.    '16年8月10日

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二色効果

 烏川の流れに張り出して 鈴なりにつく赤い実はウワミズザクラ。  ほとんどのサクラは、春に開花して果実(さくらんぼ)は初夏に熟します。 しかし、このウワミズザクラは、春に花が咲いても、果実は夏が過ぎ秋に成熟します。 いまはまだ未熟なため赤色ですが、やがて熟して黒くなります。このように成熟・未成熟で色を変えるのは樹の策略なのです。 種子を運ばせる(果肉を食べさせる)鳥に対してのサインです。種子がまだ未熟な段階では赤色、『はい、食べてちょうだい』となれば黒色になります。  ここで大切なのは、鳥がそれを理解していること。 同じように、ヒトもまた、赤いクワの実は食べず、黒くなってから、口の中や指先を紫色に染めて食べます。





     園内には、よく似た イヌザクラ も自生する


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昆虫でもクモでもなく…

 来園されて窓口に来られた方から… 『あそこにいる虫は何ですか?』 とのお尋ね。 それはザトウムシ(座頭虫)でした。 "虫"と言っても昆虫ではなく、 また、一見すると似ている クモでもありません。 地球上に約6500種、日本には100種あまりが知られているとのこと。 それほど多くの種類がいながらも、見ることは少ないようです。  もっともそれは、クモと間違われて見過ごされているからなのかもしれませんが。  一方、来園者が園内で見つけた時には、お尋ねが多い動物です。  目を引くのは、その歩き方です。 身体に比して極端に細くて長い脚。その 頼りなさげな脚を使って、小さな身体を前後左右にユラユラと揺らしながら歩き回ります。





  4対8本の脚の内、最も長い1対で前を探りながら歩く 


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見つめあう (園地外情報)

 自然観察のグループをご案内している時に出合ったカモシカ です。 50mほど離れているとはいえ、こちらは20人近い集団です。人数の多さを怖れて、逃げ去ってしまいそうなものですが、この個体は、意に介さず草を食んでいました。 人慣れしてるのか。 それとも、こちらを【危害を加えてこない動物】 と判断したのでしょうか。
当園内には大型哺乳動物の多くが生息しています。 これまで確認されているのは15科25種(ヒトを入れると16科26種)。 このうち、よく見られるのは サル、リス くらいに限られますが、それらの次に出合う機会があるのが本種です。  でもこうして見つめあえるのはカモシカ ぐらい。サルは目を合わせると危険ですので、要注意。





一人で山の中、20頭の野生動物に出合ったら、相当怖い