CDドラマ 「PON!とキマイラ 学園天国編」のちょっと裏話


ありがたいことに、PON!とキマイラのCDドラマが存在します。
罰当たりなことに浅野は一回しかまともに聞いてません。(ソレさえも怪しい)
聞いてると恥ずかしくなって耳を塞いで逃げ出してしまうからです。
完成品が届いたときも、丁度仕事中でアシスタントさん達がいまして、彼女達が「わー!聞こう聞こう!!」と早速コンポに入れて聞こうとするのを尻目に私はペン入れの最中にもかかわらずその場を逃げ出しました。
仕事場から聞こえるアシスタントさん達の声は楽しそうでした。
その後で、覚悟を決めて決死の思いで聞いたのですが、自分のマンガの台詞を声を出して読まれることほど慣れない事はないです。ましてや、聞こえてくるのはプロの声優さんの声。演技入ってます。当然です。
担当さんが打ち合わせの際に
「ここのこの台詞さぁー」
と声に出すのとは分けが違います。
申し訳ない気持ちと共にありがたい気持ちでいっぱいいっぱいになってしまうのです。

さて、ちょこっと裏話。
このCDドラマはPON!とキマイラの二巻の話を中心に作成されたのですが、最後に収録されている
「午後は○○ おもいっ清テレビ」について。
CDドラマを作成する際にはシナリオが作られます。台本というか。
最後の枠に収録するよう作っていただいた話が某有名ドラマのパロディでした。
「踊るなんたらかんたら」ってタイトルの刑事物です。
それはそれで聞いてみたかったのですが、少しキャラクターの動きのイメージが私や一緒に検閲してくれた他二人にとっては違うものに仕上がっていました。
 「残念やけど、こうじゃないと思わん?」
 「どうせ、パロってもらうならもっと良いネタないんかなぁ?」
 「おもいっきりテレビをモジっておもいっ清テレビとか」
 「清丸がみのさんなんやー!」
 「奥様キラーなんやー!!」
 「しょーもなー!!!」
といいながらも仕事が終わった直後の徹夜明け状態である我々は酒も飲んでないのに妙にハイ。
そのフレーズがツボに入ってしまい、勢いのまま担当さんに相談してみたところ
 「そんな抽象的な事言われても分かんねーだろ。書いてみなさいよ」
ブチッと電話を切った私に「なんて?」と期待に満ちた顔を見せる二人。きっと彼女達は担当さんのあきれ返った末に出た罵倒にも似た台詞を待ってるはず。
ごめん。そうじゃなくて。
 「書いてみろっていわれた…」
数秒の間があった後(きっと他の第三者がココにいたら一瞬の間だったと思うのですが)発せられた抗議の叫びは東京には届きませんでした。残ったのは慌てふためく愚か者の涙混じりの声。
 浅野「誰が書くねん!!」
 二人
「お前に決まってるやろ!!!!」
そりゃそうです。でも助けて。可笑しいやろってところは突っ込んでくれないか?
半泣きでお願いしておもいっきりテレビの流れになってないところを突っ込んでもらい、キャラクターの台詞を書き出しながら作成していき何とか形になったものを提出させていただきました。
後にシナリオとして清書されたものを見せてもらって、あの話は完成したのです。
シナリオライターの方、わがまま言ってすいません。ありがとうございました。
ちなみに浅野はCDドラマの途中に入る清丸のCMのネタ好きです。
最初に見せていただいたシナリオで清丸の台詞に「乳首」と書いてあったのを悲鳴をあげて慌てて訂正の線を入れたのも今となってはいい思い出です。出来たシナリオの関西弁が可笑しいところを修正させてもらい、尚且つその後担当さんに聞いた話で船長役の安原さん(関西人)に「京都弁と大阪弁はちょっと違うんだよね」と修正されたらしいってのもいい思い出です。「ぎゃふん」みたいな気持ちってああなんだろうな。

浅野は都合でアフレコ現場には行けなかったのですが、ご出演していただいた声優さん方から浅野宛にコメント付の色紙をいただきました。これ、実は二枚あります。一枚は浅野用に。もう一枚は本当は読者さんへのプレゼントになるはずでした。
何故ならなかったのか。
浅野宛に書かれたコメントが何故か読者さん用の色紙にも書かれてしまったからです。
「りんさんへ」と書いていただいたコメントがついた色紙を読者さんにプレゼントってそりゃぁちょっと失礼じゃないですか??っていうことで二枚とも私の手元に届くことになったのでした。

CDドラマを聞いてくださった方、ありがとうございます。どうかあなたの思い出の一つとしてこれからも手元に置いて頂けたら幸いです。

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