観普賢菩薩行法経 (4)
世尊
「諸法実相の悟りを得て大歓喜心だいかんぎしん に満ち溢れ いっそう深く経典を読誦どくじゅ する衆生は
十方の諸仏・多宝仏たほうぶつ ・釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ ・普賢菩薩 ほか 大菩薩衆を拝して
ーもし 自分に前世からの福があれば 普賢菩薩の あらゆるお相すがた を 拝見できましょう。
どうか 菩薩の広い心をもって ハッキリしたお相すがた をお示しくださいーと 心に誓願せいがん することでしょう。
誓願とは 心に強く願い 行動をもって最大の努力をすることです。
その誓願の心が生じた衆生は 昼夜に十方の諸仏を拝み 懺悔さんげ の法を行じ
ますます 大乗の経典を読誦し 教えを深く思索しさく し 教えを実行することを 自らの心に固く誓うでしょう。
この境地を得た衆生は 大乗の教えを受持じゅじ する者を 心から敬う気持ちを失うことは ありません。
周囲のすべての衆生に対し 仏を仰ぎ見るような思いの態度で接する人間に成長した衆生なのです。
つまり 諸法実相の悟りを得た衆生は 常不軽菩薩の如く 他人の仏性ぶっしょう を仰ぎ見て
すべての人を 父母に捧げる感謝の心をもって接することができる人間へと成長したのです。
この境地を得た衆生は 今後も 普賢菩薩の尊さを深く自覚し 菩薩行ぼさつぎょう を実行するのです。
普賢菩薩の徳と行の尊さを 深く自覚して実行する衆生は
ー諸法実相を見通す白毫びゃくごう 光明の仏の智慧は 普賢菩薩の行を実行することで生まれるーと 強く確信しています。
このように 真理の法と 普賢菩薩の行を実行していく衆生は やがて
自分も必ずや 三十二相を具えた仏の身に成り得ることを 心奥深く自覚できるようになっていくのです。
又 その大光明の感化力により 周囲の人々を菩薩の境界へ引き入れることを 自覚するようになります。
この境地を会得し自覚した衆生は 次に
化象けぞう つまり 善行の実行が さらに 周囲に善行ぜんこう の波動はどう を波及し 周囲を感化しらしめ、
衆生の周りの人々が皆 善行を行うようになり その善行がネズミ算式に増えていき やがて
十方無量無辺の世界に 善行の波動が満ち満ちていくことを 実感することでしょう。
そのような経験を実感した衆生は 娑婆世界の中における理想社会の実現を 強く切望せつぼう しつつ
自分も その理想社会の実現に役立つ人間になろうという 誓願せいがん を たてるのです。
その誓願をたてた衆生は 真理の法の信心が強くなってー大歓喜の魂ーの存在を実感するでしょう。
その大歓喜の魂の清浄な声は 衆生の心に
ー法の修行には終点は無いぞ 衆生よ満足してはならない 上の高い境地を目指して修行を怠るなーと 囁ささや いてきます。
この清浄な声を聞いた衆生は
ー大菩薩 大慈大悲者よ どうぞ私を もっと深い仏の教えの境地へお導きくださいーと 心に強く念じるようになります。
その衆生の念じる声は十方世界へ届き 大菩薩衆は大乗経の奥義おくぎ をその衆生に説くのです。
法の奥義を得た衆生は 即 大菩薩衆の応援を得て より高い賛嘆に値する境地に到達するでしょう。
この賛嘆に値する高い境地が 普賢菩薩と共にいることを観ずる 第一段階の境界きょうがい なのです。
この第一段階の境界に達した衆生が なおも 昼夜に大乗の教えを唱え念じる修行を重ねていくと
夢の中においても 普賢菩薩が教えを説いてきます」。 (5)へ