進は、雪を抱きかかえるようにして寝室に向かった。部屋に入る前に、2人でそっと子供部屋を覗きこむと、二人の天使がぐっすりと眠っている。それを見て二人は顔を見合わせて微笑みあった。

 「よく寝てるな」

 「ええ……」

 「ベッドへ行こう」

 進が雪の耳元をくすぐるように囁き、その言葉の通り二人はゆっくりとベッドに倒れこんだ。
 妻を下に組み敷いた進は、しばらくじっとその美しい顔を見下ろしてから、ゆっくりと唇を寄せた。雪もそれに答えるように、僅かに唇を開いて夫を受け入れる。粘着性の音が静かな部屋の中で小さく響いた。

 進は十二分に唇を味わうと、一旦顔を離した。そして雪の上になったまま、片手で雪の着衣を脱がし始めた。衣擦れの音とともに、雪の体から衣がはずされていく。
 薄明かりの下に光るのは、愛する妻の白く美しい肢体だった。

 愛しい夫に全てをさらす妻。何度となく見せているはずなのに、それでもまだ恥じらいを感じる。だがそれ以上に欲望を感じているのも確かだ。
 雪は進にも自分と同じ姿になることを求めた。

 「あなたも……」

 「ああ……」

 そして進も雪の手に助けられながら、自分の着ているものを全て脱ぎ捨てていった。
 初めて愛し合ったときも逞しいと思った夫の体は、今はそれよりもずっとずっと逞しくなっている。また、うっすらと残る傷跡の数も増えている。だが、その全てが、雪にとって何よりも大切で愛しいものだった。

 「雪……」

 互いを遮るものは何もなくなり、全てを取り払った妻の美しい体を、進は上から順々になぞっていった。
 頬に手をやると、雪の手もそっとその上に重ねられ、その手に頬擦りされた。雪の閉じられた瞳の上で、まつげが小さく揺れている。

 進はさらに手を下へと進めた。首筋から鎖骨をたどり、ふくよかな胸のいただきを包むように時には強く、時には優しくなぞる。と、その度に雪の口から艶かしい声が漏れた。

 二人の子を産み育てた彼女の胸は、処女の頃よりもいくらか大きさを増したように思える。だが、色白のせいか、その先端のつぼみは、今もまだその頃のように美しくも淡い色を誇っている。

 進は、艶やかに張るそれの弾力を楽しむように、何度も手で包み唇で愛撫した。雪の両腕が進の背中に回り、広い背中を強く抱きしめる。

 「はあぁ…… あなた……」

 感極まったような喜びの声に誘われて、進の手がさらに下へ向かい、小さなかわいらしいへその周りで止まった。そして手のひらをその上にやんわりと置いたまま、彼女の腹部をじっと見つめた。

 「進さん?」

 動かない夫に雪が声をかけると、進は顔を上げた。その顔には、なんとも表現しがたい幸せな表情を浮かばせている。

 「うん…… ここに、いるんだよな?」

 「ええ……」

 雪が微笑むと、進は泣き出しそうな、それでいてひどく嬉しそうな顔をした。

 「雪…… 好きだ、愛してる……」

 めったに聞かれない夫の愛の言葉が、雪の耳に囁かれた。それが自分の子を3度も宿してくれた最愛の人への最大の賛辞でもあった。

 「私もよ…… 愛してるわ……」

 雪の答える声を合図に、進は再び愛撫を再開した。進の手がさらに下に伸び、すらりと伸びた長い脚の間に進むと、雪はたまらず甘く切ない声を上げた。

 「あぁぁ〜 進さん……」

 甘い声は更なる行為へ誘う媚薬となる。進のカラダは、雪を求めて強く固くなっていった。さらに愛撫を繰り返してから、進は意を決したように顔を上げた。

 「いいか?」

 短い質問に、快感で顔を紅潮させた雪はただ頷いた。

 「ゆっくりするから……」

 そうつぶやくと、進はゆっくりと腰を下ろしていった。

 今日の動きはいつもよりもずっとずっと優しくてゆっくりだわ……雪は思った。

 進は愛するものを守り慈しむように、できるだけ体重をかけないようにと、腕に力を入れた。

 愛する妻と、そしてやがて生まれくる我が子とを、二人一緒に抱きしめている…… 進は今、そんな気がしてならなかった。



 ようやく静かなうちにも深い思いを遂げた二人は、そっと寄り添って横たわり、互いを抱きしめていた。

 「大丈夫か?」

 行為を行ってしまってからも、まだ不安が消え去らない進の問いを、雪が一蹴する。

 「ええ、全然……なんともないわ。それにとっても素敵だったわ」

 「よかった……」

 自然と笑みが漏れてきて、そして吸い寄せられるように、二人の唇が再び合わさった。
 それから、進は名残惜しそうにしながらも、妻の体を自分から少し離した。

 「冷えるといけないから、服着ろよ」

 「ええ……」

 夫の優しい心遣いに、妻は素直に従う。夫も同じく身づくろいを済ませてから、二人は再びピッタリと寄り添った。

 「明日病院行ってちゃんと見てもらってこいよ」

 「はい……」

 そして再び、柔らかに抱きしめあった。



 しばらくして寝息をたて始めた雪を、進はじっとみつめていた。それから、小さな声で独り言のようにつぶやいた。

 「雪、俺と結婚してくれて、ありがとう…… 俺にこんなに素晴らしい家族を作ってくれて……ありがとう。それから、5年目のプレゼント、ありがとう。
 俺は宇宙で一番幸せな男だよな。本当に本当に、ありがとう。それから……これからもずっと、よろしくな」

 それだけを告げると、進も満ち足りて、静かに目を閉じた。

 その後、寝ているはずの妻の瞳から一筋の幸せの涙がこぼれたことを、彼は……知らない。
 

おしまい


 古代君と雪のページは、無事5周年を迎えることができました。この5年間の間、とても素晴らしい体験をたくさんさせていただき、ご来訪くださいました皆さまには、本当に厚く感謝しております。

 サイトはまだ続きます。これからも、ヤマトの世界を、古代進と森雪の二人を通して描いていきたいと思っています。そんな私の世界をこれからも一緒に楽しんでいただければ、とっても嬉しいです。


 さて、2周年目から4作書かせていただいたサイトの開設周年と結婚記念日を関連させる作品は、この作品を持ちまして、一旦終了させていただきたいと思います。
 この二人のことですから、この後も毎年毎年結婚記念日には幸せラブラブな時を過ごしたこととは思いますが、そろそろネタもつきましたし……(笑) 後はルーチンワークでラブラブしまくっているってことにしたいと思います。

 もしまた、特別な記念の年がありましたら、また書かせていただくこともあるかもしれない、とだけ申し上げておきたいと思います。

 なお、今回判明した雪の妊娠に関しては、拙作『"愛”の誕生秘話』と関連付けておりますので、お忘れの方は再度ご覧いただけると嬉しく思います。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。そして、これからも『古代君と雪のページ』をどうぞよろしくお願いいたします。
あい

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