My Satin Dolls Story Vol.4ー1

【第一部・戦争】

あらすじ

トロイアに誘拐されたギリシャの美女
ヘレネ(安寿ミラ)を奪還するため
アガメムノン(平幹二郎)率いるギリシャ軍が
トロイアを攻めることとなった。

しかし、船の帆を押す風が吹かない。
そのためにアガメムノンの娘イピゲネイヤを生け贄に捧げた。
風は吹きトロイアへの侵攻は始まった。

しかしイピゲネイヤ(宮本裕子)を呼び寄せる策略に
その名を使われたアキレウス(田辺誠一)
夫により娘の命を奪われたクリュタイムネストラ(白石加代子)の心には
アガメムノンに対する憎しみがうまれた。

10年に渡る戦争でアキレウスは
最愛の友パトロクロス(横田栄司)を失い、
母テティス(南果歩)の予言通りトロイアのヘクトルを殺し、
自らもアポロンの矢に倒れ、死んだ。
側女ブリセイス(久世星佳)は主を失う。
トロイアは負け女達は捕われの身となった。
王女カッサンドラ(中嶋朋子)はアガメムノンの妻に、
娘のポリュクセネ(川本絢子)はアキレウスに生け贄として捧げられ、
王妃ヘカベ(渡辺美佐子)は
オデュッセウス(藤木孝)の奴隷になることとなった。

王子ヘクトルの妻アンドロマケ(麻実れい)は
アキレウスの息子ネオプトレモスの奴隷になるのだが、
息子アステュアナクスはヘクトルの息子であるため母から引き離され命を断たれた。

一方戦争の引き金となりトロイアのパリス王子の元で暮らしていたヘレネは、
処刑を宣告に来たギリシャの夫、
アガメムノンの弟であるメネラオス(菅生隆之)の前に美しい肢体を投げ出し
処刑をまぬがれ夫とともにギリシャへもどることになった。

悲嘆にくれるトロイアの女たちの前で祖国トロイアは
炎につつまれくずれ落ちるのであった。


観劇記

なんと申しましても平幹二郎さんのアガメムノン、
娘イピゲネイヤとギリシャの運命を両肩に背負い、
どちらを選んでもそこには苦悩が待ち受ける王、父、
男の苦しみがあふれ出て圧巻でした。

自ら「私はギリシャの花嫁!」と生け贄の祭壇へ向かう
イピゲネイヤの健気で可愛いこと!
小さな弟オレステスに別れを告げるシーンは涙でした。

母のクリュタイムネストラの白石さんも凄い!
一度でいいから白石さんのお芝居を観たかったので嬉しかったな。
あの存在感には圧倒されたけど、
本領を発揮されるのは2部なのでまたあとで。

アキレウスはかっこいい田辺さん。
楽屋入りの姿も一度拝見したけれど、テレビで見るより、
もっと細くて背が高くて華奢な人って感じでした。
帽子でお顔を半分くらい隠してらしたのでとっても残念。
生田辺さんを見た!と息子たちに自慢してやりましたわ。
舞台映えのする姿形のきれいな方なので
これからもどんどん舞台に出ていただきたいな。

テティスの南さん。
アキレウスの母なんだけど、可愛いのなんのって・・
客席から白いうすい布をひらひらさせて風のように登場されるだけで、
甘い香りがしそうな可愛さ。
こんなお母さんだからアキレウスはマザコンになったのね。

そう、アキレウスはかなりのマザコンだった。
戦場での勇者も家に帰れば・・・って所、今の世にもありそうね。

ばりばり会社で働く企業戦士がおうちに帰ると「ママ〜〜」だったりして(笑)
←笑い事じゃないかも。

私としてはアキレウスとパトロクロスの同性愛的な友情の場面を見たかったけれど、
これはホメロスさんに頼むしかないので現世では無理ね。
黄泉の国で会えたら頼んでみよう!

ノンちゃん(久世星佳さん)は、宝塚時代から大好きだった人。
下級生の頃は掘ちえみのように可憐だったっけ。
それが、チェーザレ・ボルジアを演っちゃうようになるんだもの、
宝塚でトップスターをはる人ってやっぱり違うのね。
そんなノンちゃんのブリセイスはいつも下を向き、酒!と言われれば黙って酒をつぎ、
寒い!と言えば黙って毛布をかけてあげる。
戦利品として男に物扱いされてもひたすら忠実につかえる女性。
動きがきれいなので姿に品があるし
セリフの声がとても優し気でつつましく、それでいて心にしみとおるんです。
出番が少なくて寂しかったけれど女優、久世星佳さんに会えてとても良かった。

この一部をさらってしまったと思えたのがアンドロマケの麻実れいさん。
わが子を殺されると知った時相手につかみかかるその母獅子のような姿、
どんなに願っても叶わぬこととあきらめ
「さあ連れていきなさい!見えない所へ!」と叫ぶ姿に、
涙があとからあとからこぼれてしまった。

ラストのトロイアの陥落のシーンではコロスがみんな泣いていて
その中でヘカベの渡辺さんが
「私達の国にはもう名前がない・・」とふりしぼるように言う。
赤く燃える舞台で青い色のコロスが泣いていた。
そう、この芝居にはコロスがもれなくついています!
なんて冗談でいうのもはばかられるくらい
コロスが主役なんです。
ギリシャの女たちは赤い色のコロス、トロイアの女たちは青い色のコロス
話しは最初にもどりますが、このお芝居はロビーから始まってるんですね。
私服のスターたちがぞろぞろロビーに出て来てそこから客席に入り、
コロスの芝居を始めるの。
ギリシャの神々の話し、テティスとペレウスの結婚、
ゼウスとレダの結婚、そしてパリスの審判。
そしてそこへ役名を持った方々が登場して芝居が進行していくの。


で、われらがヘレネさまなんですが、
そりゃあ、あなた、
綺麗!綺麗!綺麗!
最初っからあの女が悪いと散々言われ続けて、
そこへ
絶世の美女として登場しなきゃならないんだよ
これはスゴイことです!
でも、ヤンさんは見事にやってのけたんですねえ〜〜〜!!!

「メネラオス!」
劇場にヘレネの声が響きわたった瞬間から空気が変わる。
真っ白なうすいローブをまとったヘレネが
客席後方から
美女光線キラキラ☆放ちながら登場するの
ヘカベが「見てはいけない」と言うんだけど
メネラオスは見ちゃうんだよね。
「この私が殺せて?」とメネラオスにまとわりつき、
ローブを脱ぎ身体を横たえ、肩ひもをずらして見せる・・・

オーマイガッ!!

とどめがそのおみ足、うちももに蝶の刺青悩ましく、
がばと広げておしまいになる・・・

ああ、ヤンさん。


メネラオスは当然陥落。
そんなヘレネはますます憎悪の的。
ファン総おやじ化

初日の報告はみなさん、ぶっ壊れておられて口から泡ふいてる方もいたという
一度でいいメネラオス視線で見たいもんじゃのお。
あっと言う間に退場されてしまったけど、その退場もあごをツンと上げ

「この美しい私を殺せるわけがないじゃない」

言わんばかりの
傲慢をふりまいて去っていかれました
お楽しみは第三部にもあるので、第一部はこれにて
PS.最初の私服のヤンさんは女子大生みたいだったし、
赤いコロスでパリス役をやるヤンさんは宝塚時代を彷佛させる
少年のような初々しさでした。




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