誰が為に鐘が鳴る

 

 

式の概要も覚え、親族一同にもそれぞれ役についてもらうことになった。

まず司祭はウルリーケ。

それからユーリの親族として、友人なので大賢者、娘のグレタ、

何となくおじいちゃんみたいだからとギュンター、

それからどっちに並んでもらうか随分迷ったが、名付け親なのでコンラート。

ぼくの方は、母上とビーレフェルトの叔父上と、それから兄上。

グレタにはリングガールとして一仕事をお願いし、

ユーリの付き添いは大賢者が、ぼくの付き添いはギーゼラがつく事になったので、

あとはぼくのエスコート役だけなのだが。

基本的には男親の役目なんだよね〜と言いつつ、ユーリは一つの疑問に達したようだ。

「そういえばおれ、ヴォルフのお父さんに会った事無い!!

ツェリさまには報告してるけど、お前のお父さんにはしてないぞっ!

なっ、なぁ!今からでも『息子さんをぼくに下さい!』ってやった方がいい?!」

窓問いも終わり、実質夫婦である今頃になって、

急に慌て出すユーリの様子が可笑しくて思わず噴出してしまった。

「そんなにぼくの父上に会いたいか?」

「あたりまえだろ!?こういうケジメは大事だぞ!!」

「だったら、式が終わって一段落ついたら、花を持って一緒にビーレフェルトに行こう。」

「駄目だって!式が終わってじゃ、事後報告になっちゃうだろ!!」

「・・・いいんだ。父上は早くに亡くなられているのだから。」

「ヴォルフ・・・ごめん。」

ごく普通に教えたつもりだったのに、ユーリは泣きそうになりながらぼくを見ている。

「なぜ謝る?ユーリは何も悪くないじゃないか。」

「でも、お前の大事なお父さんだろ?なんか、悲しくて。」

「ぼくは大丈夫だ。今までだってぼくには母上や叔父上や兄達がいた。

そしてこれからは、ユーリやグレタが一緒にいてくれるんだろう?」

「うん、もちろん。」

ぴったりと体を寄せ合って笑うぼくらを、もし父上がご覧になっているとしたら、

きっとぼくらの前途を誰より祝ってくださるだろう。

 

結局ぼくのエスコートは、

『いや〜、やっぱりこのメンバーで花嫁の父の風格があるっていったらこの人でしょう!!』

と、しっかりご指名されてしまったグウェンダル兄上だった。

 

 

 

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