.    '10年3月24日

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巻き添え

 雪害により倒れたアカマツの巻き添えとなり、幹折れしたイヌザクラ です。  確認している限り、園内に自生するイヌザクラはこれだけのため、がっかりしたのですが… 不幸中の幸い、根元より二本の幹が出ている双幹樹のため、もう一方は生き残りました。
 名前が ‘イヌ’ で始まる樹木は数多くあります…
イヌブナ、イヌザンショウ、イヌエンジュ、イヌツゲ、イヌビワ、イヌマキ、イヌガヤ、イヌコリヤナギ、イヌシデetc 人の役に立つ樹(有用樹)に似ていながら、それより「劣るもの」の意で命名されることが多いようです。 それにしても、なぜ、犬なんでしょう?  『イヌは「犬」ではなく「異ぬ」』 とする説もありますが、「異なる→異ぬ」という表現は日本語的に無理があるようです。
 イヌザクラの仲間にはウワミズザクラ、シウリザクラがあり、園内には ウワミズザクラが多く自生しています。イヌもウワミズも、桜の話題が終わる頃 開花します。





 残念ながら、主幹のほうが折れてしまった ( ̄□ ̄;)


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春告げ花

 いま園内で咲いているザゼンソウ(左)とセリバオウレン(右)です。 〔セリバオウレンは、オス・メスの別がある‘雌雄異株’であり、写真は雄花(雄株)〕
 当園地に春が来たことを知らせる春告げ花です。それにしても、昆虫が少ないこの時期に、花粉を運んでいるのは誰なのでしょう?  ザゼンソウは熱を発生させて温室状態にして虫を集めます (低温障害を回避するためとの説もある)。 外気温度が氷点下になっても、花序(花)は 20℃前後の温度を保って 数少ない昆虫を積極的に呼び寄せているとのこと。 さてそれでは、セリバオウレンはどんな大作戦で虫を誘っているのでしょか。 もし人間が花粉媒介者ならば、ザゼンソウより セリバオウレンの花の魅力に惹かれて近づくのでしょうが… (なお、保護を目的として セリバオウレンの自生地は公表しておりません)







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水中のしだれ桜 (旬情報 番外編)

 上高井郡高山村の水中(みずなか)のしだれ桜。 「花つきが 悪くなってきた」 との村人たちの心配が発端になり、樹勢回復のための土壌改良がおこなわれました。 新聞でボランティアを募ったところ、老若男女 50名を超える方々が、肌寒い曇り空の下に集まりました。 子供の頃、この樹に上って遊んだという年配者。 これから、この桜を守っていく子供たち。 誰もが桜の根元を掘るのは初めての体験です。  はじめは戸惑いがあったようですが、樹木医と造園業者の指導で次第に慣れてくるにしたがい、口も手も 元気に動き出し、まるでお花見のにぎやかさとなりました。
 夕方、予定どうり作業を終えて、しだれ桜の周囲には静寂がもどりました。 多くの人々と関わりをもったこの樹が、やがてかつての元気をとりもどし、数百年ののちまで生き続けることを願うばかりです。





          高山村指定天然記念物