.    '04年12月13日

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雲海に浮かぶ 常念岳

 この雲海の下は安曇野。 小春日和となった日の朝、夜明けの放射冷却で冷えこみ、逆転層ができたことによる つかの間の現象です。
 本来、大気の温度は高度が上がるほど低下します(100m上昇すると平均0.6℃降下)が、風のない寒い朝は、冷たい空気が滞留して上空のほうが気温が高い場合があります。 これが逆転層。
 上昇した空気が逆転層の境に達すると、暖かい大気でふたをされた状態となり、それ以上上昇できず雲が発生します。 逆転層はやがて時間経過とと
もに上昇して消滅してしまいます。この日は2時間
ほどで雲散霧消。人間界を隠し、神々のすむ山々だけであった景色が一変、再び見慣れた安曇平が眼下に現れました。





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夕景

 上記と同じ日の夕景。先ほどまで、春を思わせるのどかな陽が射していました。 やがて夕暮れ。翌日の好天を約束するかのように、こんな夕焼けが。
 この刷毛で刷いたような雲は巻雲(けんうん)
もっとも高度の高いところ(5千〜1万3千m)にできる夕焼けにふさわしい雲のひとつです。 また、この雲が現れる数時間前には、彩雲(さいうん)も見られました。 パステル画のような色彩の彩雲は、太陽の近
くにある雲(高積雲など)の水滴がプリズムとなり、光の回折で雲全体が虹色に見えるもの。 古来より瑞雲(ずいうん:めでたいしるしの雲)と呼ばれ、見られればラッキー!。  さてさて、そのおめでたい雲を見た幸せ者に、どんな吉運が訪れるのでしょう。






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点滴 岩をも穿(うが)つ

 長い間の水の浸食により、こんなに深くえぐれてしまいました。「点滴岩をも穿つ」 (一滴また一滴と休みなく滴り落ちる水により、やがて岩に穴があく)という諺も、これを見ると説得力を持ちます。 洋の東西を問わず人生訓は似た発想になるようで、 英語でも「Constant dripping wears away the stone」(絶え間ない滴りが、石に穴をあける)とあります。
 ここは烏川の上流。 近くには大水沢の滝延命水などの観光スポットがあります。川に沿った林道を行き着けば、三股の駐車場。 北アルプス登山の玄関口です。 シーズン中は大混雑の駐車場も、今は冬期の林道閉鎖のため人影はありません。 聞こえるのは渓谷に響く烏川の瀬音と、突き刺すような風音。 見上げれば、時として 幻の猛禽の鳥影が…



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