小林歯科診療所


3.腫れて痛い


 腫れて痛いのは、大抵は化膿(膿を持つ)した時です。噛むと痛い時と同じように、膿の溜まり方に2種類あります。

 1.根端性:化膿が進み、根端部に膿の袋を作ります。これを根端病巣と呼ぶことは、前項で述べました。
膿の圧力が強まり、骨の弱いところを探って出口を作ります。この出口をろう管と呼びます。
ろう管を通って骨の外へ出てきた膿が、骨膜の下に溜まってふくらみます。これを膿瘍と呼びます。
膿瘍が一定以上になると、自然にはじけます。自壊したと言います。膿の出る口をろう孔といいます。
膿瘍を作るまでの間、骨膜や粘膜に強い圧力がかかり、神経繊維が圧迫され、痛みとなります。
腫れてからより、腫れる途中の方が痛いことが多いのです。

 2.歯頚部性:歯肉との境目に膿の袋を作ります。歯と歯の間が腫れたり、歯の周りが腫れます。
化膿が歯の頚(歯頚部といいます)にある袋(ポケット)から始まり、次第に広がっていきます。
歯槽膿漏症の急性発作と呼ばれるものです。

 *消炎処置(腫れと痛みを取る):ぶよぶよして、内部に液体(膿)を感じたら、切開(メスで切る)して排膿(膿を出す)
すると、急激に痛みも腫れも収まってきます。もちろん全身療法として、化膿がある時は抗菌剤(抗生物質)を内服して、
化膿を押さえます。化膿は細菌感染で、今でも怖い症状です。かっては敗血症を起こし死に至ったことも多いのです。
抗生剤のおかげで治療が容易になったとはいえ、たかが「歯」と、まだまだ侮れません。


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