.    '18年12月21日

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逃げもせず

 渓谷を流れ下る水音だけが聞こえる森林エリアを巡視中のこと。 カサカサと音する方に目をやると… 20mほど先にいたのは カモシカ
 (お互いに?)一瞬走る緊張感。 しかし、そのまま静かに見ていると、やがて、警戒心を解いたのか、反芻をはじめました。しばらくの間、お見合いしていましたが、一向にその場を動く様子がありません。 そこで仕方なく、園路を外れ、大回りして離れることにしました。その途中、気づいたのは、左角が根元から欠損していること。 カモシカの角は武器というだけでなく、縄張り宣言に使う重要な器官 (角研ぎにより樹木の皮を剥がし、そこに分泌物をこすりつける) 。 はたして、一本で、この先大丈夫なのだろうか…





   この時食べていたのは、ウリハダカエデの冬芽


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一方、こちらは…

 20~30cm以上ある石を動かし、まるで小型の重機を使って掘り返したかのようにして、地中に埋設した信号ケーブル(電光掲示板用)を危うく切断しかけたのは… イノシシ。  餌となる草木の根を求めて、鼻先だけを使って、こんな大仕事をやってのけました。 ちなみに、嗅覚は 犬よりも優れているとのこと。 まるで、精密機械でありながらも重機であるかのような鼻です。
 ところで、私事ながら… 当WEB管理人は、県の委嘱を受けて【カモシカ調査】をしています。 野山を歩き回り、カモシカの痕跡を探す際、まぎらわしいのが、シカとイノシシ。 シカは足跡や食痕(草木に残された特有の食べ跡)が、イノシシは足跡が、それぞれ酷似しているからです。





    地下20cmに埋設したケーブル(矢印)が…!


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助け合って生きる

 写真はマツゲゴケ。まつ毛のような器官(菌糸の集まり:矢印)が目立つことからの命名です。 コケと付きますが、苔ではなく地衣類(菌類と藻類が助け合って生きている生物)。菌類は藻類のために水分環境を保持し、藻類は菌類に糖類を与えます。 最近開催した【からすの学校・地衣類学習会】では、数多くの種類を確認できました。 たとえば、このマツゲゴケをはじめとして、これまで ウメノキゴケで片付けていた幾種かのそっくりさんを見つけることができました。  国内でわかっている地衣類は1800種余り。いまだ未確認のものも多くあるとか。樹木が2200種余りあり、その全てに名前が付いている ことを考えると、まだまだ 謎の多い分野といえます。





           ただいま、共生中