如来寿量品 (19)
 経文:父見子等 苦悩如是 依諸経方 求好薬草 色香美味擣簁和合 與子令服』   ★19ここの経文
 
「父 子の苦悩するを かく の如くなるを見て 諸々の経方きょうぼう に依って 良き薬艸やくそう
  色
美味など ことごと く具足ぐそく せるを求めて 擣簁和合とうしわごう して 子に与えて服せしむ。
   然るにして 是の言葉を作さく 此の大良薬だいろうやく  美味 悉く具足ぐそく せる。
   汝等
なんだち 服すべし。 速く 苦悩を除いて また 衆の患うれい なけんと」。

 世尊

 医者の父 もがき苦しむ子供たちを見て 早く良き薬を処方して 助けるための処置をします。
  
薬草の中でも
最も効果的を願い 香りなど 最も良いものを探し求めました。
  さらに
より純粋なものを調合して くすり として純度が最高に高いものを 子供たちに用意しました。
  そして
父は子供たちに言いました。
  これは
もたいへん良い薬草から作った優れた薬だから さあ この薬を飲みなさい。
  この薬を飲むと
お前たちの苦しみは直ぐ治るのだよ。
  また
それだけではないよ これから先もず~と 病気なんて全くしない優れた薬なのだよ。
  父は いろいろな薬草(色香りの良いもの)を粉にして 心こめて調合しました。
  同じように 仏は 人間の心の病を治すため
迷いを除く薬や 真実の智慧を授ける薬や
  人の役に立つ心になる薬など
 さまざまな あらゆる治療薬を 経方きょうぼう 薬を処方するしました。
  つまり 衆生の理解のため薬を飲み込みやすく 擣簁和合
とうしわごう 薬草を粉にして調合したのです」。
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経文:『其諸子中 不失心者 見此良薬 色香倶好 即便服之 病盡除愈 餘失心者』   ★20ここの経文
  「其の諸々の子のなかの 心を失なわざる者は 此の良薬ろうやく とも に好きを見て
   即
たちまち 之を服するに やまい ことごと  のぞ けり いや しけぬ。
   心を失える者は
 帰宅した父を見て歓喜かんぎ  問訊もんじん  病を治すことを 求索もと むと雖いえど
   然
しか  其の薬を与うるに しか も肯あえ て服せず。  所何ゆえ は何いか ん。
   毒気深く入って本心を失えるが故に
 此の好き色ある薬を からずと謂おも えり」。
 世尊
 「子供たちの中で
本心を失っていない子たちは その良薬の色香りが良いのを見て
  この薬を飲むとすぐ治るだろうと思い
すぐに薬を飲みました。 すると 病はすっかり完治かんち しました。
  けれども
 毒が身体に深く回ってしまい本心を失った子たちは 帰ってきた父を見て喜んでいるが
  又
 父に早く病気を治して貰いたい気持ちなのだが どういうわけか 薬を飲もうとはしません。
  この子たちは
身体に毒気が深り本心を失い心が逆転しているので 薬を飲む気持ちが起きないのです。
  
本心を失ったせいで 色も香りも良い薬なのに 香りが嫌いと感じてしまうから 飲まないのです。
 仏が調合した良薬を飲んだ子供たちとは 仏の教えを素直に信受しんじゅ した衆生たちのことです。
  その結果
 身体の毒が消え病から解放されました。 つまり 苦から解放されて救われたのです。
  毒が身体に回り本心を失っている子供たちとは 仏を渇仰かつごう する心を忘れている衆生たちのことです。
  だが
 こういう衆生でも (父)を見ると歓喜かんぎ の心が起きるのです。
  これは つまり
衆生は 皆 心の魂の真の安らぎ安心立命となる仏の教えを求めている証拠なのです。
  帰ってきた父を見て歓喜して喜ぶ子供たちですが それでも 父が調合した薬を飲まないのは
  迷いの毒で
精神を深く蝕むしば まれているからなのです。
  そんな衆生たちだが
の顔や 慈悲の心 頭ではいちおう理解しているのです。
  しかし
気持ちが素直でないため 薬をすぐ飲む教えを素直に受け入れることにはならないのです。
  衆生は
素直な心を常に保っていることが 大事なのです」
                   う~ん そうか オイラも素直にならなきゃ ………ボサツマン      つづく