BBSオープン記念歌会 (2002年3月) |
「ちゃばしら」 2002年4月号 |
第1回BBS歌会 (2002年5月) |
「ちゃばしら」 2002年5月号 |
「ちゃばしら」 2002年6月号 |
「ちゃばしら」 2002年7月号 |
「ちゃばしら」 2002年8月号 |
「ちゃばしら」 2002年9月号 |
「ちゃばしら」 2002年10月号 |
「ちゃばしら」 2002年11月号 |
「ちゃばしら」 年末年始合併号 |
「ちゃばしら」 2003年2月号 |
「ちゃばしら」 2003年4月号 |
「ちゃばしら」 2003年5月号 |
「ちゃばしら」 2003年6月号 |
「ちゃばしら」 2003年7月号 |
「ちゃばしら」 2003年8月号 |
「ちゃばしら」 2003年9月号 |
「ちゃばしら」 2003年10月 |
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にかにかにちゅうちゅうたこのういんなあ祖母はどこにもいないんだもう |
「バカバカ!」とメールがくれば「パカパカ」と即ヘンシンす 馬鹿な驢馬より |
ばかばかばかなんでだまってばかばかばかばかなわたしをばかばか 挽歌 |
バカバカと鞄に馬鹿をつめこんで環状線に置き去りにした |
いっせいに鳩飛びたてば日溜りは深き穴へと姿をかえる |
陽光をいっぱいふくんで軽くなれ指かきいれし君の黒髪 |
黄金の光をたたえ揺れているライ麦畑に指輪を捨てた |
ら ん だ |
地下街に野鳥爆弾ばらまいて詩人を救え懶惰なテロル |
折句「ちゃばしら」 |
空をとぶ陳腐な夢でいいんです ちちんぷいぷいねむらせてくれ |
かたりべ |
ざわわ ざわわ ざわわ ざわわ 永劫につづく哀史の語部は、風 |
滝をみておちるといわず流れるといいたる君は魚族の末裔 |
水となりながれながれて手のひらにそしてあなたの口へと消えん |
墓守りの最後のひとり姿消しゆっくり育つマリモの緑 |
深紅に信仰染めて深坑を掘りつつゆくを侵攻という |
人生がタイガースならそれもよし、息切れするまで突っ走ろうぜ |
放物線描かぬ矢となりどこまでも飛べコハクチョウ湖面はみるな |
倒れても倒れてもまた立ちあがるきみにTKOとう真っ赤なバラを |
駆け出せよ乙女、ケータイ投げ捨てて 春がおまえを追い抜く前に |
境内の夜店でぼくはびしょ濡れのことばをひとつポイですくった |
くる |
亜麻色の髪を包んだシニヨンになにか隠しているだろ、俺に |
しゃっこう |
金田一耕助フケを撒き散らし読む捜査資料『赤光』初版 |
ふるさとの空き地に今も立っている俺の透明ランナー、さらば |
砂浜を駈けてころがる潮風の結晶でしたあの日のふたり |
リカちゃんは遊び疲れたわけじゃないドライアイでもまばたきもしない |
店じまいセールの<赤井毛糸店>赤い毛糸ははじめからない |
こぼ |
君があす零す涙を予言して空がおもたいぼくの住む街 |
くだらないCMをみて笑えてる俺はあしたも死なないきっと |
くちぶえをあなたの真似して吹いてみる(夜空ノムコウ)キスまでのきょり |
あ ば ら |
ほの白き君の肋骨を泣きながら叩くわたしは囚われの処女 |
「ママ」「おい」のあなたの呪文でわたくしのピンクのルージュの魔法は解ける |
ふるえつつふるひぐらしのこえを積みふるさと離れゆく夜行バス |
既視感がしずかに街に降りつもり世界は影を失ってゆく |
ひとが降る道頓堀川戎橋みあげているかいカーネル小父さん |
連作15首「ハルシノジェニック・マリー(Hallucinogenic MARIE)」 (こちらでご覧ください。) |
ゴンドラのひとつひとつに星を入れまわしてあげる大観覧車 |
うわばみに飲み込まれてるぼくの絵を描いておくれ、Le Petit Prince |
目に見えないものを一緒に見てくれたあなたへ きょうの夜空もきれい |
軟弱な罪を犯してやさしさは澄みわたりゆく みんな内緒さ |
なんとまあ慎ましい雨やわらかな隙間だらけのみちのくの雨 |
夏の雲つやつやと湧き安らけし墨染めの夕みなぎるまでを |
連作12首「RED SNOW in AUGUST」 (こちらでご覧下さい) |
水性の君の言葉が消えぬよう雨の降る夜はパソコン閉じる |
どしゃぶりの雨に溶けてもわかるようあなたの声をみずいろにぬる |
アルプスの水、六甲の水たちの柩がならぶ朝のコンビニ |
打ち上がる花火の明るいところだけ見ていたような僕たちの夏 |
打ち上がる花火の暗いところだけ見ているような君の微笑み |
薄明の音のない街、秋の風吹いたらあかん吹いたらあかん |
連作5首「夏果てる」 (こちらでご覧下さい) |
ペダル踏みながら見る山しらじらと象の夢からこぼれたようだ 江戸雪 ブレーキを踏みつつくだる坂道のキーキーきりんどこまでみえる? |
抱きたる薔薇ひと束ともろともに少女炎(も)えたつ夜の車中に 久葉堯 薔薇の香に麻痺した脳には吊革と天使の涙の区別はつかず |
肌ふれて初めて少女われに沿ふこの夜星降れ二月の家に 若山牧水 朝のモカ・マタリの香りくろぐろとひかりの闇へぼくらを誘う |
ベルリンの壁の欠片で僕たちのハートを埋めた日を忘れたの? |
我がうたは耳と目を閉じ透明な壁に裂け目をさがすがごとし |
電脳の森を固守する防火壁つくる孤独なパントマイミスト |
連作12首「われ創り賜う」 (こちらでご覧下さい) |
身を捨つるほどの祖国はありや My country of ruins and your … |
あぽぉーあぽぉーあんぽんたんのあっぽぉぱあでんじゃあでりしゃす APPLE-PIE <「APPLE-PIE」…(米口語)きわめてアメリカ的な> |
ですますく誰にみせましょあうすとらろぴてくすほもえれくとSKY! |
「奥深く側頭葉へ」「みつけなきゃ」埃まみれの“Love will keep us alive.” |
はぁーい、とはもうぜったいにこたえてはくれないきっと「コメットさぁーん!」 |
ノルウェイの森の緑を彷徨って僕らは赤いつばさ失くした |
(略) |
まと |
緬羊は冬の夕陽を纏いつつ雲となる日を夢みていたり |
「眠ってるあいだに羊になっちゃうぞ。今日は洗濯するから、毛布!」 |
迷ったり追いかけられたり黙ったりするものなあに? (。羊、はえたこ) |
(誰もいない…)深き穴だと気付くときベンチの男「ぽっぽっぽ、はとぽっぽ」 |
蟀谷が、こめかみ、右の、つぶやくの、 半島濡らした雨が迫ると |
喚く人ひとり、呟く人ふたり 一時間ほど書店めぐれば |
<連作> TRAIN/TRAIN |
通過する特急列車は満員で瀕死のネコの舌ものぞくよ |
冬の朝ロング・マフラーはみ出した女性専用車両が走る |
冤罪の晴れ晴れとせぬ満員の電車は天使の翼を折りつ |
人民の人民による人民のための人身事故だ、すめらぎ |
満員というのにひとり、咳をしてもくしゃみをしても欠伸をしても |
ち きう |
〈ゅ〉が海に沈んでやがて何もかも消えてしまふのだらうか、地球 |
えうおん |
拗音の〈ょ〉が〈や〉となりし そこびえの きやうとおほはらさんぜんゐん |
すらつしゆ/すらつしゆ/すらつしゆ//れ///い////ん///// |
「むぎゃー!」「んっぎょー!」 ムンクの〈叫び〉が二人してわからなかった罰だね、きっと |
亀の鳴き声がきこえ、たるーん、とれーん、こーら、とれーん、たるーん (ポチャン!) |
オノマトペ拒みて冬の雨が落・ヌ・レ・ヌ・ヌレ・・ヌ・・・ |
日曜のたびに降る雨いもうとがひらく聖書の文字薄れゆく |
妹のひねもす描くコンパスの円えんえーん、泣き虫野郎! |
ハーマイオニーの呪文で妹はパンダに、ぼくは……「ニーハオマ?」 |
「二〇〇三年四月七日のアクム」 |
ほっといてくれたらいいのに目ん玉を突付くなよ、おい <戦争> の文字 |
“HAPPY BIRTHDAY MR.ASTROBOY! I’VE BEEN SO BUSY. SEE YOU!” ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・BOMB! |
暗闇に僕の目が慣れ微笑みのまま戦死した MICKEY MOUSE が |
雨音にかくれてしよう、テレビではブッシュがなにか喋ってるけど |
蟻ニ壊、サレテ、ユク、ミ、タイダ、カラ、サ、囁ヤ、イテ、イテ、 ズット、オ、ネ、ガ、イ |
はつ |
ぼくたちは雪だったんだ、暗闇に堕ちれば僅か震える記憶 |
嗅覚は別れの暗喩 いくら舐めてもご主人の死臭は消えず |
モノクロの夕焼け、俺の遠吠えを真っ赤に染めて世界を被え |
君のこと想えば尾っぽが揺れるのはなぜ、と下弦の月に訊いても |
漢字帳に書いては消したきみの名が夏の匂いのジャポニカ記念日 |
麦 と ろ の 日 |
きみの手帳埋め尽くしてる記念日は六月十六日みたいなものかい |
朗 読 の 日 |
六月十九日だからって言ってさあ毎年俺のラヴレター読むかあ |
退屈というオブラートに包まれた身体を五月雨が濡らしおり |
無聊なるままに詠む歌ささくれて夏の気配に汗ばんでいる |
退屈を体言止めにしてバック・スクリーンめがけかっ飛ばしたき午後 |
<連作7首>
一部加筆 WHEN HOT GETS A LITTLE COLD (THE RAIN VERSION) |
♪You're
sending me where it always rains Oh reconsider, I'm begging you, some hesitation…… |
雨上がりが好きなあなたと雨降りが好きな僕とがひとつの傘で |
だんだんと冷たくなってゆくきみの腕のほくろが消えそうで不安 |
シ ン デ ィ |
雨雲はふたりのうえを離れない Cyndi Lauper みたいに「イーッ!」としても |
♪And I wonder who let in the rain …… |
ゴ ン ド ラ |
観覧車のなかにも雨は 涙腺をころがるように僕らは巡る |
傘はもう置いていけばと屈託のない顔をしてきみは言うんだ |
雨に濡れふたりの True colors が樹々の緑のように輝く |
♪Shine
I'll stand by you Don't try and push me away …… |
and so on |
夕立が止めばふたたびキラキラと輝く世界、そして騒音 |
制服を着た詐欺師(昼)制服を着たまま眠る公園(走れ!) |
エンジンの音染み込んだ制服を(君の手紙を)待つ土曜(土曜) |
明喩暗喩にかたち崩れてわが裸身露わとなれり 落暉が痛い |
ちちははの出会いし坂を独りゆく上り下りもわからぬままに |
ロンドン ・チ ュ ー ブ |
よもつひらさかよもつひら……唱えつつ真冬倫敦地下鉄乗り継ぐ |
坂のない街へと行ったあなたには二度と会えない気がして ユ・ル・ス |
逆立ちのポエジー(10首) |
君は、僕がいないと逆立ちができないよって言うけれど 僕だって地面がなきゃできないんだから……。ヨイショっと。 |
だんるてえ怯に雨驟 生芝の然天るささクチクチにらひのて ミルハ崎神 |
逆立ちしておまへがおれを眺めてた たつた一度きりのあの夏のこと 河野裕子 |
羅魔れさ刺き突きとる奉に穹蒼てしと贄を身のみせつう ミルハ崎神 |
逆立ちは効果的なり直立し歩きつづけた内臓のため 源陽子 |
む軋が界世昼真月八り鳴は床の館育体とッュキュキュキ ミルハ崎神 |
逆立ちをすれば逆さまの水平線青と青との間で戸惑ふ 足立尚彦 |
イゲるれさ魘に夢悪くわ結を船風に首足の子の立倒 ミルハ崎神 |
水の中に倒立の世界この面の光しづかなるゆゑに愛さむ 井辻朱美 |
け焼小け焼夕に地るさ刺き突ーワタ都京ーワタ京東の立倒 ミルハ崎神 |
倒立の少年の腕に支へられ村つぎつぎと夕焼けの海 小林幸子 |
るいてれさ否拒ままのち立逆に符問疑の斗北う掬をみし哀 ミルハ崎神 |
敗者でもない勝者でもない逆立ちの象疑問符を倒立させて 佐佐木幸綱 |
燥焦のさ逆のプッコたれ濡にれわむ飲を水道水りとひ夜真 ミルハ崎神 |
薄暗い部屋で私を出迎える洗濯ばさみのAの倒立 松村正直 |
『トーボ・ウロスのき行国中』るす流漂ままたし覆転を屋部がわ ミルハ崎神 |
O・ヘンリ短編集が本箱のいちばん右で逆立ちをせり 田中章義 |
た来たまが朝る降シンブンシいなてい書かし嘘もでん読らかちっど ミルハ崎神 |
逆立ちの足首支えながらみる春のセスナの撒くソノシート 穂村弘 |
頭千がンリキため埋を首にナンバサかうろだるえいとち立逆 ミルハ崎神 |
逆立ちといえるだろうかサバンナに首を埋めたキリンが千頭 神崎ハルミ |
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ |
M幸運AをSもたCらすOものT人CHARA格CTER |
(13首) |
全国約一〇二〇店のうち、カーネルおじさんがいるのは、 九五〇店舗ほどらしい。[http://www.kfc.co.jp/] |
日本の何処かでカーネルおじさんに化けたサダムが右手を挙げる |
六月六日、「武力攻撃事態法」「改正自衛隊法」「改正安全保障会議設置法」 からなる「有事関連三法案」が参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。 |
食べ尽くそう王様コアラをさがしだし片っ端から
<コアラのマーチ> [http://www.lotte.co.jp/koala/book/list.html] |
海上保安庁のイメージキャラクターは、タテゴトアザラシの子供なんだって。 [http://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/info/umiaru_u-min_profile.html] |
うみまるとうーみん波は穏やかかい? 僕はヨソゴトアザラシでして |
ピンキーモンキーにお願いしても無駄だとはわかっているけれども。 [http://pinky.frente.co.jp/index.html] |
幸運を幸運を幸運を幸運を(ピンキーちょうだいピンキーちょうだあい) |
BILLIKEN/THE
GOD OF THINGS AS THEY OUGHT TO BE [http://www.tsutenkaku.co.jp/bili/about.htm] つ あ う ら |
「腕攣るよ。怒ってるんでしょ」 絶望のままにくすぐるてかてか足裏 |
六月一〇日、近畿地方は梅雨入りした。 平年より四日遅く、昨年より一日早い。雨は好きだ。 |
ペコちゃんは永遠に六歳、雨音にひとり怯える未生の姉よ |
イヤホンをしてても雨が満ちてくる僕は無口なNOVAうさぎちゃん |
私達のトラッキーを返して! [http://momohiyo.s31.xrea.com/images/comebackto-lucky.swf] |
<S> トラッキーの <TO> <R> 芸術的な <L> <E> バック転と <U> <G> パフォーマンスを <C> <I> 優勝を <K> <T> ねっ、ねっ、 <Y> |
幸運をつかむには、おかめ納豆のCMは絶対に 西日本編のなるみちゃんでいかねばならぬ。 [http://www.takanofoods.co.jp/] |
ねばねばぬねばねばならぬねばねばぬ(おか〜めかめかめうまなっとお〜) |
阪神タイガースが日本一になった一九八五年、カーネルおじさんは バースに似ているというだけで戎橋から道頓堀川に投げ込まれた。 |
ひょっとしてひょっとするかもカーネルに変装してるフセイン逃げろ! |
(「ウルトラマンタロウ」の主題歌風に……) くいだおれの父はいない、くいだおれの母もいない、 そして太郎がここにいる。[http://www.cui-daore.co.jp/] |
くいだおれ太郎の叩く太鼓の音、次郎を眠らせ街に降り積む |
道頓堀のグリコのネオン看板は五代目。 [http://www.ezaki-glico.com/neon/] |
戎橋グリコの青年、磔刑のイエスとなりて闇を照らせり |
せやねんちゃん[http://mbs.jp/seyanen/]かわいいなって言ったら、 ぷいぷいさん[http://mbs.jp/puipui/index2.html]のほうが好きと妹は言った。 |
せやねんねんねんねんころりんねむりましょちちんぷいぷい三度となえて |
沖縄にもイジメがあって当然で陽は肌を刺す猛スピードで |
あなうら |
猛スピードでブルー・シートを駆け抜ける少年少女の足裏ちらり |
朝顔がフルスピードで開いては閉じてわたしの夏は終わるの |
16MBのメモリースティックに夜景が、海に沈んだ国の |
ねむそうなフクロウの目でふるさとを語るあなたが愛しくてもう |
ハングルは斯くもやさしくふるさとと呼ぶべき土地をもたない我に |
Dive For The Frozen World (17首) |
けが |
薔薇ジャムで汚す食パン頬張れば鳥獣の血で染まる雪原 |
砂糖でも入れねば飲めぬ即席のコーヒーみたいな世界じゃないか |
そういえば <アンネのバラの教会> の薔薇を今年は見ぬ新聞で |
かちかちのバナナで釘を打つ日曜大工、賛美歌くちずさみつつ |
くろがねの柔い世界とおもうときはじめて触れた父の頬とか |
昼も夜も光とたたかうローソンのポストの闇がぼくの心だ |
デ・キリコのバナナを盗み凍らせた罰だね僕に影がないのは |
沈んでもいいと思った 街はいま塩素の匂いに覆われて闇 |
コンビニで売ってる葉書は便利だな月に翳せば遺書にもなるし |
薔薇の花束を抱えて飛び込めば液体窒素プールに波紋 |
けいかん こめかみ |
荊冠の食い込む眉間、蟀谷に紅き薔薇咲く夜のできごと |
蒼白き月はプールに揺れながら音という音吸い込んでゆく |
おい☆☆☆、エンジンオイル塗ってやるだからもたもたするな飛び込め |
死後、星の名となる君と薔薇の名となる僕のため世界よ滅べ |
くわ |
サルどももバナナ咥えて飛び込めや進化のための永遠の眠りに |
目覚めれば(復活?)ふたたびフローズン・フライデー・ナイト 悪夢だきっと |
フローズン・ローズ踏みしめ行く道も茨の道といえるだろうか |
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ |
蛍 〜 きみへ (4首) |
二日間なにも食べざる君の黒髪から蛍の緑が匂う |
らん |
源氏蛍のひねもす光る卵容れて絶えることなき清流かきみ |
アースシャイン・ムーン |
地球照月のようなコンタクトレンズに映るぼくは何色? |
信号に蛍の群れて赤も黄も青となれなれ 国道走る |
秋かぜに長々し毛を靡かせて歩む復元マンモス(機械!) |
マジックでめがね描かれロボットはクラクラしながら世界を見てる |
機械的に言葉吐き出しぶつけあう僕とあなたはいつも冬服 |
似非わらび餅をふたりで頬張ってうまいうまいと笑っていたい |
二十年後、五歳のぼくは君のこと「ママ、ママ、ママ」と呼び続けてる |
<甲子園ドーム> 建設反対のシュプレヒコールを月の裏から |
八月の指切り (18首) |
8月1日昼、「笑っていいとも」を中華屋で見ながら。 ハ セ キ ョ ウ |
長谷川京子の完璧な美に視入りつつ今年最初の冷麺啜る |
8月1日夜、平和記念公園「原爆の子の像」の折り鶴約14万羽 が関西学院大学生の放火によって焼失したとニュースで知る。 |
満月となることもなく飛翔することもクラゲになることもなく |
8月5日深夜、たわむれに我も。 |
鶴一羽折る紙の音のさみしくて気が付けばもう八月六日 |
貝殻に耳をあてれば <HIROSHIMA> の熱風が 頬にひとつぶの雨 |
ヴィヨン忌は八月十日確信を冷えすぎている茶房店主へ |
くしゃみ |
薄汚れた毛を刈り取られ嚏する羊、三回まわって迷迷 |
8月15日、偏頭痛。 |
錠剤を細かく砕き舌先に感じる闇を白くしている |
< 安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから > |
指切りの小指をタスマニアに埋め時空自在にデヴィルは嗤う |
KOLKATAの蝿になるまで聴く般若心経弐百六拾弐文字 |
アスファルト |
地瀝青に無数の足跡が浮かぶ残暑、戦後が揺らめいている |
敬虔なクリスチャンとして咲いている向日葵畑の迷路に惑う |
8月22日、近くの河原で二千発の花火大会。 |
八時ちょうどの花火の音に梓巫女となったあなたは語り始める |
8月25日、万景峰号が新潟西港に入港。 マ ン ダ ラ ゲ |
ギョンボンかボンギョンなのか朝鮮朝顔の薄紫に麻痺しています |
8月26日、阪神が優勝した1985年に始まった 「ニュースステーション」の久米宏キャスターが降板会見。 |
元号で振り返ればほんとうに遠いよ 昭和七十八年 |
8月27日、6万年ぶりとなる火星の超大接近。 次にこれほどまで近付くのは2287年とか。 |
こうやって核ミサイルが飛来する夜空をいつか見ているのだろう |
8月29日、北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議が終了。 韓国・大邱では、美女軍団が応援を再開している。 |
三百人の美女と指切りする妄想に将軍様の小指も紛れ |
ハングルの喋れぬわれにやわらかき韓女のこえで海風は吹く |
8月31日、桂銀淑「昭和最後の秋のこと」が無性に聴きたくなる。 |
彼岸花は雨に打たれて基督のごとく震える愛 「生きましょうか」 |
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ |
かなしばり (5首) |
ぞうのみみくじゃくのはおとさるのしりゆうやけてゆくはるのいんでぃあ |
ああめぇえい じぃいんぐれぇい はぅ すいじゃくの さるすべり さる みたいな しょうねん |
やくしにょらいにっこうがっこうぼさつにてをあわす。 |
げっこうのおんころころとなるまひるいえよせんだりまとうぎそわか |
か ぎ か っ こ 『 』『 』『 』『 』『 』 きみ の ことば が ほしい か ら か ぎ か っ こ 『 』『 』『 』『 』『 』 ストロー の ふくろ ち ぎ っ て |
かなかなのめすのはおとはやわらかくそっとにおいをかいでみました |
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ムーヴィング・ウォーク |
動く歩道は橋か川なのか足早にゆく人の背背背背 |
あまがけ |
鉄橋をアドリア海を朝焼けを天翔ていざ水上都市へ |
た め 息 橋 |
見上げつつ流されるのみ運河より Ponte dei Sospiriの二つの窓を |
とりあえず魔法の粉のつもりですきらきらあしたのもと味の素 |
じゅんつゆ |
〈バターボール〉な日々。味覚糖〈純露〉の光と闇にかつて焦がれて |
ちゅるちゅるとこどもはみがき(いちご味)吸ってみたくて乳歯な秋だ |
<連作13首> ホシイヨコトバ〜今様鳥獣戯画〜 |
九月某日。爽やかな朝、テレビ番組で。 |
性教育ビデオに見入る牡パンダ ♪燃焼系燃焼系〜ア〜ミノ式〜 |
森 の 人 公 園 の 人 |
オランウータンみたいな瞳で空をみる家なき人はオランタマン |
505iではなくて。 |
「SOS愛を下さい」ジャイアントパンダが真昼ドコモショップで |
●
●(←MICKYの耳) を囓った君だけが 悪者/英雄じゃない 僕も囓るさ ●(←MICKYの鼻) |
ディズニーランドをネズミーランドと言っていたら彼女に嫌われた。 |
三津木鼠と巳仁井ねずみを獣園に幽閉の後ぼくのパレード |
ドロップの缶いっぱいに詰め込んだゾウの涙がカラコロと鳴る |
「あっ、キリンのくび!」と思ったら ピュルルルル〜〜〜〜〜〜ンとジェット風船 |
雨だ。ポチ、帰ろうか、すぐ止むのかなあ。僕、精神を病みました、僕。 |
考えないなにも考えない九官鳥(ホストでもいい!) ホシイヨコトバ |
コンビニで買った切手を野良犬のお尻に貼って闇に放つか |
インパラの光る瞳が星々となるありふれたアフリカの夜 |
ばあちゃんを探してオランウータンの棲む森深くゆく夢をみた |
目覚めればうるさい蝿を追い払う僕のしっぽが僕よりも僕 |