Auturm Breeze

〜第1章〜 「始まりは突然に・・・」

 

 

今日は9月1日、そう今日から学校の始まる日だ。

僕は日付が変わってしばらく経つまで夏休みの課題に取り組んでいた。

そのため僕は眠い目をこすりながら通学路を歩いている。

僕の名前は、天ヶ崎 翔太、自分の事を人に言わせると、本物の「凡人」らしい。

まっ、そんな訳で他に好きなことといえばプロレスで、そして大の猪木ファンである。

そのことに関して余談だが、たまに「ダァー!!」とか叫んでしまうのも最近の自分の反省点だろうか・・。

 

 そんなことを一人で?ぼやいているうちに僕は学校へとたどり着いた。

いつもの教室に、いつものクラスメート、

まだ残暑が残る窓側の一番後の席で僕は座っていた。

折窓の外から吹いている穏やかな風が気持ち良かった。

そんなことをしていると、友人の上田 弘が僕の元へとやってきた。

 「おぃ、翔太、今日転校生が来るらしいぜ。」

 「本当か?弘?」

 「ああ、ちょいと教師達の話しを拝借したからな。」

 「それで弘、男と女どっちなんだ?」

 「うん、それがな〜、わからないんだ・・・・。」

 「なあんだ〜、わかんないのか〜」

 「ああ、でもかわいい子だと良いな。」

 「うん、それはそうだな。」

とそのような会話を楽しんだ。

 

 そして僕達は、毎度おなじみの校長のあり難〜い 話を聞いた後、担任である加山雄三(32)によるHRが始まった。

 「それではこれからHRを始める。それではまず最初に転校生を紹介する。・・・それではどうぞ、井上さん。」

 「・・・・・・・はい。」

と担任の加山の紹介で、廊下から一人の少女がやってきた。

 「それでは、僕の方から少し説明させてもらう。

彼女の名前は井上彩花さん、彼女は親の仕事の関係でこちらに越してきた。解らないことも多いはずだがみんな仲良くしてやってくれよ!

それじゃ〜、自己紹介よろしく井上さん。」

 「・・・・はい、・・・・・井上・・・・彩花です。・・・・父親の仕事の関係でここに転校してきました。・・・・・解らないことも多いと思いますが、どうぞ宜しくお願いします。」

 と彼女は一番後ろの僕からだと耳を凝らさないと聞こえない声で自己紹介を終えた。

 「はい、それじゃ〜井上さん、席は3番目の空いているところに座ってくれ。」

 「・・・はい、・・・解りました。」

 「うん、それじゃ〜これからは今月の中頃に行われる文化祭について決めるぞ〜、それじゃ〜、江口、小川よろしく頼むぞ〜。」

と担任の加山は教卓から椅子を持って窓近くに座った。 

 「それじゃ〜、これから文化祭について決めたいと思う。

今年の文化祭は、去年と違い色々出来るから真剣に考えて欲しい。それではまず、実行委員を決めたいと思います。

誰かやりたい人いますか?」

 とクラス委員の江口洋介の説明と提案からHRが始まった。

 

 そしてしばらくしても自分からやりたがる者などいなかったのは言うまでもないが・・・・(もちろん僕もその1人・・・・・)

 「それじゃ〜、推薦をとりたいと思います。誰か推薦をしたい人はいますか?」 

と江口は次に推薦をとり始めた。

 

すると弘が・・・

 「はい、僕は天ヶ崎君がいいで〜す。」

と突拍子も無い発言をし始めた。

 「おい弘、何だよその発言は。」

 「別に僕は何にも悪いことはしてないぜ。」

 「・・・・・・・うっ、それなら小川さん。僕は弘を推薦します。」

と僕はもう1人の学級委員である小川さやかに提案した。

(ちなみに江口とは犬猿の仲・・・・)

 「うん、わこうた。翔太はん。」

と小川さんは了承してくれた。(ちなみに彼女は関西人)

 「はい、上田はんと、天ヶ崎はん以外に誰かいらっしゃいますか?」 

と小川さんは発言したが、もう他の人の名前が挙がることが無かった。

 

 「それでは、天ヶ崎君、上田君、実行委員よろしゅう、お願いします。 

 それでは、次ぎは、中身についてやけど、誰か何か意見ありまっか?」

と次に小川さんは、中身について意見を出したが、結局なにも出ずじまいだった。

 

それを見かねた担任の加山は、

 「う〜ん、それなら今日の時間も残り少なくなったし、明日までに考えておくように!!」

 「と言うわけなので、本日のHRは終わりにします。」

 「起立〜、礼!!」

 「はいそれじゃ〜、天ヶ崎と上田は実行委員のことに関して説明をするからちょっと僕のところに来てくれ。」

 「はい、解りました。」

と僕達は、加山につれられて職員室へと向かっていった。

 

と言う具合で僕達2人は、結構長々と説明を受けるとやっとのことで教室へと戻ってきた。

 「は〜、疲れたな〜弘、結構大変そうだな〜実行委員。」

 「ああ、そうだな。」

 「そういえばこれからどうする、どっか寄って行くか?}

 「ああ、悪い、悪い、今日俺用事あるから俺は先に帰るから。それじゃ〜、また明日!」

と弘は僕を残してさっさと帰ってしまった。

 

 そして一人残された僕は、窓から外をぼんやりと眺めていた。

 「は〜、実行委員か〜大変そうだな〜、まあ今回も、気合とガッツでのりきるぞ〜!!ウォ〜〜〜!!」  

と僕は周囲を構いもせず一人で叫んでいた。

 

しばらくして僕が我に返ると、窓側の3番目の席には、今日転校してきた井上さんが警戒するような顔で僕の方を見ていた。

 「ごめん、君がいたのに変なことをしてしまって。

え〜っと、僕の名前は天ヶ崎翔太、今日のHRでも言っていたけど、これから文化祭実行委員なんで、色々と手を貸してもらうことにもなるけど、どうぞよろしくお願いします。」

 「・・・・はい、こちらこそ、井上彩花です。・・・・・・・よろしくお願いします。」

と彼女はさっきの僕の行動にはかなり驚いたようだったが、ちゃんと僕の挨拶を返してくれた。 

 「う〜んと、それじゃ〜、井上さん、僕の友人呼んでで歓迎会しない?駅前のジョージ=マックで?」

 「・・・・はい、・・・すみませんが、本日は用事があって・・・・。」

と彼女はうつむいてしまった。

 「あっ、ごめん、それならまた今度って言うことで・・・」

 「・・・はい、それではまた・・・・・」

と彼女は荷物を片付けると早足で帰っていった。

 

 「は〜、彼女は重症だな〜。どうすれば仲良くしてくれるかな〜」

と僕は西にやがて沈もうとしている夕日を窓近くのサッシに寄りかかりながらそうつぶやいた。

そして僕はぼんやりと夕日が沈むまで外を眺めていた。

 

2章に続く