朗読と室内楽による

「銀河鉄道の夜」

原作・宮澤賢治

東京文化会館小ホール
5/23(土)14:00〜 16:30〜

出演:安寿ミラ

演奏
笠松泰洋(作曲・指揮)
安田謙一郎(チェロ)
木ノ脇道元(フルート)
早川りさ子(ハープ)
太田雅音(ヴァイオリン)

上野にある東京文化会館は素敵な会場でした

上野駅の公園口を降りて信号渡ればすぐ

奥へ進めば

上野の森

美術館や博物館、動物園があります

公演のあった日は土曜日だったので

人だらけでした

小ホールは天井も高く

座席は扇状に広がり

前の座席との間が広く開いているので

段差はないのに

舞台がとてもよく見えます

前の人の頭が邪魔になることもありません

音はよく響き

美しい室内楽、チェロにフルート、バイオリンにハープ
ヤンさんの朗読に聞き惚れている私の頭上は
星空・流れる銀河

北十字の白鳥座から南十字まで

少し大人になったジョバンニとともに出かける銀河鉄道の旅

佐世保とはまた違う感動の旅でした

ストーリーを追っての観劇記は
佐世保編で書いたので
今回はランダムに思い出すままに

演奏者のみなさん、ヤンさんは
舞台後方下手側より登場

フルートの汽車の警笛
チェロの車輪の音
ハープの弦が銀河鉄道の世界へ誘ってくれます

ヤンさんの第1声

「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり
乳の流れたあとだと云われたりしていた
このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか」

先生は、黒板に吊るした大きな黒い星図の
上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指しながら
みんなに問をかけました

カムパネルラが手をあげました

それから4、5人手を上げました

ジョバンニも手を上げようとして、急いでそのままやめました

ときめきました!先生!!

きゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宮沢賢治さんの世界には不釣り合いな
ふしだらなトキメキ!

ちょっと怖い先生にときめいたことにお許しを(笑)

キリッとしたお声に♡♡♡がドキュン!

○○さん!
なんて指名されちゃったら

「は、はい。。。あ、あの。。」

キリッとした視線で見つめられたりなんかしたら

ひえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

顔が真っ赤になっちゃいます!

授業どころじゃありません!

ジョバンニ君やカムパネルラちゃんとは
別の感情でどぎまぎしてしまうに違いありません!!

先生、好きです!

もとい

最初からちょっとイケナイ妄想に取り憑かれてしまいましたが

あとは真面目に「銀河鉄道の夜」を堪能したのでございます

いたって真面目に!

大人になったジョバンニくんは素敵でしたもん!

どんなふうに素敵だったかというと

コホン!

ジョバンニくんはいかがでしたか?(突然インタビューか!)

ちょっと年喰ってましたね(のっけから何言うねん!)

佐世保から1年半経ってますからね(そりゃそうだけど)

父さんラッコ追いかけて帰ってこないし(うん、まあね)

印刷工場忙しいし(うん)

病弱な母さんの面倒みてるしね(だよね)

牛乳屋さん愛想ないし(そっだね)

きっと人より一足早く大人になったんだね〜(そっかあ)

・・・・・ ・・・・・

東北の子だし(はい?)

頭はきっと坊主ですね(だろうね)

ズボンは半パンで破れてますね(んだね)

素足にすりきれたズック靴ですね(んだね)

よく転んでるから膝小僧すりむいてますね(んだね)

大きくてもっさりしてんでしょうね(んな感じだね)

ルックス悪くないのに彼氏っていうよりお父さんって感じなんだよね(惜しいね)

それってタイプじゃないのよね(知らんがな)

佐世保のトレンディーなジョバンニがタイプだった(だから知らんって)

主人公にときめきたいんだもん(あっそう)

で、カムパネルラはいかがでしたか?

カムパネルラはかあいい(はい)

カムパネルラはかあいい(はい?)

カムパネルラはかあいい(それだけ?)

幼子みたいだ(はい)

女の子みたいだ(はい)

クラスメートのはずだけど(ですね)

ジョバンニ中学生、カムパネルラ小学2年生って感じだった(そうですか)

兄ちゃんと妹みたいな(なるほど)

それで思ったのよ(はい)

これは宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」よね(最初からそうですけど)

ミーハーのための「銀河鉄道」じゃないのよ(あたりまえじゃないですか)

ジョバンニとカムパネルラの(ヤンミキか!)

友情以上恋愛未満のお話じゃないのよね(誰がそんな脚色を)

私の好みよ(・・・)

残念だけど(は?)

由緒正しい宮沢ワールドを追求した(当然です)

宮沢賢治とその妹(知ってんじゃん)
東北の暗い空
(土着性ね)
イーハトーブの夢を土臭く描いたのが
(ヤンさんに最も似合わない言葉、土臭さ!)

今回の「銀河鉄道の夜」なのです

握手!握手!

素晴らしい!!素晴らしい!

ヤンさんまたも新境地開拓ですね

そういうことです

と、大変まじめに主人公を語ってしまいましたが

不真面目だとお怒りの方は
どうぞ佐世保編をお読み下さり心を鎮めて下さいませ

次は

今回の全てをさらってしまったのではないかと思うほど

感動したのが

蠍の火

これはもう素晴らしかったです!

2幕中程あたり銀河鉄道の旅が終わろうかという頃に出てきます

「あれは何の火だろう、あんなに赤く燃える火は何を燃やせばできるんだろう」
とジョバンニが言いました
「蠍の火だな」カムパネルラが又地図と首っ引きして答えました。
「あら、さそりの火ならあたし知ってるわ」
「さそりの火ってなんだい」ジョバンニが聞きました
「さそりがやけて死んだのよ。その火が今でも燃えてるってあたしなんべんも
おとうさんから聞いたわ」

と乗り合わせた女の子が話してくれたお話しは

昔パルドラの野原に一匹のさそりがいて小さな虫やなんか殺して食べて生きていたんですって
するとある日いたちに見つかって食べられそうになったんですって
さそりは一生懸命逃げて逃げたけどとうとういたちに押さえられそうになったわ
その時いきなり前に井戸があってその中に落ちてしまったわ
もうどうしてもあがられないで蠍は溺れ始めたのよ
その時さそりはこう言ってお祈りしたと言うの

ああ、わたしは今までいくつのものの命をとったかわからない
そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときは
あんなに一生懸命逃げた
それでもとうとうこんなになってしまった
ああなんにもあてにならない

どうしてわたしはわたしのからだをだまって
いたちに呉れてやらなかったろう
そしたらいたちも一日生きのびたろうに

どうか神さま、わたしの心をご覧ください

こんなに空しく命を捨てず
どうかこの次にはまことのみんなの幸いのために
私のからだをおつかい下さい

ヤンさんの蠍の火の語りからチェロの演奏!

小さな女の子の声を借りて
問いかけてくる

命のありよう

身体中の血がざわざわとさわぎ
小さな蠍の気持ちが自分
の心に起こったみたいに
胸をしめつけてくる

この命

天の星のように

たったひとつ輝く命

チェロの奏でる音楽が痛いほど心に響いて

感動で総毛立つっていうんでしょうか

身体の奥から感動がこみ上げてきて

ほんとうにほんとうに涙がこぼれてしまいそうでした

今迄たくさんの命をうばってきた俺が
どうしてあいつに命をくれてやらなかったのだろう

ヤンさんの語りがとてもせつなく

蠍の諸行無常の思いが心に響きました

そして

安田謙一郎さんのチェロ

私には上手とか下手とかそんなことはさっぱり分かりませんが

とにかくとにかく心が震えました

笠松さんのブログによりますと
夜公演はさらに鬼気迫るものがあったそうで

昼の演奏も素晴らしかったのに

まだそれ以上だったのかと思うと

聞いてみたかったな〜と思いましたが

私は十分満足です!

他にかっこいいな
なんてプチトキめいたのは

黒いマントの家庭教師のお兄さん

スラッとしたイケメン青年が目に浮かびましたわ〜

コメディタッチじゃない要潤さん
ヘイゼル・クリステンセンでもOK
(勝手に言うてろ!)

女の子はフランス人形みたく可愛い子だった
目がくりくりしててね

鳥穫りのおじさんが渋くてかっこいいのよね〜

絶対ハンサム!40代!?
いや50代かな
ちょっと寂しそうでね、ロバート・デニーロ!

それとカムパネルラのお父さんも素敵だったかも

博士でしたよね

知的でね、きっと眼鏡がよく似合ってると思う

静かな悲しみが胸を打ちました

ギリシャ神話2編も良かったな〜

アルテミスのお話もおおぐま座こぐま座のお話

分かりやすくて

ついこないだ見たばかりの
「プシケとゼウス」の舞台もかさなって
とても素敵でした

この時だけヤンさんは立ち上がられて
ギリシャ神話用の本を手に
お読みになるのですが

ライトのよくあたる所に
その本を持っていかれる様子がツボでした*^^*

ヤンさんにはギリシャ神話がよく似合う!

願いの叶った再演!

ありがとうございました!

またいつの日かの再演を願っています

出来たら関西で(おい!)

おわり

読んで下さってありがとうございましたm(__)m
斜体下線部は原作(新編「銀河鉄道の夜」新潮文庫)より引用させていただきました。

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