第28章:光と闇の戦い

魔城と化した・・ピカプール城では・・エルメシアとエルはあれから睨み合いが続いていた

〔あれから二人は何故動かないの?〕
こげぽんは不思議そうに二人を見ていた・・・だがその中で唯一動けない理由をバルスは
知っていた・・・
〔こげさん・・・目を閉じて・・エルメシアの気配を感じてください・・・〕
そういうと・・こげぽんはバルスの言うように瞳を閉じて・・・エルメシアの気配を探った・・

〔!!!!!!!・・・・・・・これは!!!!!!〕

バルスは真剣な面立ちをして話し始めた・・
〔今のエルメシアは雑念を捨て・・・完全に周りと溶け込んでいるのです・・・
その結果・・・スキが消えてしまい・・完全な攻防一体の構えになりエルは
攻撃できないのです・・・攻撃した瞬間・・・やられる事が目に見えてますから・・・〕

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一同が沈黙して静寂な空気が辺りを襲った・・・・

〔エルメシア・・彼を敵に回すとこれほど厄介な相手はいませんね・・・ちょっとしたヒントを
得ると・・その技をすぐに自分の技としてしまう・・・天性の実力というのか・・・〕
バルスは・・・寒気が立っていた・・・・

だが・・・その静寂を打ち破る声が大聖堂に木霊した・・・
〔エルよ・・何をぐずぐずしておるのだ・・・そんな小さい人間ごときにお前がおびえることも
あるまいて・・・・・・〕
次の瞬間大聖堂の柱が倒れ・・・それを回避したエルメシアとエルはお互いに槍で攻撃を
はじめた・・・
〔エル!お前のことは全てバラックから聞いた・・・今こそ光と闇の決着をつけてやる!!〕
そして・・エルは冷ややかに笑った・・・
〔決着・・・そんなものは無いよ・・光は全てこの世から消えて・・地上界は全て魔界と同じく
闇の世界となるんだよ・・・そうすればボクの存在理由もあるものだからね!!
この世は闇一色が本当の世界となるのだから!!〕

その問いに・・・エルメシアは一瞬の不意をつき・・・エルに猛烈な一撃を加えた・・
〔くっ!!!!!!!!!!〕
〔全てが闇に包まれてたら・・・お前は存在理由は意味がないものになる・・・光あるところ
には必ず闇がある・・・また光が存在しているから闇も存在ができる・・・光が無くなれば
お前には存在理由が亡くなるんだ!この世界は光と闇が交互にバランスが保ち初めて
存在の理由が確立される・・・〕

エルメシアはホースキラーを倒れたエルの目の前に突き刺した・・・
〔エル・・お前はもともとかわいそうなやつさ・・・・元は闇の世界に生きる住人
それをクリスチャン・ロ−ゼンクロイツにより肉体を与えられホムンクルスとなって
俺たちの前に現れた・・・だが・・所詮その体はイミテーション・・そろそろ終わりに
しよう・・この戦いの無意味さを・・・・〕
次の瞬間・・・エルは瞬間移動で、宙に現れた・・

〔うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!
ボクは確かにパパから作られたエルメシアの偽者だ!!!!
だけど、お前を倒せば僕がエルメシアだ〜!!!!!〕

次の瞬間!エルはエルメシアに突進しお互いの槍が体に突き刺さった!!!!

〔ぐはっ!!!!なんで・・・・・ボクが・・・・!!!〕

エルメシアの槍はエルの心臓に突き刺さり・・・・逆にエルの槍はエルメシアの肩の
鎧を破壊するにとどまっていた・・・・エルの体からは血ではなく・・どす黒いオ−ラが
次々立ち上がり・・空に消えていった・・・・

〔パパ・・ボクは死ぬの?・・またあの冷たい暗闇の世界に返るの?・・やだ・・死にたくない!!
助けて・・パパ・・・ボクは死にたくないよ!!〕

いままで気丈な声のエルはどんどん力の無い声になっていく・・・

そしてエルの体は黒いオ−ラと共にその場から消えた・・・・
だが、その場にいたメンバーからは歓喜の言葉は無かった
エル・・・彼女もある意味この戦争の犠牲者なことは間違いなかった・・
かりそめの命・・・悲しき戦い・・・自分の存在理由・・・色々な問題が
その場のメンバー誰もが感じ取っていた
しかし、干渉に浸るひまは無かった・・こうしている間にもリンケンで
傷つき死んでいく者たちが増えつづけていた・・・

エルメシア達は無言のまま・・・大聖堂を後にして・・・玉座の間に乗り込むのであった・・・