『原人の海図』へ |
「クリスマス」 (2001年11月) |
「地名短歌」 (2001年12月) |
「水」 (2002年 1月) |
「包む」 (2002年 1月) |
「花」 (2002年 2月) |
「待つ」 (2002年 3月) |
「気持ちいいもの」 (2002年 3月) |
「光」 (2002年 4月) |
「一緒」 (2002年 4月) |
1周年企画 「連想・海図」 (2002年 5月) |
「連作・ゆり」 (2002年5月) |
「探す」 (2002年6月) |
「夏」 (2002年7月) |
「働く」 (2002年7月) |
「寄物沈思」 (2002年8月) |
「虫」 (2002年9月) |
「火」 (2002年10月) |
「冬(ふ〜ゆ)」 (2002年11月) |
「鍋」 (2002年11月) |
「わが愛」 (2002年12月) |
「存在」 (2003年1月) |
「連想・原人」 (2003年5月) |
「連作・薔薇」 (2003年5月) |
「五感」 (2003年6月) |
「かなしばり」 (2003年7月) |
「プレアデス」 (2003年8月) |
「鳥獣戯画」 (2003年9月) |
「彫る」 (2003年9月) |
『原人の海図』歌会詠草 |
ケ ー タ イ |
極月を駆ける終電 携帯電話に首を縊りしサンタも揺れて |
「ねえJesus、あたしのイチゴあげようか」(13度目の聖夜の誘惑) |
フローズン・エッグ |
100年後あなたに届くクリスマスプレゼントです 凍結卵子 |
雨は夜更けすぎに雪へとかわらずにずぶ濡れのまま抱き合うふたり |
フィクション |
架 空の町Zihuatanejoの海あおくすべての者の希望をすすぐ |
らん |
弟よ卵より孵れフィゲラスの わが墓の名を削りて待たむ |
ポ プリ |
ぷりんぷりんお尻ゆらして匂壷の香丘にふりまく美馬牛の精 |
尾道にまどろむ猫のひげまでもさびしんぼうに染める夕暮れ |
バラナシに煙の立たぬことはなしガンジス河のながれもやまず |
いたちぼり じゅうそう かたの どしょうまち と が の はなてん き れ うりわり |
立売堀、十三、交野、道修町、兎我野、放出、せや喜連瓜破 |
ゆき げ も |
ヒマラヤの雪消の水がガンガーを流るるを思いくちづけを受く |
うつわ |
魂を太古の海に捨ててきた水の器に空は遠くて |
かんじょう |
バプテスマ、灌頂 、沐浴 其の上に火とたたかひし水の記憶よ |
たま |
わが魂を聖なる水に浸すごとコンビニで買いしエビアンを飲む |
ガンジスの聖なる水をふふむごと真黒きコーラ飲みほす少年 |
あ |
オルフェウスのリラをつまびく指先ゆ水滴は生る ゆめゆめみるな |
てのひらですくった水で傷ついたDNAをすすいでおくれ |
たぎ |
みず滾り十指の先に渦巻けり わたしは君のゆいいつの海 |
包んでも包みきれないものがあり猫のまぶたも静かにひらく |
イヤホーンはずせば雨がわたくしを包んでくれていたことを知る |
繃帯の白さを秘めてわが家に溜まりに溜まりゆく包装紙 |
なずき |
頭蓋にくるまれている脳には雪がしずかに零りつもりたり |
なずき |
しらゆきはわが脳よりあふれでて街の喧騒つつみゆくらし |
ライナスの<安心毛布>にくるまって五万年でもねむっていれば? |
た お |
白百合よ、すまないきみを手折らねば消えていたんだここから僕は |
花園に眼球ふたつ落としたり 背につもりゆく花の腐臭よ |
チューリップぐみの園児をバスはのせ虹のむこうのお花畑へ |
ヒステリア・シベリアナとう名の花を探しもとめて街を彷徨う |
そ け い ぶ |
あまがみの耳たぶ、吐息、鼠蹊部の歯形、花の香咬みつきし夜 |
き み |
貴方がみし花よりあかくあかく咲く 別れをそっと朝露におく |
「はよ、行くで」そういいながら待っていてくれたあなたのような夕陽が…… |
ケータイを持たぬ後藤を待ちながらぼうっとゴッドのことなどおもう |
たちあがれマイトレーヤよもう待てぬ 歪んだ心は時空を歪む |
ゆっくりと死体を乗せたリキシャ漕ぎ「死を待つ家」から「聖なる河」へ |
死ののちもマニカルニカー・ガートには待つ時間とうものはありけり |
ゴスペルに手を打ち鳴らし足を踏み肩を揺らせば春、春、春 |
マシュマロのようにあなたは微笑めり口にふふんでみてもいいかい |
そばかす |
「雀斑をかぞえているの?」頬染める君の瞳は十九のままさ |
銀色に光るキタイよ想像をめぐらせて飛べ ジョン・レノン空港 |
て |
問いのない者去れ、答えもつ者も去れほうほうほう蛍もっと光れ |
キララキラキラキラ光るガラス片キララキラキラきらわれちゃった |
デジャ・ヴュとおててつないで抜小路 中古カメラのレンズの記憶 |
たぶんまだきっとあるあの岬まで一緒に旅をつづけましょうよ |
もう海に沈んで消えた岬の名、それが私の名前の由来 |
シンプルな等式 (ジョージ・W・ブッシュ)−(ビン・ラディン)=0 |
とりあえずつらいことやら悲しみはジェット風船で飛ばしに行こう |
色褪せた父の海図を棺より取りだししばし潮の香を嗅ぐ |
コ ン パ ス |
羅針盤も海図ももたず水平線眺む エデンの園なる岬 |
祝「原人の海図」1周年! |
海にさえ辿り着けない俺の歌 <海図>という名のサイトにあふる |
海図にはのってはいない島それが僕らがめざす島と信じる |
海図ならボトルにいれて捨てました ここから先はきみが頼りさ |
百万本のボトルは流るきみの住む町にも海図は流れ着くはず |
ボトルにはあなたの詠んだ歌を入れふたたび海に流しておくれ |
1000001本目のボトルは俺自身あなたの顔が遠くで揺れる |
<リリー・マルレーン> |
百合の香のゆりゆり揺れて夕間暮れ寄り添うふたりのキスの揺曳 |
ぎんいろの百合の紋章揺れているそのむちゃくちゃな愛しかた すき |
(北限に咲くササユリを採って来て)きみの瞳がいうから行くよ |
アスファルト打つ雨を避け地下街に入れば誰かの唄う「リリー・マルレーン」 |
お く つ き |
鬼百合の狂い咲く道、奥津城へあなたに会いにゆく夢をみた |
ママン、ママン、まぼろしのママン、ママン、ピジョン・ブラッドがめじるしの手 |
にわたずみ行方知れずのママン、ママン、ごめんなさいの言いっこはなし |
もうぼくをさがさないでね風船をくれたピエロについていくから |
電柱に貼られたビラのたどたどしい手描きの文字の ぼくをさがして |
原チャリに二人乗りした少年はガラスでできた瞳光らす |
牧師さまのお鼻の汗が光っててきれいな日曜 明日から十歳 |
あの夏が終わったなんて <MERRY X'MAS IN SUMMER> くりかえすLAWSON |
綿菓子になんども舌を突き刺したわたしが溶ける感触のなか |
バ ン ド コ ー ク ペ プ シ |
夕涼みしつつ外灘で飲んだのは可口可楽だったか百事可楽だったか |
いろいろなシロップもってあの山のむこうの雲を食べにいこうよ |
<ジェイコブの梯子>修理人がリストラにあって育てる<ジャックの豆の木> |
瘡蓋を小指の爪で剥ぐように空落とさんと花火師の笑み |
炎天下、歩くわたしに影がない……、 シャ……ドー………ワーー…………カーーー……………ワタシハ、イナイ。 |
ハモニカをいくら吹いてもじいちゃんのように哀しい音は出せない |
「メイストーム、メイストーム」と風見鶏おまえも惚けて八月の中 |
し |
おんぼろでホコリまみれの扇風機きみこそ全てを領った詩人だ |
ふるふゆうやけのふるふるあかとんぼ地上はこうも汚れちまった |
やんま |
月光の零りて蜻蜒と化りてとぶ闇をこがれてさまよう男 |
リ ヴ ォ ル ヴ ァ ー |
弾倉に銀ヤンマ鬼ヤンマ込め、撃て回転式連発拳銃! 半島に向け |
むな ど |
ひたぶるにセント・エルモの青い火は胸処を照らし嵐を待てり |
こうこん |
ポケットの小銭、もゆらと鳴る黄昏われは鬼火となりているかも |
火を喰らうために降る雪その白を穢すなかれやわだつみの銀 |
風葬の裸体の儘でするキスはミトコンドリアの味、と聞こゆ |
ふりむけば岬も海も空も陽もきみもすべてはトロンプ・ルイユ |
降る雪をもろともせずにめざしてた君のこころのなかの針峰(エギーユ) |
とこ ぼ |
フーコーの振子ゆれつつ孵卵器のなかで地球はあわれ常吠ゆ |
曇るからメガネはずした目に豆腐ふうふうしてる君のくちびる |
くたくたに煮えた白菜、啄木は好きだったかな 俺は好きだよ |
ふふふふと紅葉麩うかぶ鍋囲む 四人そろえばはははのほほほ |
溶き卵落下(フタ!フタ!)カウントダウン蓋をあけ、たらキノコ雲 |
<I>のなきDNAにきみの<I>を 「HEY SIS!」 はじめよう創世記(GENE/SIS)を |
ジ ー ン |
わがクローン息子、娘よ、孫どもよ <I>満ちゆがむ遺伝子の螺旋 |
連作三首「虚空の雲雀」 |
処女空をさがして高く舞いあがる雲雀が一羽われの虚空に |
雲雀雲雀孤高の雲雀まだ啼くな我が曇天を突き破れ! 雲雀 |
軍用機パイロットの涙 <上昇は下降>とのぼる俺は雲雀だ |
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ う た |
プリンター身を震わせり遣る瀬なき夜明けの反吐か俺の短歌とは |
風花は墓碑ともなれず消えてゆく誰ぞ笑わん我がディレッタンティズム |
氷床に封印された原人の鬱を抱えて地球は眠る |
マンモスをはじめて仕留め還る日の夕空は血に染まるがごとし |
ゴ ン ド ラ |
原人を閉じ込めたまま故障した観覧車震える空爆の夜 |
ねたりうむ渋谷ぷらぷら空見上げカールツァイスの瞳できみは |
*加筆・加作のうえ、『ちゃばしら』8月号自由詠に連作として出詠。 |
こちらをご覧下さい(9月UP予定)。 |
*出詠歌3首のうち2首は加筆のうえ、 『ちゃばしら』8月号自由詠の連作中の1首として出詠。 こちらをご覧下さい(9月UP予定)。 |
六月の雨が沁みたる縁無しの眼鏡をはずす 蒼穹何処 |
*出詠歌6首のうち3首は加筆のうえ、 『ちゃばしら』9月号自由詠に出詠。 こちらをご覧下さい(10月UP予定)。 |
ネエオネガイカンジヲウメテ ガ スルマエニ。デナイト 。 |
じゅもんではないじゅもんではないじゅもんではない。 |
おもに はるもに おんじぇかじないっちませよ ちょぬんたんしぬるさらんへよ |
ピーナッツバター・アンド・ジェリー・イズ・ア・テイスト・オブ・レインボウ・トゥー・ツヨシ
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/mlb/kojima/mb-kojima20.html |
*出詠歌3首を『ちゃばしら』9月号自由詠の連作中の1首として出詠。 こちらをご覧下さい(10月UP予定)。 |
*出詠歌11首を一部加筆のうえ、 『ちゃばしら』10月号自由詠の連作中の1首として出詠予定。 こちらをご覧下さい(11月UP予定)。 |