4年目のサプライズプレゼント

 

 箱を開くと、それはオルゴールで、美しくて優しい音色が聞こえてきた。

 「綺麗な曲……」

 雪はうっとりとその音楽に聞きほれた。守も航も気に入ったのか、楽しそうに体を揺らしながら聞き入っている。

 「あら? カード?」

 オルゴールの中には、二つに折ったメッセージカードが入っていた。

雪へ……

 結婚4周年だね! 4年間、本当にありがとう。

 この4年の間に、僕は君に加えて、守と航という宝物をもらうことができた。僕にも立派な家族ができたこと、心から嬉しく思っているんだ。全部、君のおかげだ。

 これからもずっと、君とそして子供達と一緒に暮らしていけるのが、僕にとっての最高の幸せだ。

 ありがとう、雪。そして、これからもよろしくなっ!!

P.S この曲の作者と同じ気持ちでこれを書いています。

 さらに、それに添えられていた曲の説明文を読んで、雪の目に涙が浮かんだ。母の涙に、守が心配そうにすがりついた。

 「ママ、どうしたの?」

 「大丈夫よ、ママね、とぉってもうれしいの。だから涙が出ちゃうの」

 「??」

 幼い守には嬉し涙というものは理解できない。不思議そうに見つめる守と航を、雪はぎゅっと抱きしめた。

 「守のパパは、世界一、ううん宇宙一素敵なパパなのよ」

 「うんっ!!」

 その言葉に安心したように、守も母を抱きしめ返した。



 ちなみに、添えられていた曲の説明文には、こんな文章が書かれていた。

曲名:愛のあいさつ

作曲者:エドワード・エルガー
        (1857-1937)

 エルガーが婚約の記念に、妻となるアリスに贈るために書いた作品。

 エルガーは愛妻家としても有名で、結婚3年の記念にも曲を贈っている。他にも妻を思って作曲した曲が多数残っている。
 その生涯大切に愛し続けた妻に初めて捧げた作品だけに、深い愛情こもった親しみ深く美しいメロディが魅力の曲です。

 後日、航海から帰ってきた旦那様が、奥様から大歓迎を受け、その夜はまたまた大サービスを受けたことは、言うに及ばぬことであります。

 詳細は……皆様のご想像のままに……(*^^*)

 もちろん、このオルゴールが奥様の宝物のひとつになったことは、言うまでもありません。

 4年目のサプライズプレゼントは、旦那様の思惑が大成功に終わりましたとさ。
 皆様、今回ばかりは、是非とも彼をお褒めくださいませ!

おしまい

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(背景:ivory MIDI:みんなにないしょ)