.    '19年3月15日

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献身的な子育て

 写真はコブハサミムシ。ハサミムシ類は、メスが育児をすることで知られています。産んだ卵を舐めて清潔にしたり卵塊を積み替えて、細菌などの感染を防ぎます。孵化した後はエサを与えての子育て。 ヒト社会のような育児放棄などということは、おそらく無いのでしょう。そんなハサミムシ類の中でも極めつけは、この コブハサミムシ。 冬にメスは石の下などに数十個の卵を産みます。早春に孵った幼虫は、それまで片時も離れずに守ってくれていた母親の身体を… 食べます。 幼虫の最初のエサとなるのは母親であり、文字通り、献身的な子育てといえます。 ちなみに、写真の個体はオスであるために(残念ながら)身をささげる子育てはできません。





   早春、エサの少ない時期に子育てするには…


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彼らに花粉症はいない

 この、長さ 3,4mmの俵型の黄色いものは… モモンガの糞です。黄色い理由は、杉の花芽を食べたから。 この時期は、スギの花への依存が高いようで、あちらこちらに 色鮮やかな糞が落ちています。 スギ花粉症の方には辛いこれからですが、モモンガにとっては 冬から春のご馳走が終わりに近づく、お気の毒な時期を迎えようとしています。  『スギ花粉がご飯になるのなら、いっその事、モモンガになりたい』 と願う 花粉症の方、おられません?  なお、園内にはムササビも生息 しています。 営巣場所やエサが競合する両者ですが、この先も うまく折り合いをつけて生き続けますように。 【お願い】 保護のため営巣場所は公表しておりません





   スギ花粉症の方には、見るのもおぞましい…?


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美味しいのかなぁ?

 霙(みぞれ)降る中、ニホンザルが、ケヤマハンノキの枝を齧っていました。 樹木は冬を迎える前に、澱粉(← 春から晩夏までに、水と大気中の二酸化炭素を使って作り出した)を糖に変え、それを 枝や幹の細胞に蓄え冬を迎えます。 そして春になると、再び糖を澱粉に変えて芽吹きや開花に備えます。 今は まさにその時期。 理屈の上からは、いかにも美味しそうなのですが… ちなみに、この時期、園内で彼らが食べているものは、多くの樹種の冬芽、樹皮 (の下の形成層)、ササの葉、昨年落下した樹の実、 フキノトウなど出始めた草、河原の石をひっくり返しての水生植物や水生昆虫… etc。 食べられるものは、すべてがご馳走のようです。





 濡れそぼった体毛は、見るからに寒そうなのだが…