『渚に寄せる想い』
その頃、男は別の浜にいた。
彼女があの思い出の浜にいることを
知っていたかの様に。
大きな波を目の前にし、
波乗りをする気力もなく、
今でも愛する彼女に対して、
どうしてこんな態度をとっているのか
分からぬまま、海を見つめ、
自分の小ささを感じていた。
眩しい波に目を閉じると
まぶたの裏には彼女の笑顔が
鮮明に映っていた。
Back
Main