.    '04年11月20日

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うっすらと…

 ぽっかり浮かんだ雲の下、うっすらと雪化粧した蝶ケ岳。 数日前に舞ったわずかばかりの初雪と違い、二度目の雪は間近な冬の到来を予感させます。
 立冬も過ぎ、22日は二十四節季の小雪(しょうせつ)… 雨が雪に変わり、大地が凍り始める時期。朝夕の寒さは 徐々に厳しくなってきましたが、天気のよい昼間は絶好の散策日より。 遊歩道のふかふか落ち葉を踏みながら、明るくなった林内で 静かなひとときを過ごしてみては いかがでしょう。 (ときには静寂を破るサルの叫び声が響きますが…)
 次々に訪れはじめた冬鳥のバードウォッチングや、すでに来春の芽吹きの準備をすませた樹木の観察(ツリーウォッチング)に もってこいの園内です。



      園内、吊り橋からの眺望


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これでも エノキ!?

 スーパーで売っている白くてヒョロヒョロしたエノキタケしかご存じない方にとって、にわかには信じがたいこの存在感。  「いまごろキノコがあるの?」と驚かれるかもしれませんが、エノキタケは今が旬。 ときには氷漬けになりながら、しばらくの期間 見る(食べる)ことができます。 (なかには、ユキノシタの別名通り、2,3月 雪をかぶったみずみずしい姿で出るものもあります)
  写真の木はオノエヤナギの朽木。 園内が枯れ木や枯れ葉の山にならないのは、ひとえにこれら菌類のお陰です。 木材の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンは分解されにくく、とりわけ リグニンを分解できるのはバクテリアや放線菌、 それに エノキタケやナメコ・シイタケ・カワラタケ のような木材腐朽菌のなかの白色腐朽菌という菌類に限られます。





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烏川(からすがわ)

 北アルプス 常念岳・蝶ケ岳を源とし、園内を流れる烏川。その名前の由来は諸説あります。1.地殻変動により地下の花崗岩に押し出されて下流に運ばれた黒色の粘板岩が〔烏〕を連想させたという説。 2.水が涸(か)れやすかったことから〔涸らす(あるいは 空洲)川 〕→〔烏川 〕との説。 3.〔河原の中洲〕→〔かわらす〕→〔からす〕という説 などなど。
  この水で安曇野を潤すために、先人は数々の取水システムを造り上げました。江戸時代には、等高線に沿ってゆったりと横に流れる横堰(よこせぎ)と呼ばれる用水路が造られました。 高度な測量技術と施工技術の成果は今も引き継がれています。
  園内には当時の堰(せぎ)の跡や、近代に造られた頭首工(とうしゅこう)(取水施設:写真)があります。



 今は使われていない頭首工。 上流では現役が活躍中!