頭陀袋
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桜吹雪はない?
遠山左衛門尉景元。世に金さんとして知られる名奉行。背なの桜吹雪はなんとも言えず形がいい。とこ
ろがこの桜吹雪がまったくの作り物だとしたらがっかりではないか?
まず、刺青をしていたという人としていないという人がいる。しかし、まったくの創作でいきなり刺青を入
れさせることはないだろうから、それなりに噂としてあったことなのだろう。それにこんな話もある。
景元は本来家督を継ぐべきポジションにはなかったので、結構オイタをしていた。旗本の部屋住みなん
て大体そんなものらしい。ところが急にお鉢が回ってきたので慌てて家に入った。だが後ろめたきは背中
の彫り物。公の仕事に差し支えるとして夏でも袖の長いシャツのようなものを裃の中に着込んで、肌を見
せなかったという。
じゃあ彫りもんしてたんじゃないか、と責めないで。柄が違うんです。桜じゃなく、「女の生首が文を咥え
た」模様。何でそんなものをとは思いますが、明治の頃はそういわれていた。桜吹雪はその後突如として
現れた「新参者」なんです。でも何で桜になったか?
一つは芝居や物語にしたときミバが良いから。あまり「この女の生首が目にはいらねぇか。」と啖呵切ら
れてもねぇ。もう一つは「遠山桜」の存在。旧遠山邸には樹齢400年ともいわれる桜があり、地元ではこれ
を「遠山桜」と呼んでいる。さらに鉄火肌のキャラには「ぱっと咲いてぱっと散る」あるいは「花は桜木、人
は武士」という桜にちなむ潔さが求められたのではないか。
いずれにしても、真偽のほどは定かではない。
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