.    '14年6月21日

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大役もあと少し

 目の前の枝に、巣立ったばかりと思われるオオルリの幼鳥がいました。それを撮ろうとカメラを構えたときには、すでに飛び去った後。  写真は、その近くにいたオオルリの成鳥(メス)です。 きっと、飛び去った幼鳥の母親なのでしょう。 いまや子育ての最終段階。もうしばらくは親子一緒にいますが、やがてヒナは独り立ちして、この秋には 親を頼ることなく海を渡り異国の地を目指します。 それまでにわずか数ヶ月しかありません。 改めて、渡りをする小さな生きものへの畏敬の思いがするのでした。 ところで、 このオオルリ親子の巣の近くでは、ヒヨドリも営巣中です。もっとも、こちらのヒナはいまだ巣の中にいて、親は盛んに給餌をしています。 園路近くに巣があるため、来園者が知らないで近づくと、けたたましい警戒(威嚇) の鳴き声を発します。異常な鳴き声がしたら速やかに去っていただくよう、鳥になり代わりお願いします。







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あったかいなぁ〜

 吊り橋の手すりの上で‘ひなたぼっこ’している フキバッタ。 この時、近くには数十頭がいました。 ご覧のように、翅が退化しているために飛翔できません。 その結果、移動範囲が狭く、地域による遺伝的な分化が進んでいる(=多くに分類され、種名の特定がむずかしい)昆虫です。 多くの生物が数を増すこの時期。 写真の奥のヤナギの枝には ヒオドシチョウの蛹(さなぎ)がぶら下がり、その同じ樹で、あいもかわらず マイマイガの幼虫が葉を食べています。  さらには、それら昆虫を狙って鳥が飛びかっています。 植物は言うに及ばず、動物の目まぐるしい動きに、目が離せない状況が続いている園内です。 夏期シーズンには水遊びで喧騒となる水辺エリアですが、今はまだ静寂を保っています。 そんな今こそが、自然観察に絶好の時期です。 ご来園いただき、それら動植物を目のあたりにされてはいかがでしょう。





   


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取捨選択

 写真は森林エリアの園路。コケが一面に生えていることから‘苔の道’と称しています。その園路脇に生えてきた樹の一部を除去しました。 極力、自然の推移(植生遷移)に任せている園内ですが、園路近くにあって危険が予見できるもの、道路など構造物を傷める可能性があるものは伐採しています。 その際は、一本一本を取捨選択しています。 樹種により数年・数十年単位で将来を予測して、それに応じた対処を心掛けています。  森林整備でありがちなのは、【藪のようになったので一斉に伐ってしまう】こと。一時的にはきれいさっぱりとして(ヒトにとっては)気持ちのよい森になるのですが、その後数年すると 以前にも増して‘藪の森’になります。 被圧により抑えられていた植物が一斉に生えて、それまでのバランスがくずれて、『最初からやり直し』となるからです。過去を無駄にしない介入が求められます。







        上:作業前  下:作業後