.    '06年10月26日

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花の棺(ひつぎ)

 小学生の I くんが… 「この鳥 なぁ〜に?」と持ってきてくれました。花の棺に入っていたのはセンダイムシクイの亡骸。 聞けば、建物にぶつかって死んでしまっていたとか。 「公園の展示品に加えて」 とのありがたい申し出でした。 この鳥を見つけた時、最初は埋めようかとも考えたらしいのですが… 「そうだ烏川に持っていこう!」 と思いついてくれたとのこと。 それにしても、こんな死化粧をほどこしてくれるなんて…
 噂によると この少年は、お父さん共々とても素敵な写真を撮るとか。きっと日ごろから、被写体となる動植物をじっくり見つめる習慣や、それらを思いやる気持ちが育まれているのでしょう。
 そんな彼のご要望にお応えして、この鳥はいまレクチャールム内の冷凍庫に保管して、宝物的教材になっています。





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(=^ェ^=)

 この 猫のような、あるいは 赤鬼のようなものは…
ツルアリドウシの実です。 実の形がちょっと変わっているのは、茎の先に咲く2つの花が合体してひとつの果実になったため。…といっても、たまたまなったのではなく、こうなるのがこの草の特徴なのです。 角(つの)のように見えるのは、そのふたつの花の名残です。
 ツルアリドウシは草ですが、これと葉も花も実もそっ
くりな樹はアリドウシ、別名はイチリョウ(一両)です。 赤い実がたくさん付き、おめでたいとされる樹はマンリョウ(万両)とセンリョウ(千両)。 他に、百両(標準和名:カラタチバナ)、十両(標準和名:ヤブコウジ) と続き、 おしまいは、ぐっとリーズナブルな【一両】→アリドウシ です。 名前はほかのものに負けますが、山の中で見ればその可憐さや清楚さは随一 …と思うのは判官贔屓に過ぎるでしょうか。  





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秋の空

 「天高く馬肥ゆる秋」→「食べ過ぎて太らないようにしよぅ」と、お気楽な連想をしがちなのですが、じつは「天高く馬肥ゆ」の本来の意味は中国の故事によるもの。 秋、肥えてたくましくなった馬に乗り侵攻 してくる北方騎馬民族〔匈奴:きょうど〕 への備えを戒めたものとか。  およそ、飽食な日本人の贅沢な悩みとは、まさに天と地の違いなのでした。
 秋は空や雲を眺めるのに絶好の季節です。 上の写真は、園内の吊り橋の上で 秋風に吹かれながら撮ったもの。 下の写真は園地から5分の場所で常念岳の夕景を撮ったものです。 この夕焼けは、わずか十数分間の出来事。 太陽の動きの速さを目のあたりにし、移ろいゆく時のはかなさを思い知り、やがて「このあと何回 こんな夕焼けを見られるのだろうか」と人の世の秋を感ずるのでした。





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