.    '07年7月10日

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 「どうやって切ったの!?」

 急斜面に立つ、高さ6mほどで切断したアカマツ。 さて、どのようにして切ったのでしょう?
はしごをかけた? クレーンで吊りながら?… ここは、一歩間違えば数十メートルは転落する崖の途中。 とてもそんな危険な作業はできません。  じつはこのアカマツ、外観上特に異常のないまま倒れていました。おそらく、急斜面のため徐々に根元の土が削られて、とうとう 自重を支えきれなくなったのでしょう。
 そこで、仕方なく始末すべく、枝を払い上から1/3ほど切ったところ… 空気を切り裂く勢いで起き上がり、このように直立したのでした。 重過ぎた上部を切り落としたために、(根はしっかりと張っていたので)『起き上がりこぼし』のように元にもどったのです。
 休眠芽のないアカマツは、今後新たに枝葉が出ることはありません。 しかし、根が腐るまで、しばらくはこのままの姿で立っていることでしょう。



  街の中では見かけても、自然の中では異様な風景
   .   これが街路樹であれば、まさしく【断幹(だんかん)】。 幹の途中から切断することでほぼ確実に腐朽菌が入り、樹の
  命を縮めます。 本来ならば景観上伐採すべきですが、森や樹の仕組みを考えていただくよすがにと残しました。



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クマにお知らせ(するための道具)

 写真は、クマよけに設置した鐘と、その告知文。
周辺で目撃があったため、クマの研究団体として著名な信州ツキノワグマ研究会 と相談して、このような鳴物を設置しました。 材料は…単管(鉄パイプ)。当初は福引の当たりで鳴らす鐘を提案したのですが、さすが創意工夫により無駄を排除する長野県の行政マン。 出来合いの鐘よりも遥かに優れた上に、とってもチープでコストパーフォーマンス抜群の手作り品を完成させました。  さて、これで安心…? とは、 単純にはいかないかも。 個人的には、過去数回の遭遇で、『臆病な動物』との認識があるのですが、なかには 好奇心が強かったり、暴れ者がいるかもしれません。人間との比較をするまでもなく、犬や猫に個性があるように クマにも個性があるはずです。  なぜ人は、ペットの個性を認めても、野生動物は十把ひとからげに捉えてしまうのでしょう…



鉄パイプに【切れ目】を入れるのがミソ。これで音が大きくなる





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森太郎森姫 【当園地とは無関係な話題】

 当WEBサイトの管理人は、数年前より、飯山市 にある(財)飯山市振興公社・なべくら高原森の家 の要請を請けて、鍋倉山のブナの巨木 : 森太郎『森の巨人たち百選』 に選ばれている)と森姫の樹木医診断を、定期的にさせていただいています。
 森太郎の一寸気になる変化もさることながら、森姫の衰退著しいものがあります。 本来、数百年を生きている樹の変化は、見た目では判りにくいもの ですが、森姫は見るごとに激変しています。
過去おこなわれた敷き藁(わら)による土壌改良や立入規制により、根の改善がなされたとはいえ、やはり末期的な段階にあることを認めざるをえません。
 生きとし生けるものが滅びるのは必定とはいえ、なす術(すべ)もなく、ただ変化を見守るだけのこの時期に居合わせたことを、悲しむべきか感謝すべきか。




        森太郎                森姫
           〔 '07年7月8日 診断&撮影〕