主な症状は・・・

◆侵入性反応◆
特徴:過剰な活動性

日常生活で思いがけないような出来事に心を痛めるといった経験は誰にでもあることです。
しかし、人はその出来事を
思い出す たび「大変なことになった」というショッキングな気持ちや
「なんでこんなことになってしまったんだ」という怒りの感情がよみがえってきます。

それを何回か繰り返すうちに、その出来事を思い出しても、激しい感情が次第に薄れていき、最後には「大したことないではないか」というふうに思えてくるようになります。
つまり、繰り返し思い出したり、その思い出を話したりすることで、その体験を消化し、既存の認知的枠組みに取り込むことに成功します。

しかし、PTSDになるような体験はその人の認知的枠組みに組み込まれることなく、どれだけ時間が経過しても過去の思い出とはならない のです。
とう言うのも、その記憶はまるで「瞬間冷凍された体験」のように生々しく保存されてしまうからです。

自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心が自らを守るために、それを瞬間冷凍してしまうためです。
それによって、その体験に関するさまざまな記憶、例えば視覚や聴覚などの諸感覚の記憶、情緒や感情、その際に抱いた考えや思考などは
とりあえずひとかたまりとなり、心の他の領域に影響を及ぼさなくなります。

通常の記憶の場合には時間が経つにつれその質が変化していくものですが、このトラウマは「瞬間冷凍」であるため、鮮度はずっと保たれてます。
かなり時間が経過した後、何らかの理由で瞬間冷凍された体験が解けた場合、
そこに凍り付いていた記憶の一部は、非常に生々しいかたちで心に侵入してくるのです。
(「子どものトラウマ」西澤哲)


侵入性反応は はっきりとしていて分かりやすい反応と言えます。

「何かやっていなくてはいられない」という過剰に昂ぶった状態・興奮状態。
→アルコール乱用・薬物乱用などの嗜癖(アディクション=有害な習慣)にはまり込んで人も。
(怒りの爆発 という状態もこの時に見られる)


■驚愕反応とパニック■
例) ●ベトナム戦争から帰還した人がヘリコプターの音を聞いただけでその場から逃げ出そうとする。
●エレベーターの中でレイプされた女性が エレベーターの前で立ちすくんでしまう。
●突然興奮したり、過度の不安状態になる。

■侵入性回想■
とても嫌な、思い出したくない記憶が 何も関係のない場所で(たとえば静かに読書している時などに)
フッと意識の中に侵入してくること。これが夢に出てくると、悪夢となります。

そうした回想が、事件当時に感じた恐怖や冷や汗などの生理反応と一緒になって 再体験されることを
フラッシュバックと言います。


■その他■
●トラウマ体験を思い起こさせる刺激(トラウマ体験と同じ様な場面、例えば音、臭い、場所、時等)が引き金にする事が多い。
●子どもの場合、トラウマ体験を思わせる遊び(ポスト・トラウマティック・プレイ)や話を繰り返す。


トラウマの再演*再演技化(リイナクトメント)とは。  (イナクト=劇を上演するという意味)

この症状で誤解しないでほしいのは、「演じる」と言っても故意にやっているわけではなく、
無意識に演じてしまう という事。

例) ●性的虐待を受けた人が売春に走ってしまう。(もう一度性被害にあうような状況に持って行ってしまう)
●ベトナム戦争から帰還した人が帰国後殺人を繰り返したり、他国の軍隊に雇われ戦争に参加し続けたりする。


この行動の意味としては
過去に自分がコントロールできなかった状況での心の傷を
自分の身を 同じ状況に置く事によって再現し、それによってその状況を 自分の意思と力で
今度こそ支配しようとする試み として解釈されています。

フロイトはこれを「抑圧されたものの回帰」と呼んでいます。

もともと心理的防衛のために 自分の意識から排除されていたのに
ストレスが本人にとって、あまりにも強かったので 抑圧していた部分が 
また「こんにちわ」と戻って来て(自分で無意識に戻して)しまうのです。


□解離性フラッシュバック(作成中)□


⇒次へ(症状:感情鈍麻性反応)作成中