.    '05年12月14日

   .

冬の始まり

  寒さに首をすくめながら 「今日も一日いい日になるかなぁ」 と、脳天気な思いをいだいての出勤の朝、園地まであと数分のところから望む常念岳。
 本格的な雪のまえぶれとなった日、きっとこれが常念岳の冬姿の始まりなのでしょう。もはや春までその地肌を現すことはないはず。 北アルプスが近づくことを拒み、遠く眺めるだけの山に豹変したときです。
 昨年度までは 環境管理事務所を冬期閉鎖していましたが、今年度は一部の日をのぞき事務所とトイレをオープンして、レクチャールームの展示をはじめ
として園内のご案内にも対応しています。 まもなく積雪におおわれる園内ですが、寒い時期は寒いな
りに楽しみのあるフィールド。 冬ならではの良さを発見できるときです。





   .

裸足(はだし)?

 雪上にくっきりとしるされたニホンザルの足跡。 人の手足のような形状に、改めて人類に近いことを実感します。 しかし、当然ながら裸足(はだし)。 凍傷にはならないのだろうか(・。・? … 【答】 寒くなると体温を下げない(= 血液を冷やさない)ために、抹消血管を収縮させるのはヒトもサルも同じです。違いはサルは時々血管を広げて血液を循環させるのに対して、 ヒトは閉じたままになること。 その結果、ヒトの場合は血流が止まり、凍傷や凍瘡(しもやけ)になってしまいます。 サルに限らず寒冷地の動物に備わった体の仕組みです。しかし、サルは本来暖かい地域の生き物。  寒さに適応したニホンザルは世界でもっとも北に分布するサルであり、絶滅危惧種として国際版レッドデータブックに登録されています。



  このあたりでは珍しくもない足跡なのですが、じつは…


   .

癒(いや)されない傷跡

 園内森林エリアでときどき見かける、周囲に傷がついたコナラ。来園者のなかには 「キツツキがくるっと木を一周してエサとなる虫を採ったんでしょぉ」と、突飛な発想される方もおられます。 …が、それは(キツツキにとっては)とんでもない ぬれぎぬ。じつはシロスジカミキリ というカミキリムシが産卵して、その傷跡から侵入した腐朽菌によりこのような姿になったのです。
 膨れ上がったところを輪切りにしてみると… 腐朽した個所を覆い隠しながらも成長しています。腐ったところは耐久性が弱くなるために、「このままではマズイッ!」 と危機を察した木が、その部分を太らせ補強した結果がこれ。  しかし、いったん腐朽した細胞は二度ともとに戻ることはありません。傷が再生(治癒)する動物との大きな違いです。



 年輪を数えると、被害(産卵)に遭ったのは 5年ほど前