく の子は 鉱石を採掘して暮らす部族で光る井戸は金鉱のことです。
 
尾の生えた人とは鉱山に入る時に付ける 作業衣なのでしょうか!
 
動物の 毛皮を着る人とは 地下深い所の作業人で 地下の神(地中を治める神)に、
  
私は人間ではありません、尻尾がある地下の動物です(例えば、モグラ)とでも 言っていることなのか
  ボサツマンが思うには
たぶん当時の”安全祈願”風習なのでしょう。
  ここの表現は
伊波礼毘古の命が その土地の土着の先住民を従属していった歴史を述べています。
   
  
この宇陀うだ の地には 強敵宇迦斯うかし 兄弟が 待ち構えていました。
  そこで
 まづ 八咫烏が先発して ”言向け”します。
  今 天つ神の御子が この地に来ておられる。 お前達は お仕え申しあげるか 否か
  兄の宇迦斯は
 八咫烏の”言向け”に逆らい 八咫烏ヤアタカラス めがけ 鏑矢かぶらや を放った。
  幸いなことに
 矢は八咫烏を外れ 遠くに落ちた。
               そりゃそうでしょ 当たるわきゃない 八咫烏は 天つ神の使いなんだぜ ‥‥‥ボサツマン

 
鏑矢かぶらや」とは矢の先に音が出る穴を開けた矢で より高く遠く飛ぶように細工した矢のこと。
  八咫烏から外れた矢の落ちた地を
 訶夫羅前かぶらさき 呼ばれるようになった。
  兄の宇迦斯は
 天つ神の御子に決戦を挑むつもりで 軍勢を徴収したが ほとんど集まりません。
  すると
 兄の宇迦斯は 神武天皇(波礼毘古の命)を騙して殺す計画を 考えたのです。
  表向きは従属する顔で近づき 
歓迎の饗宴を開くふりをして 罠を仕掛け 御子を殺す計画です。
  つまり
 面従腹背めんじゅうふくはい を繕つくろっ たのです。  天つ神の御子 危うし! 
 
面従腹背めんじゅうふくはい とは 内心では反抗する気持ちなのに 表面は服従するように見せかけること。
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