.    '10年9月20日

   .

まもなく紅葉

 まもなく、落葉広葉樹観察が楽しみなシーズン到来です。当園地の樹木の多様性を端的に示す例 として、カエデとヤナギの種類の多さがあげられます。
 国内に自生するカエデ科 (APG植物分類ではムクロジ科)は 26種あまりありますが、園内には そのうちの 20種が自生しています。 なお、時に誤解をうけるのですが、カエデ(モミジ)の種類が多いからといって、‘全山錦秋に彩られる’という景色にはなりません。 じつは、カエデ科のうち、紅葉する樹種は少数派なのです。 ちなみに、園内自生種で紅葉するのは… ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、ヒナウチワカエデ、オオイタヤメイゲツ、オオモミジ、コミネカエデ、ミツデカエデ 等。  黄葉ないし褐葉は… ヒトツバカエデ、ウリカエデ、ウリハダカエデ、イタヤカエデ(モトゲイタヤ、エンコウカエデ)、チドリノキ、アサノハカエデ他。〔ただし、いずれも個体により色の変化あり〕





  環境や個体差で、紅葉したり黄葉するオオモミジ


   .

森づくり (園地外情報)

 通勤途中で見かけたアカマツ林。 強度の間伐が終わり、すっかり見違えました。荒れていた山が見事に手入れされました…と、言いたいのですが… 残念ながら、 せっかく良くなってきた山を、20年ほど後退させる 森づくり をしてしまったと考えざるをえません。
 ここは間伐前、アカマツや多種多様な樹木が繁茂して、人が入れる状況ではありませんでした。アカマツ を間伐したことは意義あることですが、問題はそれ以外の 樹木を樹種に関係なく伐ってしまったこと。 順調に育ってきた低木や亜高木のほぼすべてを無くしてしまいました。  おそらく、さっぱりさせて見通しを良くしたかったのでしょうが、これでは逆効果。 明るくなった林床は、発芽や萌芽でこれまで以上の藪になってしまうことでしょう。 森(山)づくりの基本は、樹種に応じた手入れをすること。 山仕事は畑仕事と違い一回の作業で数十年を棒に振る危険があります。





       一見、良くなったかに見えるが…


   .

神になった樹 (旬情報 番外編)

 信州諏訪の七年に一度の大祭「御柱(おんばしら)祭り」。今年はその年にあたり、現在でも諏訪地方各地の神社で「小宮の御柱祭(小宮祭)」がおこなわれています。 一方、諏訪大社上社・下社のお祭りは、この 5月までに終わっています。 今回、当WEB管理人の所属する長野県森林インストラクター会研修として、その伐採地を訪れました。 写真は諏訪大社上社 ・本宮に建てられて神の樹となったウラジロモミの切り株です。 伐採地はわかっても、山の中のことゆえ、どこにあるのか見つけるのは容易ではありません。 そこで、氏子であり、お祭り男である森林インストラクターのFさん(写真)に案内していただきました。 諏訪大社を焼き討ちした織田信長が、その 3ヶ月後に本能寺で果てたこと。 きっかけとなった明智光秀への屈辱的な仕打ちは、諏訪大社隣の法華寺でのことなど因縁深いお話を伺いました。





  お祭り衣装で ガイド&インストラクト… さすがぁ!