.    '16年11月30日

   .

強靭なあごと歯

 ガリガリ バリバリッ と けたたましい音とともに硬いオニグルミの殻が砕け散ります。 なんともすさまじいニホンザルの食事を見ていると、歯の丈夫さと、あごの力の強さにあきれるばかりです。 とはいえ、歯式(切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯のそれぞれの数)はヒトと同じです。違うのは、犬歯が大きくて鋭いことと、噛む力を左右する咀嚼筋のうちの「側頭筋」と「咬筋(こうきん)」が発達していること。 それらを使い、冬越しの身体をつくるべく、食い溜めして皮下脂肪を蓄えています。そのため、今頃のサルは丸々と太っています。一方、食い溜めする必要のない動物園のサルは、相変わらずスリムな体形を保っています。 さて、どちらが幸福な生涯なのでしょう?





     食べられるものは、なんでも食べる…?


   .

初雪の翌日

 今年の初雪は11月24日でした。 その翌日に一斉落葉したマユミです。 一般的には、ニシキギ科のマユミは、深紅に紅葉します。しかし、園内にあるこの樹は、紅葉も黄葉もすることなく緑のまま、毎年この時期に落葉します。実は この葉は春出たものではなく、夏以降に急遽造られた芽(土用芽)が 開葉したものです。 春の葉は虫害に遭って丸坊主になってしまいました。 葉を食べたのは オオボシオオスガ という蛾の幼虫。大発生して天幕を張ることから、アメリカシロヒトリと勘違いされる昆虫です。  10年以上、毎年繰り返される食害に当初は心配しましたが 特に異常無く育っています。 2度目の葉をぎりぎりまで使って養分を蓄えて生きています。





    10年以上にわたり、この樹だけが食害される


   .

鳥類標識調査

 当管理事務所に電話があり…『庭で小鳥が死んでいますが、どうしたらいいですか?』 とのお尋ね。 死因が不明な野鳥は (鳥インフルエンザなどの危険があるため)扱いに注意を要するのですが、聞いた範囲では どうやら窓ガラスへの激突が死因のようでした。当初は埋葬をお薦めしたのですが、よく聞くと足環がついているとのこと。 鳥類標識調査(バードバンディング)対象となっている個体のようです。 そこで、当所から関係機関 (環境省による公益財団法人 山階鳥類研究所への委託事業)に報告することにしました。 お預かりした野鳥はアオジ。国内の標識調査では、数多くの個体が調査されています。願わくば、新たな知見の一助となりますように。





    KANKYOSHO JAPAN 2AK 17214 の刻印