.    '09年5月10日

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除草のむずかしさ

 セイヨウタンポポの除草作業の様子です。 園内の植物管理において、極力、人間の 恣意的な判断(価値観)を持ち込まないようにしています。  それは良かれと信じておこなった行為でも、時には生態系のバランスを崩すことがあるからです。とはいえ、年々増え続ける弊害は見過ごせません。 そこで、ある程度の外圧を加えて、増殖を防ぐことが必要と考えました。 しかし、その作業は『言うは易く 行うは難し』です。 根絶させようと根を掘っても、大概は途中で切れてしまい残った部分からクローンが生まれます。
また、在来種と違い、交配せずに種を結実(=遺伝子が同じ:クローン)させるため瞬く間に増えます。 さらには在来種との間に多くの雑種が生まれているため、見分けポイントである‘総苞外片の反り返り’では 判断がつかない などなど、 作業量の増大に加えて、除草対象の選別が困難になっています。




      結実前に花を摘み採ることで増殖を防ぐ


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レンプクソウ(連福草) 〔福寿草に連なる草〕

 茎の先に 5個の花がつくことから別名は五輪花。 花の直径は 5mmほどしかなく 色合いも目立たず、意識しなければ見過ごしてしまいそうな野草です。
花を見ると、側面の4輪の花弁が 5裂するのに対して、先端に上向きにつく 1輪だけが 4裂しています。
知らなければ踏み潰しそうになるこの奥ゆかしい草 に気づき、花としての存在を認識できるようになってからは、 見落としがちな小さな生物にも 目を向けるようになったのでした。しかし、時にこんな可憐な草花を見つけると、思わず持って帰りたくなる方がおられるかもしれません…が、悪意のない軽い気持ちでの行為も、当公園においては『盗掘』となってしまいます。 特に本種は 菌との共生で生きる植物のため 持ち帰ってもやがて衰退してしまいます。(言い古された表現ですが…) どうか 『眼というレンズを通して 想い出というフィルムに写して』 いただけますように。




      上から見たところ (一輪だけ 4裂する)


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北アルプス (園地外情報)

 ようやく春を迎えた上高地。 梓川越しに、朝霧に浮かんで聳え立つのは穂高連峰です。  ここ数年、山岳ガイドのNPOに所属しており、幾度となく上高地をご案内しています。  写真は今シーズン初めて訪れた際の早朝 5時、バードウォッチング途中の眺めです。 前夜の深酒の匂いを漂わせながらの鳥見は爽やかさとは程遠いもの。 しかし、ルリビタキ、エゾムシクイ、オオルリ、ミソサザイ、アカハラ、イソシギなどの鳴き声を聞きながらの散策で‘二日酔い’とはサヨウナラ。 心身ともに透明感を取り戻せたのでした。
  上高地は、安曇野市穂高にある穂高神社と深い関わりのある地。今年はその穂高神社の20年に 1度の盛儀である大遷宮祭の年です。 ここ上高地にある奥宮でも、5月22・23日に式年遷宮記念舞楽祭がおこなわれます。  それを皮切りに、別天地 を求めて、今年もまた多くの方が訪れることでしょう。




         西穂高岳 〜 奥穂高岳