第25章  鵜葺草葺不合の命うかやふきあえずのみこと 誕生
 穂々手見の命豊玉毘売の子 鵜葺草葺不合の命 誕生
 山幸彦は 兄の大切な釣り針を探しに海の国へ行き 大綿津見の神の協力で見つかりました。
 そして
 一尋鰐ひとひろわに の背中に乗って地上の国へ戻り 兄の大切な釣り針を返すことができました。
 一件落着して
ほっとするところなのですが しかし
 海の国へ残してきた
 豊玉毘売とよたまひめ 穂々手見の命の子を 宿していたのでした。
 豊玉毘売は
 出産の準備のため海の実家を出て穂々手見の住む地上の国へ引っ越ししてきました。
 豊玉毘売 穂々手見の命 言った。
 「私のお腹には あなたさまの子が宿っております。 私は地上の国で出産するため海の宮を出て参りました。
  天つ神の子は
 天つ神の治める国で 産もうと思います。 出産の準備を急いでください。
  波がしづかに寄せる砂浜に 鵜う の羽根を使用した萱葺かやぶき の産屋うぶや を 急いで建てて下さい」と。
 ところが 産屋がまだ完成しないうちに 豊玉毘売は産気づいてしまった。
 「私は 私の国の習慣に従って出産します。 男の貴方は 子が生まれるまで 中をご覧になってはいけません言いました。
  
 よせばいいのに 
 やめろと言われても
ドンドン 見るなと言われれば よけい見たくなるのが人情です。
 産屋
うぶや の中から 出産の苦しみの呻き声が響き渡り 外にも聞こえてきます。
 だが
 穂々手見の命は 妻との約束を忘れ 心配のあまり 産屋の中を覗いてしまった。
   
                     ダメでしょ 心配する男の気持ちも 分からない訳ではないが …… ボサツマン
 そこで見たものは
 大きな八尋やひろ ワニうめ き声をあげ油汗を掻か いてのたうち回る姿る姿。
 ビックリ仰天
度胆を抜かれた穂々手見の命 その場から 一目散に逃げ出してしまった。
                                     
ほんと 男って度胸ないよね!…… ボサツマン
 ワニの姿で出産中の自分を覗き見された豊玉毘売
 怒りが頂点に達した。
 私は 海の国を離れ 愛する夫の国で子を産み 地上の国の生活を望んで やって来ましたが お約束を破り
  子を産む本当の自分の姿を知られたならば
 もう私は地上には住めません。海の実家へ帰ります
 出産直後の御子
みこ  地上の国へ置いたまま 海の実家に泣き泣き帰ってしまいました。
 
  ボサツマンの意見
 
けしからん 産んだ子を置き去りにするとは 人の道に外れている。 なに人じゃないワニね あらま!そうだった。
  だが 豊玉毘売の気持ちも理解できる。産後のイラダチもあるだろうし。若気の至りの部分もあるでしょう 残念なことです。
  
オイラが判定するならば 妻の気持ちを裏切った夫穂々手見の命 悪い。
   しかし
 まあ 男は どうして見るなというのを 我慢できないんだ。 困ったもんだ 男という生き物は  オイラも男か。
  
ボサツマンが 男を代表して謝るとしよう。 豊玉毘売ごめんなさい 穂々手見の命を許してあげて下さい

 豊玉毘売は
 帰る途中の海坂うなさか 海の国と地上の国との境ふさ いでしまった。
 それ以来 海の国と地上の国との国交は
 スッカリ断ち切れたままになってしまった。
 以来
 ワニは地上の人間を恨み噛み付くようになったのです。これが 人食いサメの発祥です。
  生まれた子は

  
天津日高日子波限建鵜葺草葺不合の命 あまつひ たかひこ なぎさ たけ うかや ふきあえず のみこと と命名された。
 意味天高く輝く日を仰ぐような 尊い子 波打ち際の鵜の羽根の屋根が葺き終わらないうちに生まれ
     母とはすぐ別れの運命だったが
可愛い勇敢な子。
  
この子みこと 神武天皇の父親 鵜戸神宮うどじんぐう 祭神(宮崎日南市)として祀られている。
 海坂を塞いでもう二度と地上の国へは戻らない決意で 海の実家へ戻った豊玉毘売でしたが
 そこは
やはりでありでありであります。
 海の実家に帰った彼女は
 を恋しく思う気持ちが つのるばかりです。
 
母親として残してきた愛しい子のことが一番心配なのはあたりまえです。
 
なんで 私はあの時 夫を許せなかったのだろう もう少し我慢していれば 良かったのに
  産んだ子を置いてきた自分は なんてバカなのだろう 母親失格だ
と後悔しわが身を責める日々でした。
             うんうん 人として良くわかるよ 豊玉毘売の寂しい気持ちがわかるよ …… ボサツマン
 その後 悩み考えた
豊玉毘売とよたまひめ  玉依毘売たまよりひめ 
 鵜葺草葺不合の命 うかや ふきあえず のみこと の養育係り
(養母)として 地上の国へ送り仕えさせました。
   
    ボサツマン 男はワリト約束を守らない
  見てはいけないという妻との約束を違い 見てしまった神が 前にもおりました。  伊邪那岐の神の場合
  医療文明が未発達の時代の 出産は 母系社会の範囲の中で 厳かに行われてきました。
  経験豊富な年長者の女性が 出産育児を担当する風習の時代 男は 女の分野に立ち入ることができませんでした。
  女は それにより 女性の神秘性を保ち 魅力を失うこと無く 男性から愛され続けることが 出来たのです。
 
男は その女性の すべてを知らない時が 最も 好感度温度が上昇している時かも?   すいません個人的意見です
 
恋愛は 頭で妄想しているときが 最も 楽しい時 女性の魅力の小出しに 男は 惚れてのめり込む……   第26章へ  神武天皇誕生