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虫時雨(むししぐれ)
写真はスズムシ。 メスを呼び寄せるためにオスだけが鳴きます。もっとも、鳴くといっても、右翅のヤスリ状のものと 左翅の硬いツメ状のものをこすりあわせて出している音。 文字通り、体をはってのラブ ・コールです。 この時期に鳴く虫の音を「虫しぐれ」と、雅(みやび)に表現します。
夏の「蝉しぐれ」は、賑やかななかにも、最後の力をふり絞り、わずかな日々を生きようとするセミの悲壮感が漂います。
一方「虫しぐれ」は 静けさのなか、尽きることのない鳴き声に悠久の時を思い、同時に小さな虫の力強さを感じます。 ツヅレサセコオロギやカンタンの繊細さ、ウマオイやエンマコオロギ
(烏川下流には県内では分布の限られる エゾエンマコオロギも棲息)の気だるさ。 秋の夜長、それらを聞きながら、闇のなかで盛んに翅を震わせている彼らの姿を思い描くうちに、やがてウトウトしてしまい … 目覚めると、まさに 「邯鄲(かんたん)夢の枕」
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「リーン」と一回鳴くために40回以上も翅を震わすとか
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