マクガバン・レポートと日本の現状

 1975年当時,アメリカ合衆国政府およびその国民は,ガンや心臓病などの増加,またそれに伴う医療費の増大に悩まされていました。そこで上院に栄養問題特別委員会を設置し,世界規模での食事と健康に関する調査を行うことになったのです。

 その結果は2年後の1977年に5000ページにものぼる報告書として発表され,世界中の栄養学に関わる専門家に大きな影響を与えることとなりました。栄養学の世界では有名な報告書で,委員長の名をとって通称「マクガバン・レポート」と呼ばれているものです。

 このマクガバンレポートから明らかにされたことは,ガン・心臓病・脳卒中などの現代病の主たる原因は,間違った食生活にあるということでした。そして,それらを防ぐために最も望ましい食生活のパターンが伝統的な日本人の食生活と酷似していることだったのです。(元禄時代の日本食が理想的)

 今でもアメリカ人が日本食のことをヘルシーフードだと思っているのは,この報告書の影響だと言っても過言ではないでしょう。

 ところがアメリカの専門家をして,健康のための食生活に最適と言わしめた日本型食生活の発祥の地である日本では,逆に食の欧米化が進み,肥満を含む現代病に関して言えば食生活が悪化の一途をたどっているといわざるをえない状況にあります。

 ちなみに,先のマクガバンレポートにおいて示された食事改善目標は,「動物性脂肪も植物性脂肪も減らすが,植物性脂肪の割合を多めにする,でんぷん質をもっと多めにする,コレステロールを減らす」などと,ここ数十年日本人が歩んでいる方向と全く逆の方向を示しています。

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