(大阪支部作成「ビデオ膠原病入門」より)

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bP9 膠原病の検査(2)


←【図45】

 また細胞の核に対する抗核抗体以外にも自己抗体は存在します。
 白血球の一種である好中球の細胞質に対する抗体を抗好中球細胞質抗体(ANCA:アンカ)と呼びます。
 このANCAの中でp-ANCAは血管炎の仲間である顕微鏡的多発血管炎の診断に、またc-ANCAはウェゲナー肉芽腫症の診断に役立ちます。
 またリン脂質という成分に対する抗体を抗リン脂質抗体と呼び、この抗体が存在すると抗リン脂質抗体症候群を招きます。

 抗核抗体以外の自己抗体の場合も、これらが陽性であるだけで必ず膠原病というわけではなく、診断には他の多くの検査が必要です。

2.炎症反応

←【図46】
 
 次に炎症反応についてみていきます。膠原病は全身性の炎症疾患であるため、炎症反応は膠原病の活動の強さをみるのに重要な場合があります。
 まず血液検査でのCRPは急性期の炎症の強さを示します。ただし肺炎などの感染症や怪我の場合など、様々な原因で上昇しますので注意が必要です。筋炎の一部や血管炎症候群などの膠原病では活動期にCRPは上昇しますが、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群などではCRPはほとんど上がらないことも多くあります。
 また血液中の赤血球が沈む速度をみる血沈は、主に慢性期の炎症の強さを示します。

3.血清補体価

←【図47】

 次に血清補体価ですが、補体は免疫に関係していて、補体によって白血球が病原菌を攻撃しやすくなります。
 全身性エリテマトーデスでは多くの場合、活動期に血清補体価が低下するため、全身性エリテマトーデスの活動性の指標となります。
 なおCH50は活性化により補体の量を調べる検査で、C3、C4は補体の成分の量を調べる検査です。

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