環境&社会問題
「田中正造が現代に生きていたら何を考え、何を問題提起しただろうか?」…という視点に立って、現在、惹き起こされている様々な問題を取り上げてみました。皆さんも一緒に考えてくださいね!
地 球 温 暖 化

 オランダのハーグで平成12(2000)年11月13日から25日に開かれた気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)の冒頭、「温室効果ガスを削減しなければ、地球は過去1万年経験しなかったスピードで温暖化するだろう。将来の世代は今、皆さんの手中にある。」地球の温暖化問題を研究する世界の科学者で組織するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のロバート・ワトソン議長は演説をこう締めくくった。
 しかし、世界180か国の代表、NGOなど約7,000人が参加した国際交渉は、世界中の期待を裏切り決裂した。

 これは何でしょうか?ここは 200海里制で、日本の経済水域を決める大切な領土なのです。島ともいえない様なこの岩礁が、そうです日本の最南端の領土「沖ノ鳥島」です。このままでは昭和初期以来の領土が水没して、近くのカツオ、マグロの豊富な漁場を失ってしまう。そこで保存工事が進められ平成9年までに280億円以上の経費をかけコンクリートで島を固めたのです。
 領海条約では、満潮時に水没しないことが条件であり、このまま温暖化が進むと近い将来、この島が水没して日本は豊富な漁場と広大な領域を失うことになるのです。地球温暖化はいやがおうにも間接・直接的に私たちの生活に大きな影響を与えます。
 温室効果ガスの排出を抑え・削減するという施策を各国に義務付けるという人類初の取組みは20世紀には形成しないことを決定付けた会議となった。
 人類は19世紀に本格化した産業革命頃より石炭・石油などの化石燃料を大量消費し始めた。燃やしてエネルギーを取り出す半面、二酸化炭素を排出し続けた。人類の二酸化炭素排出量は、炭素換算で20世紀始め年間約5億トンだったが、その後の石油化学工業の発展で20世紀末には66億トンに達している。何と約13倍の増加率である。
 1985年オーストリアのフィラハに集まった科学者たちは研究成果をまとめ地球温暖化の警鐘を鳴らした。3年後にICPP(気候変動に関する政府間パネル)が設置され、温暖化現象を科学的に検証する国際組織ができた。ICPPは1990年、第1次報告書を発表し、「人類が二酸化炭素を排出しつづければ、2100年には地球の平均気温は3度上昇、海面が最大1メートル上昇し、砂漠化も進む。」と予測して各国の政策決定者に早急な対策が必要だと警告。科学者が、国際社会に具体的な提言をするという画期的な報告だった。
 1997年の京都会議(COP3)で、先進国に2012年までに平均5.2%の温室効果ガス削減を義務付けた「京都議定書」が採択された。しかし、ハーグ会議(COP6)では具体的な削減ルールが決まらなかったため、国際的な取り決めは宙に浮いたままの状態だ。
 米海洋大気局(NOAA)は2000年2月、過去四半世紀、地球の気温は「百年あたり3度」という急ピッチで上昇していると地球温暖化が進行している実態を警鐘した。更にICPPが2000年11月に第3次報告書で「現状のまま進めば、2100年の温度上昇は最高6度にまで達する。」ことを明らかにし予測を上方修正した。
 温暖化の進行により国土を海面下に失う小島諸国、氷河の溶解により氷河湖氾濫の危機が迫るネパールなど、実害が予想される発展途上国は、早期の対策を訴えつづけるが、一方で温暖化対策は産業・生活構造に大きな転換を迫るという厳しい現実も認識し始めた。先進各国が自らを犠牲にしてまでも積極的な取組みをしなければ発展途上国ばかりでなく先進国自らの子孫たちにも大きな負の遺産となってしまうだろう。
〔2000/12/19〕

【気候変動枠組み条約】
 地球温暖化を防止するための具体的な対策を盛り込んだ国際条約。1992年の地球サミットで署名され、2年後の1994年に発効した。2000年現在の締約国は180か国。1997年の京都会議で採択された議定書は、EUが8%、米国7%、日本は6%を削減する義務を課した。議定書の発効には55か国の批准が必要だが、先進国は1か国も批准していない。〔2000/12/19 掲載〕

        地球温暖化問題の歴史(国際的動向)
        京都議定書の批准状況(2006年1月18日現在)

開花・紅葉の時期が変わる 〔気象庁発表 2005/11/9〕


現  象変化傾向
ツバキ開花9.4日
タンポポ開花6.0日
サクラ開花4.2日
イチョウ発芽3.2日
ノダフジ開花3.6日
サルスベリ開花5.8日


現  象変化傾向
イチョウ黄葉10.7日
イチョウ落葉5.4日
カエデ紅葉15.6日
カエデ落葉9.1日
 気象庁が紅葉の長期変化傾向を発表。50年前に比べてカエデの紅葉は15.6日、イチョウの黄葉は10.7日遅くなっているという。逆に春では、サクラの開花が4.2日早まっており、他にツバキが9.4日、タンポポが6.0日、夏に咲くサルスベリは5.6日早まっており「地球温暖化により長期的に気温が上昇していることが影響している」とした。
 1997年までのデータを基にした調査では、サクラは毎年0.02日の割合で開花時期が早まっていたが、2004年までのデータを比較すると0.08日。カエデの紅葉の遅くなる割合も前回年0.28日だったが今回0.31日で、開花・紅葉とも変動ぶりが顕著となった。
 気象庁は、1953年から生物季節観測を統一した方法で実施。調査は2004年までの各年ごとのデータを平均値(1971-2000年の平均)と比較して、約50年間の長期傾向を分析した。
 また、東京・大阪・名古屋など全国の大都市6地点と中小都市の平均を比較すると、中小都市の2.8日に比べ、大都市は6.1日とサクラの開花時期が早くなる傾向が強く「都市化によるヒートアイランド現象などの気温の上昇が与えた影響の一つ」としている。
〔2005/11/11 掲載〕


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