太陽の警察リプレイ「誤認逮捕! 凶弾の前に立つ男」(後編)




タカさんの失態

GM  さて、ルガーの方もラチがあかないから、撤収命令がボスから伝えられる。
ルガー  あ、女、動かなかったのか。そうすると、私がいなくなったあと、女がカーテン越しにチラリと見て何かをするという・・・(笑)。
タカさん  パターンだよね。
ルガー  もう一回だけ、押しかけてみようかな。
タカさん  実は、その彼女は『梅桃銀行』の社員で・・・(笑)。
GM  (笑) 何を言ってるんだよ。
ルガー  ハートのマークの『梅桃銀行』。
GM  違うよ。
すもものマークの『梅桃銀行』(笑)。
ルガー  どうしましょう? (少し考えてから)帰ります。

ルガー  新しい情報があるかどうか、情報交換。
タカさん  (少し話し合ってから)「特になし!」
GM  ボスが捜査課に現われるなり、「例の銃弾の件だが、照合の結果、春日秀征巡査の拳銃のものと一致した」と、言うね。
ルガー  「やっぱり・・・」
タカさん  「思った通りだったな」
GM  「彼はどうやら新宿管内に戻ってきているらしい」と、ボス。「こういった言い方はいけないかと思うが、彼の復讐は、未だ果たされていないからな」
タカさん  「また戻ってきたのか・・・」
ルガー  「やっぱり練馬が怪しいなあ」
タカさん  「検問を張らせるしかない。いや、検問はとっくに張ってあるか・・・」
ルガー  あ、そうだ。ケイさんの妻子はどこに?
GM  ホテルに泊まっている。見張りもいるよ。
ルガー  ならいいや。少し安心した。「けど、どうしよう?」 何もなくなってしまったような気がする。みんな捜索して、推理の方は失敗に失敗を重ねているし。
タカさん  一つでも成功していれば、もうちょいうまくいったかもしれないな。しかし、これはダイス運のせいだからな。誰のせいでもないな。
GM  日頃の行いが悪いからだよ(笑)。
ルガー  う~ん、困ったな。「もう一回さ、今度はタカさんに、お姉さんの家に行ってもらおうか」
タカさん  「タカさんのお姉さん?」(笑)
ルガー  「タカさんのじゃなくて、水木さんの方」
タカさん  「ああ、そういうことね。別に行ってもいいけど」
ルガー  「人替えということで」
タカさん  「ケイさん、署から出ないで下さいよ」
GM/ケイさん  「分かった」

GM  なんとなんとなんと! なんと駐車場には、柳沢のバイクが。
タカさん・ルガー  (驚いている)何ィ~!
タカさん  無線。
GM/ボス  「何だ?」
タカさん  大ピンチ! 【拳銃】3なんだよ。
GM  え?
タカさん  (気を取り直して)「あの、あの女の家に例のバイクが!」
GM/ボス  「な、何だと! よし。じゃあ、今から警官隊をそちらへ向かわせる。
彼を絶対に絶対に逃がすなよ!」(笑)
一同  (笑)
ルガー  キツイなあ。
タカさん  そういいながらも、いつも相手に逃げられるんだよ。まったく・・・(笑)。
ルガー  私も(そっちへ)向かいます。
タカさん  アパートとバイクが見える位置で張り込む。
GM  しばらくすると・・・。
タカさん  (遮って)「ボス~、早く来てよ~」(笑)
GM  しばらくすると、カーテンがサッと開いてね、水木彩、彼女が顔を覗かせるんだけど、すぐにまたカーテンを閉めてしまう。何か、彼女は慌てていたようだね。
タカさん  「ひょっとして、脱出でもしようとしているのか?」
GM  時間は一刻一秒過ぎていく。
タカさん  「よ~し、乗り込むか」
ルガー  ゲッ。乗り込むのか、ひとりで。
GM  彼女の部屋の前。鍵は掛かっているみたいだ。
タカさん  ピンポ~ン。
ルガー  (一人で演出)ピンポ~ン。ガンガンガンガンガン! 「向こうだ~!」
タカさん  (落ちついた様子で)ピンポ~ン(笑)。
ルガー  (笑)
GM  (ドアは)開かない。もとい、開けない。
タカさん  「ちわ~、三河屋です」
GM 全然反応なし。
ルガー  (慌てている)タカさ~ん!
タカさん  「ピザを持ってきました」
GM  反応なし。
ルガー  (かなり慌てている)タカさ~ん!
タカさん  「宅配便です」
GM  全然なし。
ルガー  (ものすごく慌てている)タカさ~ん!
タカさん 「借金の取立て・・・」
GM  部屋の中からは、「逃げて!」とか言う声が聞こえたりするんだな。
ルガー  (非常事態)タカさ~ん!
タカさん  「逃げるんじゃない。柳沢はそこにいるんだろう!!」
GM  応えはない。
タカさん  もう(奴は)気がついたでしょ。拳銃を構える。
GM・ルガー  どうするの?
タカさん  ドアをこじ開ける。
GM  【拳銃】3じゃ、無理無理。
タカさん  じゃあ、体当たりでもいいよ。
GM  だいいち、彼がいるかどうかは分からないよ。
タカさん  「早く逃げて」と言っているわけだから、これはいるよ。「逃げて」と言うことは、もう一人、誰かがいるということだ。そしてバイクがある。逃げなければならない人間がいるということなんだよ。(少し間をおいて)「ボス~、早く来てよ~」
GM  来ないね。
ルガー  タカさ~ん。
GM  しばらくすると、彼女はドアを開けるね。「私のほかに誰もいませんよ。どうぞ、中をお調べください」
タカさん  「あ、これはどうも」(笑)
GM  何にもない。彼のいた痕跡は、何一つ残されていない。
タカさん  床を調べる。
GM  何にもない。
タカさん  天井を調べる。
GM  何にもない(笑)。
ルガー  タカさ~ん!(笑)
タカさん  (車まで戻って)「ボス~、逃がしました~!」(笑)
GM/ボス  「バカ野郎! 多分、奴は窓から逃げたんだろう(水木彩の部屋は1階にある)」
タカさん  バイクはあるんでしょ?
GM  奴が、バイクで逃げるとは限らないでしょ。
タカさん  あ、そうか。
GM  多分、走って逃げたんだろうね。
タカさん  む~。
GM/ボス  「もう一つ。俺がちょっと目を離した隙に、ケイさんがいなくなった。今、新宿中央署の警官隊と合同で捜している」
タカさん  「多分、一人で来いと呼び出されたんだな」
GM/ボス  「おまえは、ルガーと一緒に柳沢の身柄を確保だ!」
GM  と、そんなところにルガーと警官隊が到着する。
タカさん  「まずいぞ、逃げられた! さあ早く追うんだ」
GM  「何をやっているんだ、おまえは」と、皆さん呆れ顔。

◆パトカーがけたたましくサイレンを鳴らし、新宿管内は騒然となる。もちろん、十数台のパトカーの中にタカさん、ルガーの姿もあった。ついにドラマは最終局面を迎えようとしている。



凶弾の前に立つ男

GM  新宿中央署のパトカーから無線が入る。「新宿駅近くの廃ビルに、柳沢が逃げ込んだという目撃証言あり。緊急配備中のパトカーは向かってください。繰り返します・・・」
ルガー  方向転換して向かいましょう。
GM  ここで音楽が変わる。スローテンポのアレンジヴァージョン。警官隊、機動隊、そして新宿管内の多くのパトカーが廃ビルへと向かっている。
タカさん  いっぱいパトカーがファンファンとサイレンを鳴らして?
GM  そう。
 さて、警官隊と機動隊がビルを取り囲んでいる。きみたちは、そんなところに到着する。ビルの屋上を見るとふたりの男がいるようだね。
ルガー  (拳銃で)狙う(笑)。
GM  ちょっと無理じゃないの?
ルガー  じゃあ、静かにビルに入り込みます。
タカさん  ついていく。
GM  (階段をのぼる音)カンカンカンカンカンカン。
 きみたちが階段を駆け上がり、屋上に着いたそのとき、バーンという銃声が響く。きみたちが見たのは、銃弾に肩を撃ち抜かれ、苦しみの表情を浮かべているケイさんと、対照的に怒りとも喜びともつかぬ表情を浮かべている、柳沢の姿であった。
GM/柳沢  「おまえさえいなければ、妹は・・・。おまえのせいで妹は死んだんだ。それなのに、おまえはのうのうと刑事を続けていやがる。こんなことが許されてたまるか!」
GM  もう、(銃弾は)二発目が撃たれたんだよね。
ルガー  ラスト一発だ。
GM/柳沢  「分かるか? 妹を殺された俺の悲しみが、苦しみが。いや、おまえになんか分からないだろうな」
GM/ケイさん  「許してくれ・・・」
GM/柳沢  「それなら、妹を返してくれ!」
タカさん  「ケイさん・・・」
GM  彼もさすがに罪悪感を感じているようだ。
タカさん 拳銃は持って来てないのかな?
GM  (黙って頷く)
タカさん  ルガーの弟は、すっかり影が薄くなったな・・・。
GM/柳沢  「絶望にうちひしがれた俺が、新宿南公園で毎日をぼーっと過ごしていた時、俺は、毎日同じ時間に警官が巡回に来ることを知った。そのことを知った俺は、警官を待ち伏せし、殺して拳銃を奪った。妹のためなら、警官をひとり殺すぐらい何でもなかった・・・」
タカさん  「今度は、ルガーが『弟を返せ!』と」
ルガー  「それじゃ、柳沢と同じじゃないですか」
GM/柳沢  「そして、ついにこの時が来た。今日の朝、妹の墓参りに行ってきた。妹に誓ってきたよ、復讐をな!」
ルガー  「やっぱり・・・」
タカさん  「ルガー、撃て!」
ルガー  撃っていいですか?
GM/柳沢  「撃つな!」
タカさん  「アブね」
GM/柳沢  「撃ったら、そこにいる刑事は死ぬことになるぞ!」
タカさん  「やめろ、やめるんだ!」
GM/柳沢  「うるさい!」
タカさん  「ケイさんを殺しても、おまえの妹は生き返らないんだぞ!」
GM/柳沢  「うるさい、もう遅いんだ!」
ルガー  「おまえは、ケイさんと同じようなことをしてしまったんだぞ!」
GM/柳沢  「な、何だとっ!」
ルガー  (感情を押し殺した声で)「おまえが殺した警官にだって、親だって兄弟だっているんだ。彼らの悲しみを考えたことはないのか?」
GM/柳沢  「くッ」
タカさん  やっぱり主役だよ。
GM  あと一押し!
タカさん  ここで、ルガーがゆっくりと歩いてきて、手を広げてケイさんの前に立つんだよ。
ルガー  読んでるよ。
タカさん  ルガーを指差して、「おまえが殺した警官の兄貴だ」
GM/柳沢  「俺は、妹に対する憎しみにとらわれすぎて他のことが見えなくなっていた・・・。そう言えば、人を一人殺しているんだよな・・・」
ルガー  「自殺するんじゃないぞ!」
GM 彼は、持っていた拳銃を取り落とすと、よろめくように一歩、二歩と後退する。そして、空中へと身を踊らせ・・・。



エピローグ

GM  いつも通りの新宿第二中央署。ボスが、ルガーのところにやって来るね。ボスは、ルガーの肩に手を置くと、「ルガー、気を落とすなよ」と言う。
ルガー  「ハイ」と、力なく頷く。
GM/ボス  「明日、みんなでルガーの弟の墓参りに行こうじゃないか」
ルガー  「酒は持っていきませんよ、ボス」
GM  「実に惜しい男を亡くしたよ」と、ボスが遠くを見つめるような表情をしたところで、ポーズ。

◆CAST

春日秀憲
刈山貴志
太田光則(以下、NPC)
川嶋圭
  春日秀征
柳沢規男
柳沢美里
水木彩
  川嶋幸子
川嶋圭太
川嶋翠
瓢箪の女将さん
オープニングの犯人
新宿中央署刑事
新宿中央署鑑識
春日家親戚一同
春日秀征の同僚
春日秀征の友人
マンションの管理人
柳沢の友人
SS店員
練馬署
機動隊


GM  墓参りしている場面。ルガーの弟、秀征がカラオケボックスで唄っていた場面など、数々の回想シーンが流れるね。そして、三人がお墓に線香や花やらをお供えする。そんな三人を悲しげに夕陽が照らし出すのであった・・・。


 この物語はフィクションであり、従って登場した人物、団体その他の名称は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。




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