.    '20年7月20日

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むかし むかし…

 「緑の国勢調査」(正式名称は「自然環境保全基礎調査」)において【汚染されない小さな谷間の指標昆虫】に指定されている ムカシヤンマ。 日本固有種であり、ムカシヤンマ科ムカシヤンマ属ムカシヤンマの名前の通り、トンボ類のなかでは(ムカシトンボやイトトンボ類を除き)最も原始的な形態と特異な生態を持つ種です。
 幼虫(ヤゴ)は、低温できれいな水質の水がしたたり落ちる、コケ類が繁茂した谷の崖などで生育するとのこと。 そのムカシヤンマが生息することは、まさに、当緑地が水・苔・崖の三拍子そろった環境にあることの証と言えます。
なお、当緑地ではこの他にも、これまでに20種弱のトンボ類が確認されています。





       国内では、一属一種の孤高なトンボ


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大木

 森林エリアに生えるミヤマヤシャブシ。根元直径70cm、樹高13mと、この種としては大木です。 さらには、単に大きいだけでなく、なんとも風変わりな姿(樹形)をしています。 それはまるで、天に向かって手足を広げて叫んでいるかのように見えます(… えっ! 妄想? 幻覚?)
 大気中には動植物に必須な窒素が十分あっても、気体のままでは取り込めません。大気中の窒素分子を植物が取り込める窒素化合物に変換することを【窒素固定】といいます。 植物の中には、窒素固定ができる細菌を根に住まわせることにより、結果として大気中の窒素を容易に取り込むものがあり、ミヤマヤシャブシもその一種です。[← 放線菌(バクテリア)と共生]





              叫び… !?


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うってつけの構造

 なにやら使い古した筆のようなものは… メジロの舌。 先端はブラシ状で途中までストロー状という、なんとも奇妙な形状。 どうやらそれが、食料とする花の蜜を吸う、あるいは舐めとるのには、うってつけの構造のようです。 同じ理由からヒヨドリの舌も、これに似た形状になっています。 ちなみに写真のメジロは、窓ガラスへの衝突により落命した個体です。現在、レクチャールームに展示されている動物の剥製や標本のうち、哺乳動物の死因の多くは交通事故。 一方、野鳥のそれはガラスへの激突です。 病気ではなく、突然の事故で 無念の最期 を遂げた動物たち。 写真のメジロも、間もなく頭骨標本として展示する予定です。





      写真より、もっともっと長く伸びる舌