スプリング ・エフェメラル (春の儚きもの)
羽化して間もないヒメギフチョウです。
蝶は蛹から抜け出ると、縮んでいた翅に体液を送り展開させます。 しかし、時にはうまくいかないことがあります。写真の個体がまさにそうでした。 蛹になる時、場所の選定を誤ったようです。気づいた時には、片方の翅が木の葉にあたって伸ばせないでいました。
そのままにしておけば、伸びきらない状態で固まってしまいます。 「これはイカンッ!」 と、障害物を取り除いて様子を見ていると… やれやれ、どうやら間にあったようです。やがて縮んでいた翅を展開して、ご覧の姿になりました。
自然の中では、少なからぬ蝶が このよ うな状況で、空を舞うことなく死んだり、鳥や昆虫に捕食されます。 あるいは、蛹の段階で寄生されることも多く、
こうして成虫になれる確率は極めて低いとのこと。 選び抜かれてここまで育ったヒメギフチョウは 2週間ほどの命を生きて、その儚き生涯を終えます。
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