小林歯科診療所


1.歯がずきずき痛い 噛んでも痛くない


 典型的な、歯髄炎です。歯髄とは、ふつうに「神経をとる、などという神経」のことです。歯の中には、歯髄腔という
空洞があります。この中に歯髄と呼ばれる組織があります。人間を含めて、生きているものは、新陳代謝を繰り返
し、体の各部品を活動させ、生命を維持しています。そのためには人間(哺乳類)は、血液が体内を循環しています。
その他の生物では、体液、樹液など同様な役目を果たすものが、体内を循環しています。

 新陳代謝のため人間の体中には、血管が張り巡らされ、血液が駆けめぐっています。毛髪(全ての毛)の先端、爪
の先、皮膚の表面の角化層歯の表面など成長を終えた一部は、血液の役目が終えていますので例外となり、新
陳代謝・再生は行われません。

 当然歯は表面は成長しませんが、内部は生きていて、歯髄は血管から成り立っています。司令塔(血の流れをコン
トロールする)としての神経と、現場の状況を探り、送るべき血流の量の多少や、外傷や感染の危険を探るための斥
候としての神経が、血管に伴って歯の中に入ってきています。血管と神経は、結締織と呼ばれる繊維性の組織に包
まれて保護されています。痛みを感じるのは、生体の部分に危険が迫ったことのシグナルです。

 ずきずき痛いのは、虫歯が深くなり歯髄まで届いて、歯髄が細菌感染により腐ることにより、膿などの老廃物と、
細菌を殺そうと送り込まれた血液が、狭い歯髄腔内にいっぱいになり、神経繊維を思いっきり圧迫するので(神経繊
維が破壊されることも含めて)、激しい痛みとなると考えられています。噛んでも痛くないのは、歯の内部のみに感染
がとどまっていて、歯の周りの組織には、病変(正常でない状態)は及んでいません。噛んで痛い場合は、次の段落
で述べます。

 歯髄炎の処置は、治療の刺激の痛みを取るための麻酔をして、歯髄腔の中の歯髄をとり大掃除をする(抜髄)こと
で、痛みは完全になくなります。



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