環境&社会問題
「田中正造が現代に生きていたら何を考え、何を問題提起しただろうか?」…という視点に立って、現在、惹き起こされている様々な問題を取り上げてみました。皆さんも一緒に考えてくださいね!

日 本 の 公 害 年 表

時代年 代主な公害事件と参考事項

 

明治元年
(1868)
・明治維新(江戸から明治へ)
日本の公害問題は、明治以降の急激な近代産業の発展に伴い発生し拡大してきました。
 明治中期以降になると製糸紡績業を中核として近代産業の基礎を築き、更に製鉄や造船等の重工業の拡大を進め、膨大なエネルギーを消費する時代へと突入しました。
 当時の主要なエネルギー源は、石炭であり、この当時より大阪・九州八幡等の工業地帯において石炭の燃焼による煤煙の発生によって大気汚染の現象がみられました。
明治11年
(1878)
・足尾銅山鉱毒事件(栃木)
足尾銅山の鉱毒たれながしによる渡良瀬川流域の被害。現在では「日本の公害運動の原点」といわれています。そして、このとき活躍した人物に田中正造がいます。
明治16年
(1883)
・浅野セメント降灰事件(東京)
東京深川の浅野セメントの工場の煙突から飛散する大量のセメント粉末のため付近住民が甚大な被害を受けた。
明治25年
(1893)
・別子銅山煙害事件(愛媛)
別子銅山からの煤煙による煙害が発生

大正11年
(1922)
・神通川イタイイタイ病(富山) 4大公害病の一つ
神通川流域で農作物の被害、カドミウムによるイタイイタイ病発生。昭和43年カドミウムが原因と認定された。

 

昭和12年
(1937)
・亜鉛精錬所煙害(群馬、安中)
工場からカドミウムが田圃や畑に流出し、多くの人たちに病気を引き起こし大きな問題となった。
昭和20年
(1945)
・太平洋戦争終結
1941年12月8日(日本時間)~1945年9月2日(または8月15日)
昭和29年
(1954)
・ビキニ環礁水爆実験(米国)
日本の漁船「第五福竜丸が」放射能被爆。船員の久保山さんが半年後に死亡。
昭和30年
(1955)
・森永砒素ミルク事件
猛毒のヒ素が混入したミルクにより死者130人、患者12,131人を出す。
昭和31年
(1956)
・水俣病の発生(熊本) 4大公害病の一つ
九州水俣湾沿岸で発生したことにより「水俣病」の呼称となり「公害病の原点となった。まず猫などの小動物に異常な動作がみられるようになり、やがてそこに住む人間にも現れてきた。後に水銀に汚染された魚介類を食したことが原因と判明した。
昭和32年
(1957)
・江戸川漁業被害(東京)
江戸川で製糸工場の汚水たれながしによる漁業被害が発生した。
昭和33年
(1958)
・工場排水等の規正に関する法律(工場排水規制法)が制定
昭和36年
(1961)
・四日市喘息被害(三重) 4大公害病の一つ
四日市の石油コンビナートの稼働による近接地域の呼吸器疾患(咽頭・喉頭の上部気道炎症、気管支炎、気管支喘息、肺気腫)患者の多数発生。これらを総称して「四日市喘息」と呼ばれた。その被害は、その後の日本各地における公害反対運動に大きな影響を与えた。
昭和37年
(1962)
・ばい煙の排出の規制に関する法律(ばい煙規正法)が制定
・サリドマイド薬害事件(全国)
妊婦の鎮痛剤としてのサリドマイドを服用したことにより、約2,200人の赤ちゃんが奇形となった。
・1週間にわたりスモッグ発生(東京)
この頃より首都圏で冬にスモッグが発生。学校のグラウンドで運動中の小中学生が倒れるなどの被害が出た。
・ベトナム戦争での枯葉剤散布(ベトナム)
1962年~1971年のベトナム戦争で枯葉剤を大量に散布。副産物としてダイオキシンが発生。のちに流産、異常出産、奇形児、肝臓ガンなどの事例が多数報告された。二重胎児のドクちゃん、ベトちゃんの例が特に有名である。
昭和39年
(1964)
・東京オリンピック開催
・阿賀野川で第2水俣病発生(新潟) 4大公害病の一つ
新潟県阿賀野川流域で有機水銀に侵された食物を摂取したことにより発生した。
昭和42年
(1967)
・公害対策基本法制定
昭和43年
(1968)
・大気汚染防止法制定  ・騒音規制法制定
・カネミ油症事件(北九州市)
米ぬか油に混入したPCBが原因で中毒。患者は23府県で1万4千人となり、製造元カネミ倉庫製油部に営業停止通達がでた。(PCB食品公害)
昭和45年
(1970)
・水質汚濁防止法制定
・スモン病薬害事件(全国)
整腸剤キノホルムの服用により1万人以上が知覚障害などの被害が発生した。
・光化学スモッグ発生(東京)
首都圏(東京、神奈川、千葉など)で、夏の運動場にいた生徒たちが眼やのどの痛み、めまい、呼吸困難、痙攣等の症状が多数発生した。
昭和46年
(1971)
・環境庁設置
・悪臭防止法制定
昭和47年
(1972)
・国連人間環境会議開催(ストックホルム)
・自然環境保全法制定
・土呂久鉱山亜砒酸中毒事件(宮崎)
宮崎県高千穂町の土呂久鉱山跡近くの住民100人余りが平均39歳で死亡していることが判明。亜砒酸中毒とわかり第4の公害病に指定される。
昭和48年
(1973)
・第1次石油ショック
・化学物質の審査及び製造等の規正に関する法律(化審法)制定
・六価クロム汚染問題(東京)
日本化学工業による六価クロム鉱滓の投棄による公害。日本化学工業(株)跡地の都営地下鉄用地などが汚染。従業員の中には、肺癌による死者や鼻中隔穿孔などの労働災害が発生。地域住民の中にも健康被害を訴える者多数が出現。
昭和49年
(1974)
・世界の人口40億人
昭和50年
(1975)
・豊島産廃公害事件(香川)
瀬戸内海の美しい小島に、廃油など許可外の産業廃棄物が投棄され環境が汚染された。住民が反対運動を展開。
・水島コンビナート重油流出事件(岡山)
岡山県倉敷市・水島コンビナート・三菱石油水島精油所の重油タンクの破損により、 重油流出、東瀬戸内海の水域が油で汚染され、養殖漁業をはじめ水産業に多大な被害が出た。
昭和51年
(1976)
・振動規制法制定
昭和52年
(1977)
・「環境保全長期計画」策定
環境庁が、環境保全行政の指針としてまとめる
昭和53年
(1978)
・排気ガス公害「西淀川訴訟」(大阪市)
大阪市西淀川区の公害病認定患者と遺族が、自動車の排気ガスに含まれる二酸化窒素(NO2)などによる複合大気汚染で、喘息などの呼吸器疾患になったとして、道路管理者の国と阪神高速道路公団を相手に、環境基準を超える車の排気ガスの排出差し止めと損害賠償を求めた事件。1次~4次訴訟の結果、平成10(1998)年7月29日に20年ぶりの和解が成立。
昭和54年
(1979)
・スリーマイル島で原子力発電所事故(米国)
ペンシルベニア州スリーマイル島の原子力発電所で大量の放射能漏れ事故が発生。第2原子炉の2次冷却系のポンプの弁が故障し、冷却水の循環がストップし、冷却水が蒸気と共に漏れだした。炉心部の一部は溶融しているのが検証され、商業用原子力発電史上最大の事故となった。
・世界気候会議(WMO)が、温室効果による温暖化を警告
・酸性雨の防止のための「長距離越境大気汚染条約(ウィーン条約)」採択
昭和56年
(1981)
・水道水に発ガン性物質トリハロメタンを検出(大阪)
トリハロメタンとは、浄水場で消毒の為に添加している次亜塩素と、水道原水の富栄養化により増加しているフミン質や親水性酸等の有機化合物が化学反応し発生する副生成物質である。発ガン性が確認されたことによって、水質基準が定められた初めての有害化学物質である。
昭和57年
(1982)
・川崎公害訴訟(神奈川)
昭和30年代から40年代にかけて、高濃度の大気汚染が現出し、環境基準を上回る二酸化窒素(NO2)、浮遊粒子状物質(SPM)により大気汚染が長期にわたり続き沿道の生活に大きな影響を及ぼした。
 喘息などの公害病認定患者と遺族ら495人(1999年現在)が、企業や道路管理者の国・公団を相手取り、この年より平成11(1999)年5月に和解するまでの17年にわたり争われた。
昭和60年
(1985)
・薬害エイズ事件(全国)
血友病患者が非加熱製剤による治療を受けた際、紛れ込んだウイルスによって感染させられた。この年、厚生省が非加熱製剤による感染を正式に認める。
・「オゾン層の保護に関するウィーン条約」採択
昭和61年
(1986)
・チェルノブイリ原子力発電所事故(旧ソ連)
ソビエト連邦ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた。
 定期点検で出力を停止する途中に実験が行われ、その最中に爆発事故が起き、わずか数秒の間に2度以上の大爆発となり原子炉は壊れ、核燃料はこなごなになって吹き上げられた。2千メートルもの上空に吹き上げられた放射能は、遠くの国々にまで運ばれ、地球全体に放射能を撒き散らすことになった。
 周辺30キロメートルが人の住めないところとなり、14万人が避難。原発事故を起こした4号炉はコンクリートで固められ「石棺(せきかん)」と名づけられた。
・世界の人口50億人
・「環境保全長期構想」決定
昭和62年
(1987)
・「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」採択
昭和63年
(1988)
・「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)」制定

 

平成元年
(1989)
・名古屋南部大気汚染公害訴訟
名古屋市南部地域と東海市の住民145人が、名古屋南部地域の企業11社及び国道1号、23号等の設置管理者である国を相手に訴訟を起こす。
平成 2年
(1990)
・スパイクタイヤ粉じんの発生の防止による法律制定
・粉塵公害(全国)
自動車のスパイクタイヤにより粉じんが多量に発生し公害となったためスパイクタイヤの使用を規制する。
平成 4年
(1992)
・気候変動枠組(温暖化防止)条約
・種の保存法ができる
・地球サミット開催(ブラジル、リオデジャネイロ)
・生物の多様性保全条約
・森林に関する原則声明
・アジェンダ21採択
平成 5年
(1993)
・環境基本法施行
環境庁「環境にやさしい企業行動指針」をまとめる
平成 6年
(1994)
・環境基本計画(第1次)策定
平成 9年
(1997)
・気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3 地球温暖化防止京都会議)
先進国に温室効果ガス排出削減目標を課す「京都議定書」が採択
・ナホトカ号重油流出事故(島根)
島根県沖の日本海でおきたロシア船籍タンカー(ナホトカ号)の沈没事故により積荷の重油が流出、1府5県にわたり日本海沿岸に大量の重油が漂着した。
平成10年
(1998)
・世界の人口60億人
・地球温暖化対策の推進に関する法律制定
・家電リサイクル法制定
・省エネルギー法改正
平成11年
(1999)
・東海村原子力臨界事故(茨城)
茨城県東海村の核燃料加工会社(JCO)で、ウラン溶液を沈殿槽に移す作業中に、臨界を引き起こし社員3人が多量の放射線を浴び、放射線障害により2人が死亡した。
 現在国内電力量の1/3は原子力発電による。
・ダイオキシン類対策特別措置法施行
平成12年
(2000)
・荏原製作所(藤沢工場)引地川ダイオキシン汚染事故(3月24日)
荏原製作所(藤沢工場)が環境基準値の8,100倍という国内最悪のダイオキシンを神奈川県・引地川に排出した。
・循環型社会形成基本法(廃棄物リサイクル法)の公布(6月2日)
・雪印乳業集団食中毒事件(6月27日)
雪印低脂肪乳に病原性黄色ブドウ球菌が混入し増殖して毒素が発生、14,780人の被害者を出した。集団食中毒事件としては、過去最大級のもの。
 創業者は立派な人なのに…
・環境庁が動植物全てのレッドリストを公表
・循環型社会形成推進基本法制定
平成13年
(2001)
・環境庁から環境省へ再編
平成13年1月、第2次森内閣の中央省庁再編による。
・グリーン購入法施行
・家電リサイクル法施行
平成14年
(2002)
・自動車リサイクル法制定
平成17年
(2005)
・地球温暖化防止のための「京都議定書」の発効(2月16日)
日本の削減目標は、2012年までに1990年比で6%削減
・アスベストによる中皮腫などの被害が拡大の情勢(国内全域)
6月末に、アスベスト(石綿)が原因で発生した中皮腫により大手機械メーカーの社員が多数死亡した。以降、アスベスト問題は極めて深刻な問題として日常生活に影響を及ぼす恐れがある。
平成18年
(2006)
・世界の人口65億人
平成21年
(2009)
・地球温暖化防止関連
気候変動サミットで鳩山由紀夫首相が、温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減を表明する
平成23年
(2011)
・世界の人口70億人
・原子力発電所の損壊による放射性物質の拡散(福島)
東京電力福島第一原子力発電所が、平成23年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災の地震及び津波により原子炉建屋・送電設備・原子炉機器が大きく損壊、大量の放射性物質を大気に撒き散らした。(今後の被害は、環境汚染・退避・病変など予想されるが最小限に止めたい。)


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