分別功徳品 (8)
世尊
「次に 略解言趣 りゃくげごんしゅ を説きましょう。
阿逸多あいった (弥勒菩薩の通称名)よ 在世の四信ざいせのししん の第一段階/一念信解からさらに一歩進んだ
第二段階の教えである 略解言趣 りゃくげごんしゅ の教えとは
ー仏の寿命は無限であるーの教えを深く信解しんげ し この教えに含む大きな趣旨しゅし を少しでも理解できた
その衆生は 仏の無上の智慧を得ることができる という教えです。
仏の無上の智慧を得るとは 量り知れない大きな功徳を受けることです。
この教えに含む大きな趣旨しゅし とは すべての諸仏が無始の過去から未来永劫・永遠の未来においても
宇宙に遍満し 常に衆生の済度さいど 救いの教化を 行っているということです。
衆生の皆さんは このことを良く理解しなければなりません。
では ここで 回向えこう についてお話をします。
回向えこう とは 本来は自分が受けるべきはずの功徳くどく を ー他へふり向けるーという意味です。
例えば 経典の読誦どくじゅ は 自分の心に仏の教えを 深く植えつけて魂を浄化する行為なのです。
つまり 修行のひとつである、経典の読誦は 自分自身の成道じょうどう を目的としているのです。
祖先の御霊前ごれいぜん に経を唱えることは 自分が受ける功徳を 先祖にふり向ける行為なのです。
功徳を先祖にふり向けることは 先祖の霊の成仏じょうぶつ の向上になります。
先祖の霊が向上するとは あなたの先祖の霊が 霊界のさらに高い段階に進むということです。
あなたの先祖の霊が向上すると共に あなたの現象界のレベルが向上し、この世に楽が生じるのです。
霊前や仏壇の前で読経することを 一般的に回向えこう とよんでいます。
だが、人類の幸福を心から念じる回向・読経の功徳を人類全体にふり向ける回向こそが 本当の回向なのです。
回向の本義は ひとえに「他」のためにするのですが やはりその功徳は 自分の身に返ってきます。
故に 祖先の霊に対する回向の功徳は 自分の身体や環境の浄化などの現象として、顕われるのです。
つまり 自分の身と心が浄化するから 自分の人生が向上していくのです。
人類の幸福を心から念じて行う読経は 因縁いんねん や業ごう を消滅させ、人生を向上させるのです。
先祖の霊が成仏じょうぶつ し その衆生の業が消滅すると魂が浄化されるので 人生が向上するのです。
衆生の皆さん これは 真実なのです」。 つづく 広為他説 こういたせつ の教え