第30章 兄・宇迦斯 宇陀の血原に死す
軍隊を結成できなかった兄・宇迦斯うかし は 面従腹背の態度を見せて騙して 波礼毘古の命を殺す計画を練った
神の御子・危ない!
表向きは従属の顔を見せ、大きな御殿で歓迎の饗宴を開くふりをしているが、腹は 騙して殺す計画です。
御殿の中に前もって仕掛けたー押しつぶして殺す機械ーで、神武天皇を、押しつぶし殺す目的です。
天皇の足がヒモに掛かると、上から巨大な石が 真上から落ちてつぶし殺す仕掛けを用意しているのです。
だが 弟・宇迦斯うかし は、天つ神の子/神武天皇の軍に服属することが正しいと、腹を決めていたので
神武天皇(波礼毘古の命いわれびこのみこと )に、兄の悪だくみをすべてを伝えました。
ー兄には 従属する気は まったくありません。 お遣いの烏カラス を 鏑矢かぶらや で狙い撃ちしたのも兄です。
兄は軍勢を集めたが 誰も集りませんでした。 皆が 天つ御子に従う気持ちなのです。
すると 今度は 御殿の中に押し機を仕掛け 波礼毘古の命さまの生命を 奪う計画をたてています」と告げた。
弟は兄とは違い 正確な状況判断をしていたのです。
天皇は 味方軍の大将・二名に指令を出した
さっそく 大将・道の臣の命みちのおみのみこと 大久米の命おおくめのみこと の二名は即 兄・宇迦斯を問いつめた。
ー兄・宇迦斯よ お前が先に御殿に入れ そして 中が安全なことを 証明せよーと 迫りました。
太刀を抜き 刃先を兄の背に付きつけ 御殿の中に入るように 命じた。
兄は 震えながら御殿の中に入り、自分が仕掛けた”ワナ”に押しつぶされて 死んだ。
この地域は 水銀の鉱山が露出していて、水銀の朱色が、あたり一面に露呈ろてい していたので
「宇陀の血原うだのちはら 」という血なまぐさい名前がついた。
その後 弟・宇迦斯は 波礼毘古の命(神武天皇)の軍に 服属の印として大饗おおあえ (大饗宴)を催した。
神武天皇は 大饗の酒・食物を、自らの兵士と宇迦斯の民を差別することなく 平等に分け与えました。
エライ!さすが天皇になられるお方 トップは公平心が必要です ‥‥‥ボサツマン
この大饗宴で 神武天皇は歌を披露された
ー宇陀の高城に 鴫罠張る 我が待つや 鴫は障らず うだのたかぎに しぎわなはる わがまつや しぎは さやらず
いすくはし 鯨障る 前妻が 肴乞はさば いすくはし くじらさやる こなみが なこはさば
立ち柧棱の 実の無けくを こきし削ゑね たちそばの みのなけくを こきしひえね
後妻が 肴乞はさば 厳榊 実の多けくを こきだ削ゑね うはなりがなこはさばいちさかきみおおけくをこきだひえね
ええ しやご しゃ ああ しやご しゃー
意味: ー宇陀の高い城に 鴫しぎ (水鳥)の罠しかけて 待つが 鴫は触れずに どでかい鯨がかかったよ、
食べ物を乞う古女房には とげとげ木の実を少しやればいい。 かわいい女(妾)には まるまる木の実をたくさんやるさ。
やーれ こいつめ そーれそれ わーい 可愛いおなごには ほ~い ほいほいー。
ボサツマン
ちょっと待った これは問題発言です いくら天皇といえども オイラは黙っていません。
古女房ふるにょうぼう には とげとげ木の実を少しだけ 可愛い妾には まるまる木の実を たくさんやる…とは差別し過ぎです。
前妻と後妻 本妻と愛妾 その対応の違い、男の身勝手さにビックリですよね!
男性は ー女房と畳は 新しい方が良いーらしい。オイラもこの考えには 言葉で反対して心では賛成‥‥小さい声で‥‥
でも 女性だってー旦那と台所は 新しい方が良いーと思っているかも? すいません 脱線しました‥‥ボサツマン
水取・もいとり・の始祖 水取もいとり とは 宮廷の水の係り
この後 弟・宇迦斯うかし は 宇陀うだ の水取もいとり の始祖しそ となりました。
水取もいとり は のちに、主水もんど と呼ばれるようになった。 必殺仕事人の主水とは関係ないです‥‥ボサツマン
天つ神の御子・神倭伊波礼毘古の命(神武天皇)は、宇陀の地を後にして前進していく。
第31章へ 神武天皇即位