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イギリス生活あれこれ「渡英準備」編
2004年
東洋大学 経済学部 助教授(執筆当時) 上村敏之
このページの情報は2004年3月時点です。左にフレームが出ない場合はこちらをクリック
●学術研究者とは
このページの情報は学術研究者(Academic Visitor)の英国渡航を前提としていますが、一般の英国留学についても、参考になる情報があると思います。英国大使館によると、下記の場合は英国入国法上の例外的措置が適用され、学術研究者としての入国が許可されるそうです。
(1)Post-graduate researcher(学生は該当せず)で、The Royal Society、the
British Council、非営利の教育または研究機関、A National Research Council、大学などの高等教育機関がスポンサーになる場合
(2)英国内の同様な機関との正式な交換制度に参加する医師を含む学識者
(3)研究、講演、臨床上の研修に参加する経験の豊富な医師と歯科医
(4)Sabbatical leaveを利用して研究を行う英国外の学識者
(5)単一または何回か継続した講演を行うVisiting Lecturer
私の場合は、上の(4)に該当すると考えられます。なお、サバティカル(Sabbatical)とは一般の人には聞き慣れない言葉ですが、大学教員が得る通常一年間の有給の休暇を意味します。
●招待状の入手
受け入れ先の大学などの研究機関からの招待状(Invitation Letter)を手に入れなければ、学術研究者は留学することができません。この作業が最初になります。私の場合、ウォーリック大学には、知り合いの日本人の方が客員研究員(Visiting fellow)としておられ、その方を通して当時の経済学部長を紹介してもらいました。その際に、下記のようなお手紙を添えました。ポイントは、資金面で日本の大学から全面的に支援を受ける、ということを強調することでしょうか。また、念のために、すでに職を得ていて、大学で教鞭をとっていることに触れておきました。私の場合、招待状の入手を意識して行動を起こしたのは、留学の一年前ぐらいです。
東洋大学の住所(英語)
日付(英語)
Professor ○○
ウォーリック大学の住所(英語)
I believe that you have heard from Mr. ○○ that I wish to do some research
at the University of Warwick.
I would like to take a one-year sabbatical in Britain from April 2004 to March 2005. My studies will be given full financial support by Toyo University, where I teach Macroeconomics and Public Finance as an Associate professor.
Please find my CV attached with this letter. Is it possible for me to be received as a Visiting Fellow, to attend some seminars and lectures, and use the libraries and other facilities for my research during my stay there? As noted above, all expenses including my transportation, living expenses and other financial
assistance will be paid by my own university.
I would appreciate it very much if you would give my request your kindest and best consideration.
Yours sincerely,
Toshiyuki Uemura
また、同時に私の当時のCV(Curriculum Vitae 経歴書)を当時の経済学部長に渡しました。雛形は下記のようなものです。
Toshiyuki UEMURA
Personal information:
Associate Professor, Faculty of Economics, Toyo University
Office: 5-28-20 Hakusan, Bunkyo-ku, Tokyo, 112-8606, JAPAN
Faculty Economics, Toyo University, +81-3-3945-××
Home: 自宅の住所(英語)
Date of birth: 19 March 1972
Place of birth: Kobe-shi, Hyogo, JAPAN
Marital status: 結婚しているか否かなど(英語)
e-mail: メールアドレスを記入
Website: http://www8.plala.or.jp/uemura/
Majors: (専攻)
Public Economics, Public Finance and Local Public Finance
Current Research Interests: (何に興味があるか)
Effects of Taxes (on Labor Supply, Consumption, Saving and Investment Behaviors),
Public Investment, Public Pension, Governmental Accounting and Numerical
Economics (Applied General Equilibrium Analysis and Dynamic General Equilibrium
Analysis using Overlapping Generations Model)
Education: (学歴)
Ph.D (Doctor of Economics), Kwansei Gakuin University, October 2000.
Master of Economics, Kwansei Gakuin University, March 1996.
Bachelor of Economics, Kwansei Gakuin University, March 1994.
Academic Employment: (職歴)
Associate Professor, Faculty of Economics, Toyo University, April 2003 - Present.
Assistant Professor, Faculty of Economics, Toyo University, April 2000 - March 2003.
Other Positions: (他の経歴)
Visiting Researcher, Economic and Social Research Institute, Cabinet Office,
Government of Japan, February 2003 - Present.
Visiting Researcher, National Institute of Population and Social Security
Research, Tokyo, Japan, May 2002 - Present.
Committee Member, Tax and Public Finance Commission, Chiba Prefecture,
Japan. June 2002 - May 2003.
Researcher, Tax Payment Associations, Osaka, Japan, April 2000 - Present.
Research Fellow, Faculty of Economics, Kwansei Gakuin University, April
1999 - March 2000
Research Fellow, The Japanese Society for Promotion of Science, April 1998
- March 2000.
Teaching: (教育)
Macroeconomics, Public Finance and Local Public Finance
Research Skills: (研究技術)
Programmed FORTRAN extensively
Passed National Examination of Japanese Licensed Tax Accountant in 1997.
Grants Received: (研究助成金)
Grants-in-Aid for Scientific Research, Ministry of Education, Culture,
Sports, Science and Technology, Government of Japan, April 2002 - Present.
Grants-in-Aid for Scientific Research, Ministry of Education, Culture and
Sports, Government of Japan, April 1999 - March 2000.
Book: 著書の業績を一覧(英語)
Papers: 論文の業績を一覧(英語)
さらに、私の場合は、東洋大学の当時の経済学部長に推薦状(英語)を書いてもらい、私が教員として専任で働いていることがわかるような、国際交流課から入手した大学のパンフレット(英語)を添えました。念には念を入れて、ということですけど、私自身は先方と面識がないので、ようは信用してもらえるかどうかが重要だと思います。運良く、以上の書類を提出し終えたら、招待状を手に入れることができました。
●ビザ申請の準備
2003年11月13日より、6か月以上、英国に滞在する予定の渡航者に対しては、渡英前にビザを入手することが義務づけられました。聞くところによると、それまでは渡航者が空港でビザを取得していたのらしいですが、このような変更により、日本でビザを入手しなければならなくなりました。つまり、入国審査が厳しくなった、ということです。事前に十分な時間をとって、余裕をもって準備をされることをお勧めします。私の場合、3月末からの渡英ですが、ビザ申請は1月末に行いました。
さて、英国ビザの申請には下記の書類などが必要です。郵送で手続きもできるそうです。直接、東京の英国大使館に訪れる場合は、月曜日から金曜日(休館日を除く)、午前9時〜11時がビザの申請受付時間となっています。
(1)パスポート(旧パスポートを含む)
(2)申請用紙(東京の英国大使館では無料配布していますが、英国政府外務省からダウンロードできるそうです。私は試していませんが。)
(3)@英国内の機関から収入を得ない(奨学金、Grant、Bursaries、諸経費、謝礼、交換制度の条件として決められている支払を除く)、A英国において欠員を補填し、職に就く意志がない、B英国外の研究に付随した、またはその準備のための滞在である、C滞在期間が12か月を超えない、以上のことを証明できると思われる書類(オリジナルの書類にコピーをつける必要があります。オリジナルは返却されます。)
(4)パスポートサイズの証明用写真2枚
(5)ビザ申請手数料£36(1£=200なら7,200円を日本円で支払います。東京の英国大使館なら直接支払可能です。郵送なら現金書留になりますが、為替レートを英国大使館に事前に確認する必要があるそうです。)
まず、注意しなければならないことは、昔のパスポートを捨ててはいけない、ということです。申請用紙にも、旧パスポート番号を記入する項目があります。これには私はびっくりしました。あやうく捨てるところだったので・・・。
最も解釈に困るのは、(3)の@からCを証明できると思われる書類、です。「具体的に一体何を指すのですか」と英国大使館にメールで問い合わせたのですが、2週間待ったのちの回答は「お問い合わせいただきました個々の提出書類に関するご質問は、事前審査につながることにもなりますためご回答することを控えさせていただいております。ご理解のほど宜しくお願い致します」でした。つまり、「自分で考えろ」ということになります。
結局、私が用意した書類は次の通りです。
(1)受け入れ先の大学(ウォーリック大学)からの招待状(Invitation Letter) 前年の5月に入手
(2)Citi Bankの残高証明書(英文) 1月に入手
(3)東洋大学の収入証明書(英文) 1月に入手
(4)入居する予定の住居の支払請求書(英文) 前年の12月に入手
(1)招待状については、受け入れ先のウォーリック大学の経済学部ならびに総務課からいただきました。これはビザ取得のためには必須です。なお、招待状の日付があまりに古い場合、ビザが下りない可能性もあるそうです。できるだけ、新しい日付の招待状が望ましい、とのことでした。一年以上、過去の日付については、新しい招待状を発行してもらう方がよいでしょう。ただし、私の場合、日付は前年の5月でしたが、大丈夫でした。
また、招待状には、何日から何日まで、といった形で、滞在が一年を超えないことがわかるように期日を正確に記載してもらうべきです。当初、私がいただいた招待状には、期日が曖昧に書かれていましたので、もう一度書き直していただきました。
(3)収入証明書も必須の書類です。私の場合の具体的な雛形は次の通りです。
日付(英語)
Certificate
To whom it may concern:
Name: Toshiyuki UEMURA, Associate Professor, Faculty of Economics
We hereby certify that the salary for Toshiyuki UEMURA during the period
January 1, 2003 - December 31,2003 was 年収の金額 yen in total.
Toyo University will be paying his full salary even during his stay in
the U.K. starting this spring.
理事長のサイン(英語)と印鑑
東洋大学の住所(英語)
(2)は場合によっては不必要かもしれませんが、心配なら添付するとよいでしょう。ある程度は資金があるから、英国では職に就かないよ、というメッセージにはなるはずです。(3)収入証明書を補完する書類です。Citi
Bankなら、電話をかければ一週間ぐらいで送付してくれます。
(4)は通常は不必要だと思いますが、私は入居先がすでに決まっていたので、念のために提出しました。
以上の書類を準備して、英国大使館に提出し、ビザ審査官による本人面接を終え、運が良ければ(?)、ビザを入手することができます。なお、申請用紙の記述方法については後述します。
●扶養家族のビザ申請
学術研究者は、扶養家族(配偶者と18歳未満の子)を同行させることが認められています。ただし、扶養家族は英国で就労しない、英国の公立学校に通わない、英国の公的資金援助に頼らずに生活することが条件になります。
また、扶養家族とともに渡英する場合は、追加的に用意する書類があります。
(1)戸籍謄本1通
(2)日本の勤め先(私の場合は東洋大学)が扶養家族をともに渡英させることを承諾している旨の書類(日本語でOK)(2004年11月現在の情報によるとこの書類はビザ申請に必要ないということですが、一応、このようなこともあったということで、記述を残しておきます)
困ったのが(2)です。実は、私がいただいたビザ取得のガイドラインには、このような書類の提出を要求されていなかったため、扶養家族のビザがすぐにおりませんでした。その際、ビザ審査官から指示されたのは、追加書類としてLetter
from Toyo University confirming family can go to U.K. with you.が必要というものでした。
ガイドラインに掲載されていなかったので、本人面接のときに少しは抵抗したのですが、「学術研究者には同じような書類の提出を求めているし、例外は認められない」ということであきらめました。大学に事情を説明して、大学と英国大使館でファックスのやりとりをしていただき、書類の作成に一週間少しの時間がかかってしまいました。東洋大学に作成していただいた書類の雛形は次の通りです。
証明書番号
証明書
氏名 上村敏之
生年月日 昭和47年3月19日
上記の者は、本学の海外特別研究者として下記のとおり渡航する予定であることを証明する。
記
期間: 平成16年3月25日〜平成17年3月24日
渡航先: イギリス(コベントリー)
同行者: 扶養家族の氏名
日付
東洋大学の住所
理事長氏名と印鑑
これでようやく、私と扶養家族のビザがおりることになりました。いろいろあったので、ホッとしましたね。実際。
●申請用紙の記入例
申請用紙の私の場合の記入例は次の通りです。あまり参考にはならないかもしれませんけど。
SECTION 1−WHAT TYPE OF VISA ARE YOU APPYING FOR?
学術研究者の場合、Other − Please specifyの欄に「Academic Visitor」と記入します。なお、扶養親族については、Dependant
of a person in a long-stay category (e.g. student, employment)のチェックボックスをチェックします。
SECTION 2−ABOUT YOU
2.1. Full name, as it appears in your passport. Please underline your family
name.
私の場合は「TOSHIYUKI UEMURA」です。
2.2. Passport number
パスポート番号を記入しましょう。
2.3. Date of birth
私なら、「19 MAR 1972」となります。
2.4. Place of birth
私は「Hyogo, JAPAN」と書きました。「JAPAN」でも良さそうな気もします。
2.5 Nationality
国籍を聞いていますので「JAPAN」です。
2.6. Sex
私は男なのでMaleにチェックします。
2.7. Marital status
単身ならSingle、結婚しているならMarriedをチェックします。離婚(Divorced)という項目があるのには、びっくりですね。日本なら考えられませんが。
2.8. What is your father's full name?
父親の氏名を記入せよ、ということですが、何のために書くのでしょうか?
2.9. What is your mother's full name?
母親の氏名を記入せよ、ということです。不思議な質問です。
2.10. Your permanent home address
この住所は、いわゆる実家の住所を書くことになります。permanentとありますから、渡英しても連絡が可能な住所ということです。
2.11. Your correspondance address if different from 2.10.
もし、実家と現在に住んでいる家の住所が異なる場合は、correspondanceなので、連絡がつく、現在に住んでいる家の住所を書くことになります。渡英にともなって、家の住所がなくなる予定でも、こちらにはビザ申請時の住所を書きます。
2.12. Any home telephone number
こちらにはビザ申請時に住んでいる家の電話番号を書きます。
2.13. Any home fax number
同じく、ビザ申請時に住んでいる家のファックス番号を書きます。
2.14. Your personal e-mail address
メールアドレスですが、勤務先のドメインのアドレスを記入するのが無難だと思います。その方が信用がありますので。
SECTION 3−YOUR FAMILY
3.1. If you are married, what is your spouse's name?
結婚しているなら、配偶者の氏名を書いて、ということです。
3.2. What is your spouse's date of birth?
配偶者の誕生日はいつ?、ということです。
3.3. Where is your spouse now?
いま、配偶者はどこにいる?ということですが、当初は訳が分からない質問だと思いました。同じ家にいるよ、とつっこみをいれたくなるのですが、配偶者が先に渡英している場合など、別々の国住んでいるようなケースを想定しているようです。普通は「JAPAN」と書いておけばよいみたいです。
3.4. Is your spouse traveling with you?
普通は、Yes, on his/her own passportにチェックするでしょうね。
3.5. Do you have any children?
子供はいますか?、ということなので、子供がいたら、Yesにチェックします。いなければNoにチェックします。Yesと答えた場合、子供のFull
name、Date and Place of birthなどが聞かれますので、記入します。
SECTION 4−PREVIOUS APPLICATIONS AND TRAVEL
4.1. Passport number (this passport)
今現在、もっているパスポートの番号を英語で記入します。
4.2. Issue and expiry dates
パスポートの発行日と有効期限を英語で記入します。
4.3. Place of issue
発行した場所を記入します。私は「Hyogo, JAPAN」と書きましたが、「JAPAN」だけでもよいかも。
4.4 Is this your first passport?
今もっているパスポートは初めてのパスポートですか、と聞いていますが、私の場合はNoにチェックしました。Noにチェックした人は、さらに続く3つの質問に答えなければなりません。
4.5 Previous passport number
前のパスポート番号を聞いているわけですが、ビザをとるのに、昔のパスポートが必要とは、知りませんでした。知らずに捨ててしまう人もいるのではないでしょうか。
4.6. Previous passport issue and expiry dates
前のパスポートの発行日と有効期限を英語で記入します。
4.7. Place previous passport was issued
前のパスポートがどこで発行されたかを聞いています。私の場合は「Hyogo,
JAPAN」でした。
4.8. Have you travelled outside your home country?
あなたは海外に旅行したことがありますか、ということです。
4.9. Have you visited the UK before?
以前、あなたは英国を訪れたことがありますか、ということです。
4.10. Have you applied for a UK visa before?
以前、あなたは英国ビザを申請したことがありますか、ということです。
4.11. Have you ever been refused a visa for the UK?
かつて、あなたは英国ビザを断られたことがありますか、ということです。ここにきて、昔のパスポートについて質問する意図がなんとなくわかってきました。
4.12. Have you ever been refused entry to the UK or had leave to enter
or remain cancelled?
かつて、あなたは英国入国を拒否されたり、うんぬん、ということです。
4.13. Have you ever been deported, removed, or otherwise required to leave
the UK?
かつて、あなたは英国から追放されたり、うんぬん、ということです。
4.14. Have you ever been refused a visa for another country?
かつて、あなたは他国のビザを拒否されましたか、ということです。もし、4.10.から4.14.までの質問に、一つでもYesと答えなければならない場合、さらに質問が4.21.まで続きますが、私はすべてNoなので、省略します。
4.22. Have you ever been refused entry to, deported from, or otherwise
required to leave, another country?
かつて、あなたは他国の入国を拒否されたり、うんぬん、ということです。Yesにチェックすると、4.23に詳細を記述する必要があります。
4.23. Do you have any criminal convictions in any country?
犯罪歴がありますか、ということです。Yesとすると、さらに質問が4.26.まで続きます。
4.27. Have you ever been concerned in the commission, preparation, organisation
or support of acts of terrorism, either within or outside the United Kingdom
or have you ever been a menber of an organisation which has been involved
in or advocated terrorism in furtherance of its aims?
なんとも恐ろしい質問です。ようは、テロリストのメンバーですか、ということですか。
4.28. Have you ever been concerned in the commission, preparation or organisation
of genocide or crimes, including crimes against humanity and war crimes,
committed in the course of armed conflict?
これまた恐ろしい質問です。犯罪組織のメンバーですか、という意味ですね。4.27.と4.28.の質問にYesとする場合には、詳細を記載することになります。しかし、本当にテロリストや犯罪組織のメンバーなら、このような質問に正直に答えるのでしょうか。
SECTION 5−ABOUT YOUR STAY IN THE UK
5.1. How long do you intend to stay in the UK?
あなたはどのぐらい、英国に滞在するつもりですか、ということです。学術研究者の滞在は一年を超えないことが条件なので、「Less
than one year」とでもしておくべきでしょう。
5.2. On what date do you intend to arrive?
何日に出発するつもりですか、ということです。英語で日程を記入します。
5.3. Why are you going to the UK?
なぜ、英国に行くのですか、という質問です。「For visiting the university
of Warwick as a visiting fellow」と書いておきました。
5.4. Do you have any family or close friends in the UK?
家族や親しい友人が英国にいますか、という質問です。Yesと答えるなら、その人の名前、関係、電話番号を記入することになります。
5.5. Please give the full address and telephone number of all the places
where you will be staying during your visit.
滞在期間中の住所と電話番号を記入しろ、ということです。しかし、まだ決まっていない場合はどうするのでしょうか。渡英してから住居を探す人もおられると聞いていますので。私の場合は、すでに住所は決まっていました。しかし、電話番号についてはまだ確定していなかったので、未記入でした。
SECTION 6−YOUR FINANCE AND EMPLOYMENT DETAILS
6.1. What is your present job?
現在の職業は何ですか、ということです。「Associate professor」としておきました。
6.2. When did you start this job?
現在の仕事をいつ始めましたか、ということです。私の場合は「1 APL 2000」です。
6.3. What is your work address?
勤め先の住所は、ということです。東洋大学の住所を英語で記入しました。
6.4. Your employer's telephone number
勤め先の電話番号を記入します。たぶん、記入方法は日本の国際番号の「+81」からはじめ、東京なら「03」の「0」をとって、電話番号を記入するべきだと思います。たとえば「+81-3-3945-××」のようになります。
6.5. Your employer's fax number
同じく勤め先のファックス番号を記入します。
6.6. Your employer's e-mail address
勤め先のメールアドレスを記入します。
6.7. What is your monthly income from employment?
月額いくら稼いでいますか、という質問です。給料のみなのか、賞与を含めて月額に平均化した所得なのか、どちらかわからなかったので、金額の多くなる後者を選びました。レートを計算するのも面倒くさかったので、円のまま記入しました。
6.8. Do you receive income from any other sources, including friends or
family?
他から所得を得ていますか、という質問です。私は、原稿料など、大学以外から所得を得ていますので、Yesにチェックしました。Yesとする場合、詳細を記入する必要があります。
6.9. Do you own any assets, for example property?
あなた自身の財産をもっていますか、という質問です。通常、財産というと所有している家やマンションといった不動産を指すようです。Yesとした場合、詳細を記入する必要があります。
6.10. How much money is available to you for your stay?
どれだけ、滞在中にお金が使えますか、という質問です。このぐらい使うのかな、という金額を概算で出しておいて、円のまま記入しました。
6.11. Who is paying for your trip?
あなたの滞在の支払は誰が行いますか、という質問です。私自身なので、「I
am.」としておきました。
SECTION 7 から10については、学術研究者には関係ない質問事項などであり、空白のままでよいでために省略します。最後に、SECTION
11で署名と日付を記入すれば、申請用紙の記入は終わりです。かなり大変な作業です。
●引っ越し作業など
私は賃貸マンションに住んでいたので、渡英して一年間住むとなると、家財道具をどこに置くのか、という問題がありました。英国でもアコモデーション(宿泊施設とでも訳すのでしょう)を借りることになっています。賃貸マンションをそのまま借りっぱなしにすると、ダブルで賃貸料を支払うとなると、かなり費用がかかるので、やはり引っ越しということになってしまいます。持ち家なら、こんな問題は発生しないのですけど。
そこで、家財道具の保管については、トランクルームを借りることにしました。トランクルームの値段は様々ですけど、おおむね地価に左右されていますので、郊外にいけばいくほど、安くなります。ただ、注意しないといけないのは、極端に安い場合は、トランク自体が野ざらしだったり、保管状態があまり良くないところもあります。一年間も家財道具を保管するということで、火災保険に入っているかどうか、警備会社は入っているかどうか、倉庫の作りは頑丈か、などを考えて業者を選びました。
多くの場合、トランク業者と運送業者は取引がありますので、トランク業者に頼めば、運送業者を紹介してもらえます。関係のある会社なら、運送料金を安くしてもらえるようです。これは、いくつか他の業者にも打診して、見積もりをとって確認しました。
公共料金等についても、事前に止める必要があります。電話、電気、ガス、水道、NHKに電話連絡をいれて、引っ越しする旨を伝えます。ガスを止める作業は業者が家まで来て行うため、原則的には立ち会いが必要です。電話、ガス、水道、NHKについては、支払伝票をみながら電話するだけで大丈夫です。新聞やプロバイダーも忘れてはいけません。
なお、市役所には転出届、郵便局には転送届けを出しておきます。ところで、帰国時には、転入先の市町村の役所に戸籍謄本(抄本)と戸籍の附票を提出することになります。
●金融機関での手続き
家財道具の引っ越しにともない、日本の住所で登録している各方面の届け出を変更しなければなりません。
まず、家族が預貯金をもっているすべての金融機関(クレジット・カード会社や生命保険会社も含む)に連絡して、郵送で住所変更ができる書類を取り寄せました。ただ、日本の銀行がいうには、日本に住所がないと困る、というものでした。「英国の住所も一応教えて欲しいけど、住所変更は親族など、日本で連絡が取れる人の住所を書いてくれ」、ということです。
その点、Citi Bankは、英国の住所でも親族の連絡先でもどちらでも構いません、ということでした。国際的な銀行だから、当然といえば当然かもしれませんが。また、生命保険については、海外での住所と日本の連絡先を双方とも記入する書類が送られてきました。なお、生命保険は、日本にいなくても、何かがあれば保険は適用されます。
インターネット・バンキングなら、英国からでも取引はできます。でも、現金を手に入れるのは、ネットではできません。クレジット・カードは英国でも当然ながらつかえますが、日本の銀行のキャッシュ・カードはそういうわけにはいきません。Citi
Bankのクレジット・カードなら、英国でもATMがあればそのまま利用できます。日本の銀行口座から引き落とししたいなら、国際キャッシュ・カード(インターナショナル・キャッシュ・カード)をつくることになります(ただし、一部の都市銀行のキャッシュ・カードは、国外のATMでも使えるようになっています。レートは悪いですけど)。
●国際免許証と保険
私は東京の大学に勤務しているため、普段は電車しか使いません。都心の生活に車は必要がないと思っているからです。ただ、関西にいたときは、郊外の大学だったこともあり、車を所有していました。私の滞在先のウォーリック大学周辺は、車があればより快適に生活できることもあり、久しぶりに車を所有することにしました。
そのためには、国際免許証(国外運転免許証)を取得しなければなりません。国際免許証の有効期限は一年間です。私の滞在期間が一年間であることを考えれば、渡英する直前に取得することになります。各都道府県にある運転免許更新センターで、通常は即日発行することができます。必要書類などは次の通りです。
(1)申請書(運転免許更新センターにあります)
(2)日本の運転免許証
(3)写真(縦5センチ、横4センチ)1枚
(4)パスポート
(5)手数料2,700円
(6)印鑑(認印可)
確認しなければならないのは、日本の運転免許証の有効期限です。日本の運転免許証の有効期限が英国の滞在中に切れるなら、国際免許証の有効期限も同時に切れます。このことが事前にわかっていれば、日本にいるときに、日本の免許証の更新手続きを事前に行うことができます。
車の保険については、英国で日本人に対して保険業を営んでいる会社(モーター一番、UKCなどがあります)を知人から紹介していただき、そちらに頼むことにしました。渡英前のメールのやりとりで保険の契約の手続きを進めました。オンラインで保険の見積もりをして、渡英する前に保険の契約を行うことができます。日本語でのやりとりなので、とても安心です。また、無事故無違反証明書を提出し、最大4年間、事故や違反がないと証明できれば、最大の割引をしてもらえます。無事故無違反証明書は、近くの警察署に行けば、申請書類がもらえます。申請書類に記入して、郵便局で振り込みをすれば、一週間程度で郵送されます。また、英国のJAFにあたるjazにも登録するつもりです。こちらも、日本語で対応していただけます。便利な世の中ですねぇ。なお、車を運転するためには、さらに道路税の支払いが必要らしく、これは現地の郵便局で可能ということでした。
●英国にもってゆくもの
英国経済は好調で、そのためにポンドは強く、物価はやや高めです(2004年現在)。特にロンドンでは、日本の東京のもっとも物価の高い場所と同じぐらいか、それ以上の物価を覚悟して生活しなければなりません。私が滞在するコベントリーは、ロンドンほどではありませんが、それでも生活水準を高くすることはできません。
発展途上国で生活するわけではないので、英国には生活するには不可欠なものを比較的たやすく手に入れることができます。ただ、日本との文化の違いで、手に入れることができるとしても、高価になってしまうものは多くあります。たとえばロンドンのジャパンセンターでは、日本の食材などを手に入れることが可能ですが、日本の2倍以上の価格で売られています。安く買おうと思えば、ロンドンではない地方都市のチャイナタウンにいき、スーパーマーケットで中国の食材とともに、運が良ければ日本の食材をみつけることができます。それでも若干は高めですが。そのため、かさばらないものであれば、日本から持参することが望ましいと思います。
英国に持ち込む方法としては、いくつかが考えられます。第一は渡航時の機内持ち込み荷物、第二は渡航時のトランク、第三は日本から別便で送付する方法です。すぐに使わない服などは別便、食糧や常備薬はトランク、後に述べるコンピュータ関係は機内持ち込みがよいと思います。なお、注意しなければならないのは、原則的には、購入してから6か月経過していないものについては、関税がかかるということです。そのため、なるべく包装をとった状態でトランクにつめることをお勧めします。
また、日本から別便で送る場合、送付リストを作成し、送る荷物の定価、現在の価値(定価の約6割でよいそうです)を表示します。6か月以内に購入したものについては、購入日も記入しなければなりません。パッキングを空けられて、中を調べられる可能性もあります。もちろん、最悪の場合は届かないとか、小麦粉の袋が開けられて他の荷物が小麦粉まみれ、なんてこともあるそうですから、ある程度の覚悟が必要です。大手の運送会社ならば、専用の段ボールと伝票が用意してあり、中には伝票を記入してくれるサービスもあります。この場合、パスポートのコピー、ビザのコピー、チケットのコピーが必要で、英国に到着してから英国の代理店に入国したことを連絡してから、日本の空港で荷物が審査を受け、出国するという運びになります。だいたい、1週間から10日ぐらいで届くらしいです。
●コンピュータ関係
私のように、コンピュータなしでは生きられない人にとって、重要なのはコンピュータ関係の持ち込みです。日本語環境のコンピュータを英国で手に入れることは至難の業です。英国にて、日本のパソコンをネットから購入することもできますが、関税と郵送費でかなりかかります。パソコンだけをもっていったとしても、周辺機器がなければ話になりませんので、これらも持ち込むことになります。
パソコンが壊れてしまったとき、ある程度は対処できるようにしておく必要があります。ファイルのバックアップをとっておくことはもちろん、Windowsが壊れたときでも、復元できるようにリカバリーCD-ROM、OSの起動ディスク、さらに常に使っているアプリケーションのCD-ROMももってゆきます。家電売り場に行けば、CDをコンパクトに収納できる便利グッズがありますので、それにまとめておきます。
もちろん、トランクでは壊れてしまうでしょうから、機内持ち込み品にします。ただ、機内持ち込みとはいえ、何があるかわかりませんので、衝撃に耐えられるようなクッションをひとつひとつの機材に施しました。家電売場には、パソコンやデジカメなどを衝撃に強い特殊なカバーで包む便利グッズも売っております。便利な時代になりました。
ところで、パソコンに限らず、日本の電化製品を使うためには、電圧を変更する必要があります。電圧に関しては、日本は100ボルトですが、英国は標準が240ボルトであるため、240ボルトを100ボルトに変換する変圧器を購入する必要があります。変圧器は、ものによって許容できるアンペアが限定されるので、利用するパソコンなどの機材が何アンペアなのかを確認し、それを超える容量をもつ変圧器を購入しなければなりません。さらに、日本と英国ではプラグの形が異なります(日本は2極式ですが、イギリスは3極式)ので、プラグ変換アダプタが必要となります。これらは、英国ではなかなか手に入りにくいので、日本からもってゆくことになります。
さて、あまり知られてないことですが、重要なことがあります。パソコンやデジカメなどのACアダプタには、コードの途中に四角い箱がありますが、あれは変圧器になっており、パソコンやデジカメについては、変圧器は必要ありません。ACアダプタの四角い箱に「100V−240V」と書かれていましたら、それは100ボルトから240ボルトまで対応できる、という意味です。ただし、そのままプラグ変換アダプタをつけて、英国で使用できるというわけではありません。四角い箱の変圧器からパソコンにつなぐコードは240ボルトに対応しています。しかしながら、変圧器から日本のプラグまでのコードは、多くの場合、100ボルトにしか対応されていません。そのため、変圧器とコードが切り離されるようになっているのです。したがって、家電売場に行き、240ボルトに対応するコード部分を購入する必要があります。大手の家電メーカーや、ネットでも購入することができます。私の経験では、100ボルトのコードで使えないこともないのですが、やはり使い続けていると発火の恐れがあるようなので、長期滞在ならば持参すべきアイテムです。
●住民税
住民税については、基本的には住民税の賦課期日である1月1日に日本に住んでいないことと、一年以上、日本に滞在していないことが証明できれば、おおむね住民税が非課税となるようです。良く聞く話ですが、一年間の条件を満たすために、留学先とは異なる国に数日間滞在してから帰国する、といったことを聞いたりします。なぜなら、学術研究者の英国の滞在期間は一年間を超えてはいけないからです。
住民税は大きな負担ですから、それが一年間でも非課税になるというのは、大きなメリットだといえます。ただし、英国ではカウンシル税(地方税)を支払う必要がありますし、英国の付加価値税(日本の消費税に該当)の基本税率は17.5%(ただし食料品などは非課税)です。これらの税金は、外国人であったとしても負担を逃れられません。それを考えても、海外渡航中の日本の税金は非課税にしておきたいものです。英国の税金については、別ページ「英国生活」編で報告するつもりです。