レディ ミツコ
初版【講談社コミック 昭和52年 発売】
現在は[講談社コミックス]から出版されている[大和和紀自薦集5]に収録されています
骨董屋の娘18才の青山光子がヨーロッパ(オーストリア*)のハインリッヒ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵と国際結婚した物語です。光子の父は異国人との結婚を反対する。そして、いずれ帰国してしまったら捨てられると心配する。伯爵の両親は異国の平民の娘とは伯爵の位に相応しない女性だと反対した。初めは日本で暮らすので何不自由なく二人の男の子をもうけしあわせに暮らせましたが、ある日、伯爵の父が亡くなります。帰国を迫られた伯爵は光子との正式結婚を認めない限り後を継がないと宣言する。光子の父の承諾を得て日本で初めての伯爵婦人が誕生する。そして帰国するのに同行する。言葉や風習の違いを努力で克服し伯爵婦人として認めさせた光子は七人の子供に囲まれて幸せに暮らす。が、伯爵が急逝する。残された領地の統治を長男ハンスに継承させる迄はと帰国をすすめる親戚の反対を押しきり広大な領地を統治するする為の勉強をし有能な領主となり教育熱心な母親となる。次男が19才で年上の既婚歴のある有名女優との結婚の承諾を求められ自分だけ二人のうわさを知らなかった事にショックを受ける。長女は大学への進学を希望するが光子は認めない家出をしてまで意志を通そうとする。次男の結婚の報告の手紙を破きまだ認めようとはしない母に長女は兄の論文の話をする「汎ヨーロッパ思想=全ヨーロッパは統一国家であらねばならない、ひいては世界はひとつの国家であらねばない…」兄は「オーストリア人の父と日本人の母を持つ自分だからそういう考えに至る事ができた」のだと言っていると話す。そして光子はようやく気ずく伯爵と出会ったあの頃の自分を…次男の結婚を許し、長女の大学進学を励ます。1941年8月、明治の始め東京の骨董屋の娘として生まれオーストリアの貴族に嫁ぎ夫なき後七人の子供を育て領土を治めウィーン社交界の花とうたわれた光子はウィーンの郊外で眠っている。
以上が「レディ ミツコ」です。別の漫画家の「カレルギー伯爵(北野英明・潮出版)」とういうコミックスでは第一次世界大戦で伯爵亡き後戦地で敵味方の区別なく戦士を手当てするミツコが描かれています。別の角度から見ても光子は双方とも美貌の才女で努力の人です。子供達は立派に成長し特に次男のリヒャルトの「汎ヨーロッパ思想」は有名なのだそうです。
*オーストリア=正式名称オーストリア共和国。ヨーロッパにある国。首都はウィーン