.    '09年3月12日

   .

陽だまり読書

  いまだ寒い日が続く園内ですが、間近にせまる春を感じた出来事… 風のない穏やかなある日、地面に座りこんでいる人影を発見。 何事かと遠目にうかがうと… 枯草の上に座り、背中に陽を受けながら、 読書をされているご様子。お茶でもいれるのでしょうか、バーナーで お湯を沸かしながら、優雅なひとときを過ごしておられます。 こんな風景が日常となる季節が、間もなく園内に到来します。
 あと ひと月もすれば、オオルリがその姿を見せることでしょう。夏鳥として東南アジアから渡ってくる、当園地を代表する野鳥です。 そのオオルリ目当てに来園されるバードウォッチャーも少なくありません。 そこで 毎年の恒例行事となった 『オオルリ観察会』を開催します。 渡りの直後にしか見られない、とっておきの生態が観察できます。 乞うご期待!






   .

青い鳥

 「幸せの青い鳥」って、オオルリ?それともカワセミ? 写真のカワセミは、窓ガラスに激突して死んでしまったものを寄贈いただき剥製にしたものです。 高速で飛翔する鳥にとって、建物や車のガラスは極めて危険な障害物です。 この個体も、くちばしの先が折れており、衝撃の激しさが察せられます。 せめてこうしてその存在をとどめおくことで、非業な最期を遂げた身を偲びたいとの思いがあります。 それにしても、なんとも見事な配色です。特に‘青色’は溜息ものです。 そこで、この青色の羽を20倍に拡大したところ[⇒写真にマウス・オン]…おやっ!? 色が無くなりました。
じつは、カワセミの羽が青く見えるのは、青色の色素があるのではなく、‘構造色’からくるものなのです。 構造色には、干渉 ・屈折 ・回折 ・散乱 などがあり、空が青く見えるのは‘散乱’によるもので、カワセ ミのそれは‘散乱と干渉’によるものです。





   .

食痕(しょっこん)

 クスノキ科のアブラチャンに残されたサルの食痕(動物が食べた痕跡)です。[どのように食べるかは⇒写真にマウス・オン] サルやシカが食べるのは「内樹皮」と呼ばれる部分です。 ここは、細胞分裂により肥大する「形成層」と、葉でできた栄養を根に運んだり、根や茎に貯めた栄養分を成長部分に運ぶ 「篩部(しぶ)」から成っています。 ですから、この部分を傷つけられることは、樹木にとっては一大事。 幹を一周するように食べられてしまえば、時には枯れてしまい ます。諏訪地方で御柱(おんばしら)に使うウラジロモミ の巨木が、ニホンジカの食害によって枯れることが懸念されるのは、まさにこの理由によるものです。
 それにしてもこのアブラチャン、クスノキと同様樟脳(しょうのう)の成分があるはずなのですが… どうやら 防虫効果はあっても、防猿効果はないようです。



  樹を守るべきか、動物の餌とすべきか… 悩ましい