クリスマスのイブイブの日。
クリスマスは二人でゆっくり過ごしたいな〜なんて、
甘く囁いた俺に大好きな婚約者様が一言。
「くりすます?『やどりぎ』の下で、口づけを交わしてもいい日のことか?」
残念ながら『救世主キリスト』の産まれなかった眞魔国にはクリスマスが無い。
なのでコンラッドの入れ知恵で得たヴォルフの知識なんてこんなものだ。
「うん、まぁ・・それも間違いじゃないけどさ。」
「??一体なにがいいたいんだ、ユーリは。」
「クリスマスはさ、大事な人と一緒に過ごす日でもあるんだよ。」
おれの言葉に、小首を傾げてヴォルフは聞いてくる。
「それでユーリは、ぼくとその、くりすますとやらを過ごしたいのか?」
「そりゃ〜ね。でも乱入しないはずが無いでしょ?あの面々が・・・。」
おれの答えに頬を僅かに染めたヴォルフラムだったが、
苦笑するおれに習って、盛大に溜息をついて見せた。
「前回があのような事態だったからな。今回も変わらぬ騒動になるだろうな。」
「だよなぁ〜・・やっぱ。」
やっぱり二人きりでのあま〜いあま〜いクリスマスは夢のまた夢か、と溜息。
でもそこはそれ、前向きな性格のおれは『仕方ないか!』と割り切った。
「仕方ないか。クリスマスは皆で楽しく過ごすって言うのもアリだし。」
「なにぃ!?お前はまだ想像の段階だと言うのに、
ぼくと二人きりの時間を諦めると言うのか?!
お前の決意はそのように脆弱なものだったのか?!!」
いきなりのご立腹。
さすがは、わがままぷー。
でもそこがまたかわい・・・いやいや。
ここはきっちり納めておかなくては、後が大変になるからなぁ。
「そう怒るなよ〜、そのかわり・・・」
「そのかわり??」
「お前にだけ、いいもの用意しといてやるよ。」
「それはなんだ?」
「だめ、秘密。聞いたら面白くないだろう?」
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