TS Musical
タン・ビエットの唄


2010年8月13日(金)〜8月15日(日)東京芸術劇場
8月27日(金)宇和島市 南予文化会館
8月29日兵庫芸術文化センター

CAST

フェイ
 安寿ミラ
ティエン
 土居裕子
トアン
 畠中洋
ハイン
 吉野圭吾
ミン
 宮川浩
ビン/ビック
 駒田一
ゴク
 戸井勝海
チェー
 川本昭彦
警官
 福永吉洋
白い女
 滝沢由佳
ボーイ
 島田邦人
スリ
 小林遼介
フェイ(少女時代)
 長尾純子
ヴェトナム人他
 久積絵夢
ヴェトナム人他  彩橋みゆ


STAFF

企画・演出・振付
 謝珠栄
脚本
 大谷美智浩
音楽・歌唱指導
 玉麻尚一



今回のタンビエットの唄は
全国の演劇鑑賞会から引っ張りだこってわけで
全日程をあげてみると

7月12日 長野 長野市民劇場
13日14日 上田 上田市民劇場
15日 伊那 伊那市民劇場
16日17日 松本 まつもと市民劇場
7月19日~22日 横浜 横浜演劇鑑賞会
7月23日 宇都宮 宇都宮演劇鑑賞会
7月27日~29日 舟橋 NPO法人 ふなばし演劇鑑賞会
7月31日 四街道 ちば演劇を観る会
8月2日~5日 千葉 ちば演劇を観る会
8月6日7日 さいたま 埼玉市民劇場

8月13日~15日 東京 TSミュージカルファンデーション

8月17日18日 日野 演劇をみる会「あさかわ」
8月19日20日 大宮 NPO法人 大宮演劇鑑賞会
8月22日~25日 岡山 岡山市民劇場
 
8月27日 宇和島 宇和島市教育委員会

8月29日 兵庫 兵庫県立芸術文化センター

8月31日 長岡 長岡市民劇場
9月1日 伊勢崎 いせさき演劇鑑賞会
9月2日3日 前橋 前橋労演


紺太文字公演のみが一般公演
凄いスケジュール!

今夏の猛暑
待ってる間、頭ぼ~~っとして
たまに聞こえてくる現地特派員のみなさまの報告やら
キャストのみなさまのブログを読み漁っては生き返るっちゅう

待つだけでも熱中症になりそうなのに
舞台で歌って踊って芝居なさるキャストさんやスタッフさんたちは
どんだけ暑いことだろうか・・と

そんでは観劇記いってみよお!

とはいっても兵庫で1回観ただけなんでたいしたことは書けません
(とハードルを下げる・笑)

タンビエットの再演(実質は再々演)を知ったときは
またあの重くて辛い作品を見るのか・・・と
テンション下がり気味であったことは
正直に告白しておきましょう

けれどヤンさんからのお便りに
ヴェトナムを旅したと書かれてあるのを読んで
ヤンさんの意気込みを感じ
それならば!と期待が一気に増しました

おりしも8月15日は終戦記念日
テレビで特集番組も多く組まれ
若い人たちが第二次世界大戦の実際を真正面から見据える姿や
戦争を経験した方々が語り落とす言葉に
戦争というものを考える、忘れないでおく事の大切さを感じ

この公演が上演されるにふさわしい時期でもあったなあと思いました

そんな徒然思いつつ向かった兵庫芸術文化センター

うお~~~~

凄い人!

満員じゃ~~~~
嬉しいなあ~~

熱気にあふれるロビーというのはいいもんです


女性キャストさんがお香を持ちロビーでお出迎え

話しかけたり一緒に写メ撮ったりしてる方もいて
いいなあ~うらやましいな~と
小心者の私はただただ眺めるばかり

開幕が近づきロビーの人の波と賑わいが劇場内へ吸い込まれます

緞帳には白いホアセン(蓮)桃色のホアセン

この緞帳・・大好き!


寄り添って咲く蓮(ホアセン)を観てるだけでウルっときそう

そう!そうなんです!!

なんなんですか??
今回のタンビエットは!
最初っからウルウルだったんですよ~

何故?何故?Why?

なんかね、なんか違うんですよ
ロビーから劇場から
全てが最初から違ってた

暗くなり幕があがり
白い女がタンビエットの世界へいざなってくれる

白い女(滝沢由佳さん)が温かかった
土の香り、草のにおい、水のせせらぎ
そんなものが感じられる

それですんなりヴェトナムの・・・タンビエットの世界に
引き込まれたように思います

ストーリーを追った観劇記は2008年の上演時に綴ったので
以下
感じたこと思ったこと徒然観劇記です


2008年版のタンビエットは、観ててただ辛かった
ヤンさんフェイに感情移入しちゃってるもんだから
責められたり、怒られたりするのがいちいち心に突き刺さってね

それがね、2010年版は優しいの
丸いの・・・


最初の白い女のダンスからして違ってたしね
一番強く感じたのがジョーことミン(宮川浩さん)

「何故あの時、帰ってこなかった!」
とフェイに言葉をぶつけるけれど
そのまなざしにはに
・・帰ってこなくて良かったのだよ・・
・・あの後のヴェトナムは悲惨だったんだ・・と
フェイへの慈しみと言葉にならない悲しみがあふれているようでした


ゴク(戸井勝海さん)
08年に見た時は
ミンにこっぴどく叱られた後だったので
ゴクの語る(歌う)「それも貴女の運命~」は
慰めのように聞こえひどく優しく感じたものでしたが

今回は悟りの世界に逃げ込んだ
自分の弱さもろもろから得度することで許しを乞う
とても弱く悲しい人物のように思えました


ハイン(吉野圭吾さん)
2幕でのハインは圧巻でした
凄まじい落差(戦場でのまっすぐさと、今の荒みが)
最初の一声を聞いただけで凄い~!って思いました

カッコイイ~~と違う意味でもかなり感動しちゃいましたね

そうそうティエンが銃殺される時のハインの身体の震え

銃を構えなきゃならなかったゴクとビンも可哀相だったけど
身体中を震わしているハインに
私は声をあげて泣いてしまいそうになりました


銃殺されるティエンはどうなんだ?って話なんですが
それはまた後ほど


ビン(駒田一さん)とトアン(畠中洋さん)

なんてーか、安心感
トアンがきっとフェイを守ってくれる!っていう安心感が終始ありました

ビンの父親役も演じた駒田さんですが
この二役はナイスです
知ってるからこその安心感がやっぱりありました

さて、ティエン(土居裕子さん)とフェイ(安寿ミラさん)の姉妹ですが

似てますよね?
顔じゃなくて自分の道は自分で決めるところが!

フェイはイギリスに留まりたいと
イギリス人の養父母に頼み込んだのよね
幸せになりたい!強くそう望んで

ティエンはあの戦場で子供を宿してひとりで産んだ
愛したい、愛されたい、産みたい
本能が望むままに生きた

・・・そうなんです
ティエンはティエンなりに自分の「生」をまっとうした
私はそう感じたので
銃殺の場面ではティエンが可哀相とはあまり思わなかったんですね

銃を向けなければならなかったゴクやビン
黙って見ていなければならなかったトアンやミンやハインの方が
よっぽど可哀相だと思ったわけです

あの戦場で子供を産んだ
戦場であっても生を紡いだ

なんというたくましさなんでしょう!

ジャングルがどうした!枯葉剤がどうした!銃殺がなんだってんだ!

見たか!子を産む女のこれが最後だ!
銃弾をあびるティエンの姿に勝どきの声を聞いたのは

・・・・多分、私だけだな(笑)


では我らがヤンさん

我らがフェイはどうだったかっていうと

堅実だったですね~

08年の危うさは影をひそめ、覚悟を決めて戻ってきた
美しい人

ノースリーブのワンピース姿で登場なさったとき
美しすぎてどうしようかと思いました


だめだめ誘拐されちゃうよと
どこかに匿いたい気分になっちゃったもんね~
(アブナイおっさん的思考だな)

フェイで一番ぐっと来たのは

ミン(ジョー)の酒場から去り際に

.・・・もしも 自由を手に入れたなら・・・
あなたの作ったこの詩が大好きだった

と言うところ

もうかつての幼い少女ではない

昔の・・あの頃のみずみずしい感性は失ってしまったの?

と、閉ざされたミンの心に呼びかける

そうなんだよね~

フェイの存在がすっごく大きくなってるんだよね~


フェイが今、閉ざされた過去の扉を開きにきた!っていうかね

扉を開くのは簡単じゃない

姉の死を知らなければならなかったのだから

ティエーン!!


1幕ラストの絶叫が今も耳に残っています

2幕

故郷ハンティン村に戻る決心をしたフェイもかっこよかったよね~

舞台中央にスラリと立ち決意を語る

かっこよかった~~~


そして黄色のアオザイに身を包み故郷の土を踏みしめるフェイ

かつてここで何があったのか、語る意味を知って語るフェイ

二度とあってはならないと願いを込めて語るフェイ

姉と歌った「タン・ビエットの唄」
♪ターンビエ~ット また会う日のために~

それに重なる歌声に
振り返ると

タオの姿

ティエンの忘れ形見タオ!!

きっと貴女に会えると思っていました!


うううう
こぼれる涙・・・

ご都合主義の結末?
それがどーした!

タオに会えたからいいんだよ

ティエンが命がけでこの世に残した子

その命を守らなきゃならないんだよ

大人たちみんながね

そしてその命をこの世で一番愛おしく思い、慈しむことの出来る人
それがフェイ

フェイとタオが巡り会えて

ティエンがどれほど喜んでいることでしょう


♪ターンビエ~ット また会う日のために~
寂しさを心に刻み、再びめぐり合うまで さよなら
愛する貴方に会える きっと会える
それは懐かしい私達の故郷で


抱き合うフェイとタオの姿に

涙がぽろぽろとこぼれ落ち
拍手は熱く強く

こんなにも感動的な幕切れがあったろうかと思うほどでした

渾身の舞台でした!

忘れてはいけないこと
語り継がなければならないことを
思い出させてくださってありがとうございました!

大きな大きな感動をありがとうございました!

おわり

読んでくださってありがとうございましたm(__)m

2010.09.03記

もどる